海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

かつてのマネーロンダリング・租税回避の仕組み |『SECRECY WORLD』JAKE BERNSTEIN

皆さん、こんにちは。 そういえば、来月12月に引っ越しをします。今の居所ですが、四年間のテナーで契約しましたが、それが切れようとしています。大家が金にうるさいひとで、もろもろ揉めたこともあり別のところへ移ります。 因みに、この部屋、当初6.3万/…

女子高生らが一人称で語る、事件への顛末と真相 |『蛇行する川のほとり』恩田陸 

皆さん、こんにちは。 そういえば、この11月でこちらの会社でお世話になって10年経ちました。 思えば色々ありました。会計課には嫌われ「あいつはアホで英語も喋れないからもう話したくない」と上司にチクられたり、午前2時まで必死こいてエクセルの関数のミ…

賛歌よりもその詠唱の方法が気になる | 旧約聖書 詩編 『聖書 新共同訳』

皆さんこんにちは。 最近ビデオをとっています。誰を?というか、自分のです。 どんだけ自分が好きなんだよ?ってお思いかもしれませんが、単純に英語のスピーチの練習です。 日本を出て10年、スピーチクラブに入って8年くらい、その間何十とスピーチをこな…

起伏に富むストーリ展開。世界史との交差も | 『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹

皆さんこんにちは。 あっという間に一年も残すところあと二月となりました。会社では、ついこの前上期(1H)の自己評価を終えたばかりですが、個人的に勝手にやっているYear Resolution(1月初めの12月終わり)はまだまだ積み残しがあります。 こちらもきちん…

網羅的にAccessのことが分かったと思う。これでフォームは作れるようになりそう! |『できる Access2021 基本編+活用編』きたみあきこ

皆さん、こんにちは。 経費の管理で色々と悩んでいます。 会計データは勘定別に出力するため明細がない。支払管理システムはキャッシュベースなので必ずしも会計データと平仄が合わない(会計上前年度計上にしたものを今期に支払うとか)。 で、私は経費の予…

ムダ毛の話じゃなかった泣 |『毛 生命と進化の立役者』稲葉一男

皆さん、こんにちは。 突然ですが、私、毛深いです。そしてこれは親譲り。簡単に紹介すると以下の通り。 (父親)無毛。パイ毛が一本(幼い時、あのパイ毛を抜きたくて仕方なかった) (母親)毛深い。ストッキングからすね毛がはみ出る (私)毛深い。特に…

輝いているようで茫漠たるモテ系、下位だけど打ち込むものがある非モテ系、高校生大変そう |『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ

皆さん、こんにちは。 私事ですが、昨日で結婚20年でした。 前々から家内とは、早いねー、あっという間だね―などと話していましたが当日まで二人とも忘れていました。仕事中ふと思い出し、どうしよっと思い、急いでグーグルマップでお花屋さんを探し、ちっち…

米国経済エッセイ、昔話として楽しく読める |『人と企業はどこで間違えるのか?』ジョン・ブルックス、 訳:須川綾子

(愚痴長めで済みません) 皆さん、こんにちは。 最近会社の管理職(ローカル)の退職が相次いでいます。 補充が必要なわけですが、当地の金融機関ですと、人を雇うとき、結構多額の費用がかかります。 まずスタッフ・トレーニング・ファンドという謎の業界…

狂気に近い絶望男の叫び |『過酷なるニーチェ』中島義道

皆さん、こんにちは。 これを書いているのが土曜日なのですが、とても気持ちいいです。 金曜日の仕事を終え、土曜はゆっくり過ごしたのでウイークデイの疲れもとれ、運動もしてリフレッシュ。それでもまだ明日休みがある! 週休二日って素晴らしい。 それを…

短篇連作で綴る、殺し屋と泥棒の物語 |『首折り男のための協奏曲』伊坂幸太郎

皆さん、こんにちは。 そういえば選挙、あるようですね。私の居所では在外選挙として早速始まっています。 期せずして期限前であります。 因みに、投票した結果は、最終日に大使館の職員の方がフィジカルに日本に運ぶのだとかなんとか。 本当にご苦労様でご…

