海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は世界史と英語を勉強します!

隣の大切な人の存在が私の日常を作ってくれている ・・・- 『僕らのご飯は明日で待ってる』著:瀬尾まいこ

人は大切な人を失ったとき、どのようにすれば回復できるのか。 時間が解決してくれるというのは一つの真理かもしれません。しかし、喪失の傷はあまりに深いもので、どれほどの時間がかかるのか想像すらできません。 人が受けた傷は人によってしか癒されない…

ストレステストの根本思想は経営そのもの ― 『これからのストレステスト』編:大山剛

そんなの想定して意味あるのか?という想定。 10mを越す津波がやってくる。原子炉がメルトダウンする。近所の都市銀行が破綻する。 起こる前はあり得ないと考えていたことが起こる。これが現実です。 その一見起こり得ないこと、「例外的だが起こりうること…

世界史で読む人類と感染症の歴史 ― 『人類 vs 感染症』著:岡田晴恵

感想を一文で申し上げるならば、非常によくまとまっており、面白くためになる作品だったと思います!! タイトルにもある通り、本作は人類と感染症との絶えざる闘いを歴史的事柄を交えて説明しています。病原菌が種としての生き残りをかけて宿主に感染し子孫…

不機嫌な「ちびまる子ちゃん」が毒を吐く ・・・- 『円卓』著:西加奈子

先日日本にいる息子から船便で本が届きました。ブックオフでまとめて買っておいたものを段ボールで年に数回送ってもらっています。 実は買ったのは二度目。読み始めて、あ、これ読んだことある!と気づきました。前のはすでに売ってしまい気づきませんでした…

宗教改革の起爆剤となった諧謔の書 ― 『痴愚神礼賛』著:エラスムス 訳:沓掛良彦

エラスムス。 確かにマイナー。訳者があとがきで嘆く通りです。世界史ではルターの宗教改革のくだり、そしてトマス・モア(『ユートピア』の著者)の友人というくだりで出てくる位ではないでしょうか。しかし一度読めば、本作が豊かなヘレニズム的教養の詰ま…

宗教は集団になると恐ろしい?宗教集団アメリカ!? ― 『キリスト教でたどるアメリカ史』著:森本あんり

総評 この本はアメリカ史?についての本です。しかし、焦点を当てるのはむしろアメリカの歴史のダイナミズムの下に隠れる宗教の強さ。あるいはこうも言えるかもしれません - 宗教という隠れ蓑にひそむ人間の汚さ・狡さ。 いずれにせよ、イデオロギーは人を…

リベラル願望に潜む差別意識、でも大家族パーティーやってみました! ― 『IT’S ALL RELATIVE』著:A.J. JACOBS

以前米国人の知人と話をしていた時、私が思想系が好きだと言うと彼が教えてくれたのがJames Altucherです。 jamesaltucher.com このJamesは、超ではない有名人をゲストに呼び話を聞くというPodcastをしており、私も通勤途中で聞きながら面白そうな人がいたら…

市場を出し抜こうとすることそのものが敗者のゲーム。市場平均(インデックス投資)で十分 ― 『敗者のゲーム』著:チャールズ・エリス 訳:鹿毛雄二

皆さん投資してますか? 個別株をマーケットで売買したり、持株会で自社株を月々購入したり、あるいは毎月分配型の投資信託とかを買ったりしていますか。 若い頃は私もしました。個別株、外国株、投信と色々やりました。幸いタイミングが良く100万ちょっとく…

会計から知るタイ・マレーシアのお国柄 ― 『タイ・マレーシアの会計・開示制度』著:御園恵、的手美与子 監修;平松一夫

今年は自分の仕事や業界の復習をしています。併せて在住している東南アジアのことも勉強・復習しようと思い手に取ったものです。 グローバル化が叫ばれて久しいです。 会計の世界でもIFRSという国際会計基準への収斂が少しづつ進んでいるように思います。た…

ヒトとの繋がり・人的資本の重要さを考えました ― 『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』著:宮台真司

21世紀をいよいよ迎えるという1990年代、若者文化の分析と小難しい言い回しを手に登場した氏。一世を風靡した感がありましたが、当時高校・大学時代を過ごした私は(つまり若者です)「けっ、俺の事なんか分かられてたまるか」とばかりに見向きもしませんで…

