海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

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若い調律師のアツい姿勢。周囲に磨かれつつ良き仕事人へと至る成長小説 |『羊と鋼の森』宮下奈都

バンコクはマリファナが合法とか。葉っぱマークの店がいたるところに。 皆さんこんにちは。 引き続きバンコクから書いています。 子どもの学費が片付いたら、今とは違うどこかで暮らそうか、などと家内とよく話します。 今住んでいる居所もいいのですが、別…

バンコクの歴史と下町の記憶 |『読むバンコク』下川裕治

皆さんこんにちは。 バンコクに来ました。LCCを利用したらヘトヘトになりました。子どもは泣き叫び、隣の夫婦は咳と鼻水と痰。咳する人、多くないか?・・・そう、人間力を鍛えるにはもってこいです。 そしてドンムアン空港から何とかアソーク近くのホテルに…

気怠い雰囲気の中で、真面目に退廃を見つめる |『1973年のピンボール』村上春樹

皆さんこんにちは。 私、あまり作家さんは手広くは読みません。最近だと恩田陸さん、湊かなえさん、西加奈子さん、が結構多かったかと。そして本は読んだら基本的には処分(売却)です。 他方、印象に残ったもの・もう一度読むかも(読みたい)というものは…

バンコクを中心にタイの蘊蓄を知る |『タイ 謎解き散歩』柿崎一郎

みなさんこんにちは。 この前当地の眼科病院に行ってきました。若いころに網膜剥離をやっているので毎年検診がてら見てもらっています。まあちょっとヤバいかもなのですが。。。 それにしても英語で医療用語を喋るのは難しいですよね。網膜剥離はretina deta…

MECEによる問題解決入門 |『超MBA式ロジカル問題解決』津田久資

皆さん、こんにちは。 薄々感じられているでしょうが、当方あまのじゃくで、流行りが嫌いです。 出版業界でいうと、最近だと「〇〇がすべて」「○○が9割」「〇〇が3時間で分かる」「世界の〇〇を××冊読んでみた」的なやつです。あれはダメですよ。嘘っぽい。 …

ハードコアエロ、転じて公権力の恐怖、そして思うのは近しい人をどう理解するかという事 |『日本のセックス』樋口毅宏

こんにちは。いやあ、あっという間に今年も終わりですね。 ここでは殆ど読書にまつわることしか書かないのですが、年末は少し趣向を変えようかな、と。読書をして血肉となった知識から立てたYear Resolutionですが、その結果について記事を書きたいと思いま…

中級者以上向け。歴史の流れとともに隣国同士の関係も詳述。 |『東南アジア史10講』古田元夫

先日、標準月一回のZoomミーティングを子どもたちとしました。 その中で兄(長男)から出た不満。妹(長女)が家事をしないとのことでした。 彼ら、祖父母と同居しており、二階部分を子どもたちが使っています。うち、二階のトイレの掃除、そして洗濯は子ど…

金融機関収益管理とバーゼルIIIリスク指標を総合的に勘案する |『金融機関のROE戦略』金子康則・平田光義

皆さんこんにちは。 年末になると当地ではお休みを取る人が増えます。いわゆる有給消化です。 日本にいたとき、確か有給持越しは40日くらいできた記憶がありますが、ほとんど有給など使えず、毎年付与される有給はどぶに捨てるがごとく期限切れとなっていま…

東南アジア現代史をちょいかじり。興味の火付け役になれるか |『池上彰の世界の見方 東南アジア』池上彰

うちの上の子は高校3年なのですが、不精癖が抜けないのか、高校、大学と、所謂「帰国」試験でパスしてしました。 さなかで、某大学の志望動機では「東南アジアでの生活の経験を生かして」云々書いていました。が、その実、基本やりたいことも分からないし、…

独特の世界観、ファン向けか |『きのうの世界』恩田陸

そういえば、そろそろ今年も残すところ一カ月半。 毎年一年の計、というか、new year resolutionというのを作っています。「今年はこういうことしたい」という決意表明ですね。 そろそろ締めにかからなねば、ですね。 出来ていることもあり、出来ていないこ…