数字とはいえ鵜呑みにできない |『データは騙る』ゲアリー・スミス、訳:川添節子

みなさん、こんにちは。 私事ですが、ちょっと最近マラソン、いいかも、と思っています。 といっても、フルとかではもちろんなく、ハーフでも長すぎ。ほんの10kmくらい。これを旅行がてら走る(といか歩くのもOK)ことを夫婦でやろうというアイディア。 マラ…

イヤミスあり、ツイストあり、島の閉塞感をねっとり描く |『望郷』湊かなえ

皆さん、こんにちは。 突然ですが、島って、どんな印象でしょうか? 私はもう島っていうとダイビングや海、バカンスという印象です。というか大好きです。 学生の頃は、沖縄に行って島めぐりみたいなことも。水納島、慶良間島、石垣島、波照間島、竹富島など…

信心をイジられた可哀そうなヨブじい |旧約聖書 ヨブ記 『聖書 新共同訳』

はじめに 短いながらも、インパクトがあったヨブ記。 他の大河ロマン的なお話とはちょっと毛色が違った気がしました。 どんな話? スーパー端折るとこんな感じ。 登場人物は神様、サタン、ヨブ(主人公)、よしてヨブの友人たち。 サタンと神は結託して無垢…

食べることへの愛をユーモアたっぷりに描く |『残るは食欲』阿川佐和子

世に食欲の秋と申します。 地球温暖化が叫ばれ、秋の訪れが後ズレにズレるなかで、秋の食欲への着火も遅くなるのでしょうか? アジアの端くれに住まう身には想像に任せる以外ありません。 さて、今回は食にまつわる阿川さんのエッセイを読みました。こちらの…

平明な英語でダイナミックなライバル劇を描く。ホテル王vs 銀行家の勝負やいかに |『KANE & ABEL』JEFFREY ARCHER

はじめに 英国の作家ジェフリー・アーチャー氏の作品。1940年生まれで若くして政治家になるが、投資詐欺にあい大金を失う。その経験をもとに作家デビューを果たす。議員活動中に偽証罪で投獄経験もあり。 本作は1981年の作品で、氏のキャリア第三作となる作…

戦後の昭和をリアルに表現した翻訳が影の主役か |『浮世の画家』カズオ・イシグロ、訳:飛田茂雄

はじめに 英国のカズオ・イシグロによる1986年の作品。なお彼は2017年にノーベル文学賞を受賞。 戦後間もない1948年から1950年の日本を舞台に、戦前・戦中にもてはやされた某画家の、戦後の葛藤と追想を綴る。 時代のせいか、個人のせいか 久し振りにカズオ…

新任営業リーダーのための予算管理入門 |『会計知識ゼロからのはじめての予算管理』梅澤真由美

皆さん、こんにちは。 最近経費について考えています。 私の役目は拠点全体の経費予算の交渉と地域統括と行い、一旦決まったら粛々とモニタリングすること。 ちなみに総務は経費の支払いにつき、各購入部署が承認済みメモを回覧し、これを証左にして支払う。…

捕囚以降の小章たち。世界史との交わりも |旧約聖書 エズラ記、ネヘミヤ記、エステル記 『聖書 新共同訳』

はじめに これまで旧約聖書で読み進めてきたものの、なんというか、印象は概ね神話的世界観、でありました。 しかしながら、列王記以降は世界史の中でも古代史に該当する部分との重なりが見られ、その点で突飛な英雄伝の風合いは影を潜めたといえると思いま…

形容できない物語?SF?心の話?生き方の話? | 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹

はじめに これまた25年以上ぶりの再読。奥付を見ると平成11年30刷とあります。あ、でも古本ですね。鉛筆で「2冊590円」と奥付上部にありました。まだまだ町の古本屋さんという存在がちらほらと見える時代でありました。 何が良かったのだろう いやあ、この作…

キリスト者のほんわか箴言集 |『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子

皆さん、こんにちは。 当地で古本を頂きました。送料300円払えばあげるよ、ということで10冊くらい?頂戴しました。 で本作はそのうちの一冊。結果はうーん、という感じ。 ところで。 海外で日本語の本を売買する人ってのに会いませんね。 私、読んだ本を処…