小気味良いエンタテイメント!ガリレオシリーズ第一作 ・・・- 『探偵ガリレオ』著:東野圭吾

ワクチン接種後気分が優れず、やる気が起きない倦怠感にとらわれ、普段読んでいる本も集中して読めない日が2日程続きました。そこでもっとライトな本を読んでみようと思い立ち、もう二回は読んでいる本作を試しに読んでみる。普通に面白く読めました! 東野…

社会学の名著!注釈がやたら長い・・・―『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』著:マックス・ヴェーバー 訳:大塚久雄

世界史で宗教改革になると必ず出てくる著作です。本棚で10年以上積読になっていることに薄々気づいていましたが、手元の日本語の本がなくなってきて(海外だとこういうのが面倒)、渋々読みだしてみた次第です。 ・・・ 世界史や思想史で頻繁に言及される本…

中国製コロナワクチン・シノバック接種一回目

* image is taken from https://www.straitstimes.com/asia/se-asia/sinovacs-covid-19-shot-highly-effective-against-serious-illness-malaysia-study 中国製ワクチンを打ちました 今更ですが、東南アジアの片隅でワクチンを打ってきました。こちらでは主…

会計職には基礎固め的、関連職には入門書か ― 『金融機関のための金融商品会計ハンドブック』著:岡本修

今年の6月くらいから自分の仕事や業界をもう一度勉強し直そうと考え、本棚に眠っていた本を事業仕分けがてら読んでおります。本作はその過程で手に取ったものです。 ハッキリ言って金融関連ないし経理・会計職関連の方以外には全く面白くないと思います。だ…

ロンドン近郊を舞台にした連続作人事件。面白い! ― 『ABC MURDERS』著:AGATHA CRISTIE

先月読んだ『MURDER ON THE ORIENT EXPRESS』が存外に面白く、かつ直近で読んでいた英語の本が非常にストレスフルであったので、気分転換にこちらの本を読んでみた次第です。 lifewithbooks.hateblo.jp (実は5冊セットのボックスを購入しました。そのうちの…

人間の認知・理性の「くせ」が分かる本 ― 『予想どおりに不合理』著:ダン・アリエリー 訳:熊谷淳子

先日著者の『ずる』という作品を読みました。人間が実に巧妙に自らを正当化してずるをする様子が描かれており面白く読みました。 lifewithbooks.hateblo.jp 今回読んだ作品は上記『ずる』と一緒に買っておいた作品。『ずる』よりもちょっと分厚めだったので…

暴君をいただいた家族の哀しい結末 ・・・- 『血と骨』著:梁石日

昭和を駆け抜けた韓国人の、その暴力と性と身勝手さが突き抜けており、ドライブ感に圧倒されました。ただ、読後にはどんよりと胸の底に苦しいものが残る、イヤミス的な(ミステリではないけど)感覚を憶えました。 本作は筆者である梁石日氏が父親をモデルに…

日本人の『空気』の源とは ― 『「空気」の研究』著:山本七平

以前山本氏の『一下級将校のみた帝国陸軍』を読み、その徹底した日本帝国陸軍批判に感銘を受けました。軍隊という命を預かる組織にあって、非合理的な決断が横行していた様子、そして上級軍人の余りにも軽い転向がビビッドに描かれたからです。 それ以後、お…

かつての悲惨なロンドンが生々しい。ストーリーは普通か ― 『OLIVER TWIST』著:CHARLES DICKENS

以前、『大いなる遺産』を読みました。凄くではないのですが、150年以上前のものとしては読めるじゃん、意外と面白いよ、というのが感想でした。 lifewithbooks.hateblo.jp その時の「意外と面白かった」が頭に残っている時分、近くの新古品を売る書店でこち…

反グローバリズム入門、かな―『グローバリズムが世界を滅ぼす』著:エマニュエル・トッド、ハジュン・チャン、柴山桂太、中野剛志、藤井聡、堀茂樹

新自由主義とかグローバリズムとか、しばしば耳にし、また口にもする割に、どこが良くて何がどう良くないのかについては、実はよくわかっていないようにふと思いました。 過日、トッド氏の『問題は英国ではない、EUだ』を読み、類書にあたる本書も読んでみよ…

