海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

スターリンの死と20世紀最大宗教の衰退―『フルシチョフ秘密報告 スターリン批判 全訳解説』訳・解説:志水速雄

世界史を勉強していると、度々”20世紀最大の宗教”などと呼ばれる共産主義。その中枢であったソ連はすでにこの世にありませんが、その”宗教の”瓦解の過程を知りたいと思い、まず本書を手に取りました。 訳者に記憶あり ちなみに、内容よりも訳者の志水速雄と…

どんな子だって親には宝もの!少年の成長物語(英語)―『WONDER』著:R. J. PALACIO

上の子が中学2年の終りころ学校(海外)で課題図書になった本。 当の本人は日本の高校へ進学すると心に決めていたようで無視を決め込み(丁度コロナで自宅学習となりましたが奴はどうやって乗り切ったのだろうか)、代わりに当時小6の妹が読み、絶賛していた…

美醜の問題というより母娘の関係を考える作品かと―『カケラ』著:湊かなえ

イヤミスの湊かなえ氏の作品ですが、今回はちょっと何というか、イマイチ面白さを感じづらい作品でした。 あらすじ 極々大まかなあらすじ言えば、かつて太っていた快活な女子高生が自殺をする。その子は主人公であるさる有名美容整形外科から手術を受けてい…

コロナ禍の今、全てを信ぜずとも一読の価値あり―『ワクチン不要論』著:内海聡

読了後、その晩眠れなくまりました。 この春より親元を離れ、祖父母と同居する息子のことが気になったからです。小学校3年から中学卒業まで海外に居た息子は、その間ワクチンは全く接種しませんでした。高校入学にあたり、学校側からのお便りでこれを受けて…

敢えて優しくない展開。もどかしくも斬新なミステリ―『Q&A』著:恩田睦

あらすじ とある郊外で起きた火災事故。多くの人が亡くなった。しかし、実際には火災は起きておらず、避難するときにパニックなった客が通路に殺到して多くが圧死したという。事の真相は一体? Q&Aのみで語る斬新な作り 作風が非常に斬新でした。なんとQ&Aだ…

戦争はむなしいだけ―『シンガポール陥落』著:フランク・オーウェン 訳:永沢道夫

アジアの辺境に移り住んで8年目となります。 そろそろその土地の言葉や歴史にある程度詳しくなってないとダメだよなあと思い至り、手始めに本作をチョイス。 端的に言えば、読む手がスローモーになる本です笑 まあ戦争の話ですので、陰惨な殺し合い、イギリ…

夢を題材にした、普通に面白いモダンホラー―『夢違』著:恩田陸

あらすじ 作品の舞台では人類は夢の内容を録画することができ、それを専門家が判断したり分析したりできる。その黎明期に登場した古藤結衣子は自身の見る凶兆が夢に現れることを自覚し、夢札を引くことを申し出る。世間の好奇の目に晒されつつこれを苛み、渦…

他人のことを想えるって、素晴らしい―『卵の緒』著:瀬尾まいこ

あらすじ 主人公の育生は小学生。どうやら自分は捨て子らしいと思っている。問うと、祖父母の様子はおかしくなるし、母親もきちんと教えてくれない。父親もいない。そんな母親が恋人の朝ちゃんを連れてくるようになった。朝ちゃんが新たに家族に加わることに…

絵入りなら英語でもくじけない!―『Usborne Illustrated Classics』

今年の目標は英語運用能力、とりわけ単語力や表現力、の向上を考えており、古典的な作品を中心に渉猟しています。 ところが先日読んだ『Animal Farm(邦題:動物農場)』が結構単語が難しく、文字ばっかり(本ってそういうもんですが笑)であることに萎えて…

人生の可能性は一つではない―『ブロードキャスト』著:湊かなえ

部活。青春の象徴ですね。私もバスケットボールをやったりバンドを組んだり、高校生の時は自分の忙しさに酔いつつ人生を謳歌していました。もう学校に行く意味の8割は部活などの課外活動であったと思います。 けがや事故がおき、やりたかった部活を断念せざ…

相思相愛が結ばれない悲恋を美しく重厚に描く―『マチネのおわりに』著:平野啓一郎

ふぅー。読後感が重たい。でも面白かった。 平野氏の作品は初めてである。芥川賞受賞当時、会見で自分と同い年(当時23歳)ということが分かり、しかも京大卒。何となく自分との彼我の差を感じ、勝手に嫌な奴っぽいと決めつけて食わず嫌いを通してきました。…

史実と回顧の違いは大きい。内容は月並みも是非解説を読んでほしい。―『マッカーサー大戦回顧録』著:ダグラス・マッカーサー 訳:津島一夫

本書は第二次世界大戦後、GHQトップとなったマッカーサーの回顧録。 95%以上は気持ちよく、へーなるほど、とか、敵ながらあっぱれとか、つらつらと読んでいました。しかし最後の解説を読んで、本書の出色の出来は寧ろ解説にある気がしました。同時に本の怖…

家族を想うことばに温かい気持ちになる―『強運の持ち主』著:瀬尾まい子

占いって、好きですか? 神仏を信じないなんて言う人は多いけど、占いの内容がいいと気持ちも心持ち明るくなる。悪い気はしない。電車で座ってて、前のおじさんの読んでるスポーツ紙に、おうし座の金運は最高!なんて出ているとちょっと期待しちゃったりもす…

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