海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧

不登校児こころが、仲間を救う。絆は時間を超える。 |『かがみの孤城』辻村深月

皆さん、こんにちは。 先週、六大学野球の観戦に神宮球場に参りました。 実はその前週にもパパ友と行ったものの、その時は結構席はスカスカ。しかし今回の試合は、(早慶戦ではないものの)慶應と早稲田のカードがそれぞれあり、前週とは比べ物にならない人…

中学駅伝を通して知る、友人のあたたかさ |『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ

はじめに あらすじ 中学生の心のうちを描写 おわりに はじめに 瀬尾さんは、うちの下の子が中学生の時、高校受験の問題か何かで知ることができた作家さんです。以降読み進めて分かりましたが、家族に焦点を当てる作品が多く、非常にハートフルな印象。 なお…

ドラマのような実話。自死とノルマと組織ぐるみの不正 |『対馬の海に沈む』窪田新之助

本作概要 組織ぐるみの不正、巨大なノルマ、崇められる「神」 読後に自身の過去を思い出す おわりに 本作概要 本作『対馬の海に沈む』はフリーのジャーナリストの窪田新之助氏による、JA対馬所属の社員の自死と、彼の起こした不正およびその原因について迫る…

とある商店街での恋のさや当ては・・・。大人の恋愛小説 |『よるのふくらみ』窪美澄

筆者ご紹介 選書の理由 なかなかよい。こんな話 おわりに 筆者ご紹介 窪美澄氏は2010年に『ふがいない僕は空を見た』でデビュー。2022年の『夜に星を放つ』で167回直木賞受賞。そのほか各種文学賞受賞。 本作は2014年に発表された作品。 選書の理由 以前窪氏…

定年後の労働とお金の収支の事実。結構ホッとした! |『本当の定年後』坂本貴志

はじめに:老後が心配な人に読んで欲しい 先ずは収支を把握 月10万のバイトでいける!? 老後の生き甲斐 DIE WITH ZEROと読み合わせる 仕事に取り組む意味 おわりに はじめに:老後が心配な人に読んで欲しい 老後2000万円問題、あるいは年金不払い・逓減の恐…

映像的な美しさを湛えた作品。大阪の若者たちの瞬間 |『ショートカット』柴崎友香

はじめに 選書の理由 ふんわり系!?ショートムービーになりそう 大阪らしさ、関西らしくなさ おわりに はじめに 2000年にデビューされた柴崎友香氏。2014年に「春の庭」で151回芥川賞受賞。 本作は2004年に発表された短篇集。 選書の理由 今回、はじめて柴…

怒涛の言葉の奔流。前衛も前衛過ぎてチョイ眠に |『わたくし率 イン 歯ー、または世界』川上未映子

皆さん、こんにちは。 ここ2カ月、今後の生き方の参考にするべく、ノンフィクションや自己啓発系の本を結構読んでいます。 ただ、読んだら読んだで、頭の中がこんがらがってくるんですよね。まあ知恵熱みたいなもので。 そういう時、小説は私にとって一種の…

漢字・文字と独特なリズムが織りなす不思議世界。ちょいミステリー |『死ねばいいのに』京極夏彦

はじめに 構成の妙と移りゆく視点。「亜佐美」の実像を探る 会話が明らかにするもの 凄い感じの漢字 おわりに はじめに 京極夏彦氏の作品、実は初めてでした。怪奇系、ミステリー系の印象のがあるのですが、とにかく点数が多いですよね。当初どれを読もうか…

安定の村上作品短篇集 |『一人称単数』村上春樹

皆さん、こんにちは。 突然ですが、ブックオフのブックチケット、なる制度、ご存じでしょうか。 ブックオフはただでさえ安いのですが、このブックチケットは言わばプリペイド。月350円払うと店内220円(税込)以下の本と月5冊まで交換可能、というものです。…

経験・思い出への投資、その複利効果。だから今やる |『DIE WITH ZERO』ビル・パーキンス 翻訳:児島修

皆さん、こんにちは。 高頻度で、生きるとか死ぬとか申し訳ないです。訪問された方からしたら、鬱陶しいですよね。娘からも、お願いだからおんなじこと繰り返さないでと、この前謂われたばかり。 でも続けます笑 この一年は今後10年を生きるための中計作成の…