深すぎる愛の果てにたどり着くところとは? - 『容疑者xの献身』著:東野圭吾

本嫌いの長男が中二くらいのときに、初めて「この本、読んでみたい」と言ってくれた我が家にとっては記念すべき一冊。その後高校に進学して本には見向きもしていないようですが(本人曰く、忙しい)、夏休みには東野作品をブックオフで調達し、読んでみてい…

生物の妙!生物学は面白い―『ゾウの時間ネズミの時間 サイズの生物学』著:本川達夫

今から30年くらい前、私が高校生の頃、大学受験用の現代文でしばしば取り上げられていたのが本作「ゾウの時間 ネズミの時間」でした。生物学って面白いやんか!と感動したことを覚えています。もっとも、数式も結構出てくるので、数Iで数学に挫折した私には…

ちょいめんどくさい自意識過剰女性、自己回復の話。分からんでもないけど・・・- 『うつくしい人』著:西加奈子

この本、読中めちゃくちゃ疲れます。なんというか、そう、メンドクサイ! あらすじ 小金持ちの家の娘、百合の話。けっこう自意識過剰。姉は天真爛漫で美しく、でも引きこもりとなった。対して百合は世間の空気を読みつつ学生時代も社会人時代もサバイブして…

人は多様にずるをする!ずるの正当化がすごい!―『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』著:ダン・アリエリー 訳:櫻井祐子

私の個人的なテーマとして人間とは何か、という疑問があります。 生物学的な仕組みも、感情の動きも、精神と肉体の繋がりもすべて興味があります。その関心は、学部生の卒論時から細々とですが途切れることなく続いています。 その点、本作も人間の癖や性向…

机のわきに置いておきたいデリバ辞書―『デリバティブキーワード300』著:住友信託銀行マーケット資金事業部門

この使い古された本は、私のメンターが日本へ本帰国になった際に置いていったものです。「じゃ、これ、どうぞ」 こういう時は、これくらい分かっておいてくださいという意味です。 ロックダウンが続き、通勤が不要になってから大分経ちますが、ふと「俺最近…

箴言集、あるいは政体論。政治ないし中世ローマ等の専門家向けか―『ディスコルシ 「ローマ史」論』著:ニッコロ・マキァヴェッリ 訳:永井光明

正直言うと、安さにつられて買ってしまったんです。 ひと月くらい前でしょうか。通常価格1,700円くらいの本作が499円でした。しかもポイントがさらに200円分。ということは実質300円。安くないか!?しかも私の好きな歴史関連!Amazonレビューでもなかなかい…

意味深な例文にハッとする笑 単調でない読み取りドリル

今春から日本の高校で学ぶ息子の楽しそうな姿を見聞きし、中学生の娘も『私も日本の高校に行きたいかも』と言い始めました。 本当に行きたいのならいいけど、あたな、日本語大丈夫? 結構ルー大柴みたいだよ!? とはいえ、やる気があるのにそれを潰すのも忍…

親日はうれしいけど、真の融和はどうすれば可能か分からない―『親日派のための弁明』著:キム・ワンソプ 訳:荒木和弘、荒木信子

大日本帝国が20世紀初頭から第二次世界大戦までに繰り広げた蛮行に関し、メディアで報道されるたびに、その子孫の一人である私は悲しくなります。 学校でも習うし、きっとそんな蛮行は本当なんだろうなとは思いますが、本当に悪いことだけだったのか、という…

正しいとは何か?んなの分からないよ!!―『これから「正義」の話をしよう』著:マイケル・サンデル 訳:鬼沢忍

今から約10年程前の作品。あのころは非常に盛り上がっていたように思います。コロナやオリンピックで騒がしい昨今、古本屋に並んでいた本作に、ブームは完全に去ったと判断し、そろそろ読んでみようと思い手に取りました。 しかしまた長いタイトル。原題は”J…

ユニークなキャラたちが雪山でひと騒動(サスペンス系)- 『疾風ロンド』著:東野圭吾

妙に寝つきが悪い晩、読みかけの本を一冊読み切り、それでも眠れず読み始めたのがこちら。ふて寝ならぬ、ふて夜更かしを決め込み、あっという間に読了。 雪山を舞台にしたスリラーであるこの作品、東野作品としては安定した楽しさを味わえる一方、既視感にも…

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