相変わらず面白い。洒脱で微熱的おかしみ with死神 |『死神の精度』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 いやあ、この前結婚式に出たと思ったら、コロナにかかりました。一年ぶり二度目。 ワクチンはチャイナ2本と米系1本の3本も打ったんだけどね。そのせいかそこまで辛くもなし。 ちなみに30歳そこそこの駐在君はあっという間に2回かかって…

非業の愛を繰り返す男女。永遠の愛か、それとも呪いか |『ライオンハート』恩田陸

家内の弟の結婚式が週末にあり、バタバタしておりました。 家内は五女一男の三番目で、末っ子の長男とは10歳違い、長女とも10歳違うとのこと。お義母さん、頑張りましたね。おまけに義母・義父も兄弟が多く、私の結婚式もそうでしたが、まあ親戚が覚えられな…

重厚で尊大な自意識過剰男の有意義な学生生活 |『四畳半神話大系』森見登美彦

再び居所に帰ってきました。 次、来年春に日本に帰国する際は脳の動脈のバイパス手術です。 入院する手術はこれで四度目になりますかね。色々やらかしたものです。まあでも実は意外と泰然自若なのです。 子どもたちも無事に大学までは見えてきましたので子育…

誕生秘話含め、脚本作成過程を楽しめる |『猫と針』恩田陸

あ、これは脚本なのか これまで恩田さんの作品を幾つか読んできましたが、「舞台にしたら映えるだろうなあ」という作品が幾つかありました。言っても舞台なんて、人生で10回程度しか見たことはありませんが笑 そうしたら、こちら、劇の脚本?を書かれたよう…

5人の女性の造形・設定を描き分ける。平たく言えば五股の話!? |『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎

こんにちは。 めっきり寒くなりましたね。毎朝血圧を測っているのですが、東南アジアの居所で測るのと比較すると、大体10-15くらい(上が)上昇しています。 気温の変化は確実に体に影響を及ぼしていますね。 そういえば、コロナもインフルも再び流行の兆し…

奈良の史跡を辿るミステリー |『まひるの月を追いかけて』恩田陸

恩田さんの作品を最近結構読んでいます。 理由?それは、恩田氏って多作につき、ブック〇フで安いものが多いから笑。 かの店は、本の需給バランスによって値段が変わるので、ある意味分かりやすくてありがたいです。在庫が多ければ比較的新しいものも価格は…

失恋に負けず、頑張れ! |『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下奈都

ひとこと 本作ですね、婚約破棄された女性が周囲の助けを得つつ回復する、という話。です。 副題:自分の軸の作り方、作ろう「これが私の生きる道」、的な。 で、私の感想は、・・・合わなかったぁ、でした笑 ジェンダーに固執した発言は気を付け慎まなけれ…

死後4年にして明かされる耽美系作家の死の謎とは |『木曜組曲』恩田陸

こんにちは。 48歳にして初の部下なるものを持ちましたが、その結果、結構忙しくなってきました。 仕事の内容はまあ単調なのですが、教えるというのはやはり難しいです。居所に居る場合はオフィスに赴き、バランスシートや図を書いて説明できるのですが、オ…

独特な文体がくせになる、30代男性に親和性のありそうな作品 |『パラレル』長嶋有

そういえば、先日病院に行ってきました。 年初に、海外で軽度の脳梗塞を発症しましたが、日本で幾つかの検査を経て結果、予防的にバイパス手術をした方がよいとのことでした。なんでも、メイン動脈の血流がよろしくなく、そのための辺縁部の細かい血管が頑張…

「心」「意識」があればこそ、世の中は楽しくまた辛い |『劫尽童女』恩田陸

こんにちは。 長男の受験が突然終わりました。ラッキーなことに所謂帰国試験なるもので大学に拾ってもらえることになりました。 高校でも帰国試験、大学付属校なのにアホすぎて内部進学できず。そして大学入試も小論文と面接の帰国試験。 30年前の私。私大文…