自死遺族カップルの恢復の物語 |『鳥たち』吉本ばなな

皆さん、こんにちは。 先週、在所にいたパパ友6人と飲み会をしてきました。 私は移住ですが、他は駐在の方々。同じ時期に子どもが野球をしており、その縁でこうやって今も集まることが出来ています。 今回出席していない方々も含めても、駐在で今も残ってい…

しんどいのは嫌だけど、アイディアは素敵かも |『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』三戸政和

皆さん、こんにちは。 しつこく、セカンドライフの指針となりえる書籍を渉猟しています。 今回はお金の関する不安を解消するべく手に取ったこの本。 はじめに 一つの光明としてよし 頑張るのはしんどい おわりに はじめに 著者の三戸氏は、ソフトバンク・イ…

アンティークに憑いたつくもがみが江戸の事件を解決する |『つくもがみ貸します』畠中恵

はじめに つくもがみ、とは 妖怪と人間と事件 おわりに はじめに 江戸の時代小説というと、池波正太郎氏、宮部みゆき氏などが有名だと思います。その中で、ここ数年、耳遠い私のところでも畠中氏の名前がアンテナに引っかかるようになってきました。 畠中恵…

透析患者の苦しい死に方。地方医療に光明あり |『透析を止めた日』堀川惠子

皆さん、こんにちは。 最近、暗めというか、病・死・老などに関する本を読んでいます。 こうした事実はそれ自体は悲しいものですが、不遜な言い方をしますと、驚きの連続。 体の衰えや病など、死へ至るプロセスはとかく忌避されることが多いのですが、そのた…

ピュアじゃない、大人の恋愛風景。そこがよい。 |『ほかならぬ人へ』白石一文

ひとこと 白石一文氏 恋愛系 ベストの相手!? 併せて楽しむ選考委員コメント おわりに ひとこと 白石氏というと、私にとっては恋愛系、というイメ―ジです。 以前読んだ『どれくらいの愛情』がなかなか良くて、今回の芥川賞受賞作を手に取りました。で、こち…

常識的。自分を振り返るのに使えます |『50代にしておきたい17のこと』本田健

皆さん、こんにちは。 来月5月でとうとう50になります。 しつこいようで申し訳ないのですが、未だ人生模索中。とりわけ今後10年の方向付けをしたい、と考えています。類書を乱読して、何か光明を見出したい。 そんな藁にもすがる思いでぽちっておいた本が本…

疎外感を描く圧倒的な筆力 |『まちあわせ』柳美里

皆さん、こんにちは。 リモートワークの功罪について問わず語り。 私の勤務する会社はかなりフレキシブルで、特例ではあるものの、理由があれば自宅勤務(しかも外国の実家から)を相応の長さで認めてくれる柔軟さがあります。 私の場合、親が半ボケだったり…

ユルさに光る、センスと真理の言葉。か、ただのエロ |『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』みうらじゅん、リリー・フランキー

皆さん、こんにちは。 私、もうすぐ50になるんですが、今年一年はこれからの5-10年を考える年にしたい、と考えております。 今後のキャリア、趣味、健康なども考慮すると、やはり死を意識するということは避けられません。優先順位とか、なにをやるべきで、…

恵まれ過ぎる自分に罪悪感。感情の機微を滑らかに捉える |『 i アイ』西加奈子

皆さん、こんにちは。 先週末に多摩川をぶらぶらと歩いてきました。実に6時間程度かけて25kmくらい。 川崎市から始まり、大田区、世田谷区、狛江市、調布市と辿りました。 競馬場があったり、打ちっぱなし、グラウンド(サッカーや野球)、はたまたお花見、…

こころない発言で心を切り刻まれる容疑者城野美姫 |『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ

はじめに 構成の妙 ネットの闇・裏の心 責任を取らない発言について おわりに はじめに いやあ、今回も面白かった。久し振りに湊氏の作品を読みました。彼女の作品を読むのはかれこれ三カ月ぶりでした。 実は本作は過去に映画も見ていましたが、その時は結末…

ことばへの愛、深いコミットメントで、ルーマニア小宇宙を築く |『千葉から引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないまま小説家になった話』済東鉄腸

皆さん、こんにちは。 突然ですが、当方が数年来考えているセカンドライフについて。 年金・貯金ともに多くないため、どうにかして就労は70前半くらいまでは継続する方向で考えています。とはいえ、その就労もできれば自分の意に沿う(趣味の延長?得意なも…

海外オヤジの読書ノート - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村