警察暴走のディストピア。洒脱さとツイストはデフォルト、におわせ結末は明るめ |『火星に住むつもりかい?』伊坂幸太郎

はじめに 伊坂氏による2015年の発表作品。 国家(平和警察)が市民を疑心暗鬼にさせ、火のないところに煙を立たせるかのような、ディストピア風テイストの小説。 洒脱な会話描写はいつも通り。いわゆる第二期のモヤモヤな進行ながら、最後はやや明るめな結末…

よくある意思決定ミスの仕組みとその処方箋 |『まさか!?自身がある人ほど陥る意思決定の8つの罠』マイケル・J・モーブッサン、訳:関谷英里子

はじめに 米レッグ・メイソンでストラテジストとして勤務する一方、コロンビア・ビジネススクールで非常勤としても教鞭をとる筆者の著作。 一言でいうと意思決定論についての本。 いまいち理解不足 一言でいうと「ムズかしいなあ」というのが感想。 私たちの…

コンパクト版、サムエル記+列王記=歴代誌? | 旧約聖書 歴代誌 『聖書 新共同訳』

はじめに こんなこと言うとナンですが、歴代誌、だるかったです。 というのも概ねサムエル記、列王記のコンパクト版であったからです。 ダブりというか、コンパクト版 もう少し正確に言うと、アダムから始まって、列王記でネブカドネザルの捕囚となるユダの…

もっとも分かりやすい東氏およびポストモダン入門 |『郵便的不安たちβ』東浩紀

哲学を好きな自分が好き? 大学、大学院と哲学をやった割には哲学を知らない(というか分からなかった)私。いまだに淡い憧憬を持ち続けています。 他方で自分を疑うようにもなりました。 若い頃よく単館上映映画をよく見ていたのですが、自分が映画好きだっ…

スリラー系作品?ひそやかな純愛小説ともとれる!? |『Nのために』湊かなえ

はじめに 湊かなえ氏の2010年の作品。『告白』での小説デビューが2008年であることを考えると、初期の作品に該当するでしょうか。 多くの人物が語り、真実がどこにあるか分からない、心理スリラー的作品。ただ読み方によっては恋愛小説? 結局どれが本当の発…

会社の目標のアラインメントを整える、これ相当ムズイと思う |『バランスト・スコアカードによる戦略実行のプレミアム』ロバート・キャプラン、デビッド・ノートン、 監訳:櫻井通晴、伊藤和憲

はじめに KPIについての本は幾つか読んできました。 本作の作者のキャプラン氏、ノートン氏の著作も以前読んでみました。 lifewithbooks.hateblo.jp 結果としては本作の方が良いと思います。 会社の目標って? 私は部署の予算とかKPIとかを見るような仕事を…

ルッキズム、個性、孤独など。寓意に満ちた短編集 |『炎上する君』西加奈子

はじめに 西氏の2010年の作品。8編の短篇からなる作品。 なお、表題作「炎上する君」は映画化もされた模様。 youtu.be ひとこと これまで「ことば」の女王として私の中で(だけ?)際立っていた西氏。 しかし、本作を読み、かなりふかぁーく感じた次第です。…

ホテルが舞台の群像劇。杉江氏の渾身の解説が印象的 |『夏の名残の薔薇』恩田陸

はじめに 最近、月一で読んでいる恩田氏の作品。 今回の作品、結構ドラマドラマしているな、というのが印象ですかね。 概要 内容をザックリ言うと、夏の人里離れた高級ホテルで繰り広げられる群像劇、といったところ。 一代で財を成した沢渡グループが運営す…

日本の日常食、ミニマムスタンダードの提案 |『一汁一菜でよいという提案』土井善晴

会社の元同僚の姉さんみたいな方からもらった本。ぷらっと小旅行に行っている時に読んだものです はじめに 料理研究家の土井善晴氏による料理本。内容はといえば、日本の日常食、ミニマムスタンダードの提案、とでも言ったものかと思います。 手作り神話と日…

つまづいた人たち恋愛小説。ある意味ほっこり系!? |『どれくらいの愛情』白石一文

はじめに 白石氏の作品はこれで二作目。 前回読んだ『僕の中の壊れていない部分』が見事なまでのダメンズ小説!?であったので、今回もきっとスかした女ったらしみたいな主人公がわぁわぁいう小説かなあと勝手なイメージを描いていました。ところが、かなり…

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