居酒屋で隣り合わせたオヤジが、実は業界のすんごい人だった、みたいな本 |『小倉ノート』小倉清一郎

しつこいようで申し訳ないのですが、今年は高校野球(甲子園)にドはまりしました。 神奈川県予選の準決勝を横浜球場で見て、その後決勝をテレビ神奈川で見ていました。横浜高校対慶應義塾、9回表のダブルプレー未遂(横浜高校)とその後の逆転ホームラン(…

ガヤつく関西弁と美しく印象的な日本語、そして不思議ちゃん |『ふる』西加奈子

ひとこと 私のお気に入りの一人の西さんの作品。 相変わらずぶっ飛んだ感じの作品でした。 気になったこと、幾つか タイトルからして「ふる」ってのは頭の中では「振る」?雪が? あるいはあだ名が「ふる」みたいな(古川とか古田)みたいな人が出てくるのか…

哲学的キャリア論!? |『だれのための仕事』鷲田清一

昨年、まだ娘が中三であったときに購入した本作。 娘はキコクというくくりで、日本語力も英語力もどちらも未熟なローティーンでしたが、国語ではとりわけ論説文が苦手でした(多分今も)。大学受験でも往々にして出題されますが、小難しい日本語論、日本文化…

村上版ナショナルストーリープロジェクト? |『回転木馬のデッド・ヒート』村上春樹

かねてから少しずつ実家の書籍を売却していましたが、ここにきて少し勢いがついてきました。 以前からちょくちょくご紹介している通り、居所での本の売却がするするとうまくいくようになってきたからです。 ブックオフで売却すると、特に古い本や人気のない…

死に深く魅入られた高校生が、殺人犯たちを追い詰める |『GOTH(夜の章・僕の章)』乙一

突然ですが、私、古典が好きです。 誤解を恐れずに言うと、時の洗礼を受けた作品をこなすだけで私の読書人生はもう十分だ、と時に思います。 しかし他方で、だとすると私が今に生きる意味は何なのかとか考えてしまう、と。また、子供を読書教信者にするべく…

筆者のひととなりがわかる、仙台愛にあふれた一冊 |『仙台ぐらし』伊坂幸太郎

50年近いこれまでの人生で、2日だけ、仙台に行ったことがあります。 遥か昔ですが、東北大学(院生として)に行きたくて、一日は指導教官(になって欲しい)の教授にテーマの面談、もう一日は入試で。 結局、一蹴、という感じで箸にも棒にもかからず不合格。…

私の想像していた青春高校生の姿!? |『か「」く「」し「」ご「」と「』住野よる

皆さん、高校野球見ていますか? この夏、息子の最後の甲子園予選は、堂々たる一回戦コールド負けでした。で、興味が湧いて、ふと見に行った神奈川県大会の準決勝@横浜スタジアム。これにあてられました。 汗、熱気、頑張り、涙。 試合を見ているだけで終盤…

ビジュアライズで記憶力・認知力アップ |『ザ・マインドマップ』トニー・ブザン、バリー・ブザン、訳:神田昌典

脳についての多くの神話がありますね。10%程度しか使っていないとか、一部が損傷したら他が代替して活動するとか。知らんけど。 事実はどうあれ、未知のパワーを秘めている、未開発の箇所があるという言説は、私ですと『うちの子はやればできるんです』的な…

ファシズムに進む日本の不穏さを描く |『魔王』伊坂幸太郎

東南アジアの果てで、本を読んでいて困ること。 それは本の処分です。 ドンドン増えていくし、売るって言っても古本屋はないし、重たいから日本に持って帰って売るのも、ねえ。 でもでも、私に万一のことがあったら妻が処分に困るだろうなと。日本の実家に国…

個人的には合わなかったけど、YA系が好きな方には良いかな? |『晴天の迷いクジラ』窪美澄

いやあ、最近「消費」しちゃっている感があるんです。 何を、というと、本・作品をです。 読書は好きですし、読んでみたい本は山ほどあるのです。 でも文学系・エンタメ系含め、私の標準読書スピードは概ね2日に一冊くらいでしょうか。仕事の本や健康関連の…

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