海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

MECEによる問題解決入門 |『超MBA式ロジカル問題解決』津田久資

皆さん、こんにちは。 薄々感じられているでしょうが、当方あまのじゃくで、流行りが嫌いです。 出版業界でいうと、最近だと「〇〇がすべて」「○○が9割」「〇〇が3時間で分かる」「世界の〇〇を××冊読んでみた」的なやつです。あれはダメですよ。嘘っぽい。 …

自分の<哲学>を引き受けよ |『<子ども>のための哲学』永井均

皆さんこんにちは。 今回は哲学の本です。今年一時帰国をした際に持って帰ってきた本。処分しようかなと思ったけど、これはもう少しとっておくことに決定。自分で読んでもまだ面白いし、他人にあげても喜ばれるかもしれない。 読後なんだか興奮してしまい、…

ハードコアエロ、転じて公権力の恐怖、そして思うのは近しい人をどう理解するかという事 |『日本のセックス』樋口毅宏

こんにちは。いやあ、あっという間に今年も終わりですね。 ここでは殆ど読書にまつわることしか書かないのですが、年末は少し趣向を変えようかな、と。読書をして血肉となった知識から立てたYear Resolutionですが、その結果について記事を書きたいと思いま…

中級者以上向け。歴史の流れとともに隣国同士の関係も詳述。 |『東南アジア史10講』古田元夫

先日、標準月一回のZoomミーティングを子どもたちとしました。 その中で兄(長男)から出た不満。妹(長女)が家事をしないとのことでした。 彼ら、祖父母と同居しており、二階部分を子どもたちが使っています。うち、二階のトイレの掃除、そして洗濯は子ど…

金融機関収益管理とバーゼルIIIリスク指標を総合的に勘案する |『金融機関のROE戦略』金子康則・平田光義

皆さんこんにちは。 年末になると当地ではお休みを取る人が増えます。いわゆる有給消化です。 日本にいたとき、確か有給持越しは40日くらいできた記憶がありますが、ほとんど有給など使えず、毎年付与される有給はどぶに捨てるがごとく期限切れとなっていま…

ハッピーエンドのディストピア? スリリングさに洒脱とユーモアが入り混じる傑作 |『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 月末憂鬱なこと。私は家計簿つけですね。お手製のエクセルで管理です。 私と家内は国外で、子どもたちは日本ですので、邦貨と外貨で2シート作成し、トップに合算ベースのサマリーシートと3シート構成のエクセルです。 いやあ、今年はもう…

旧約聖書に歴史的考証を加えた良書 |『聖書時代史 旧約篇』山我哲雄

ガザ地域のハマスとイスラエルの衝突・内戦、誠に痛ましい限りです。 私の今年のテーマの一つはキリスト教の勉強でしたが(過去形!?)、その先には、いつかイスラエル近辺を聖書を片手に歩いてみたいという仄かな夢がありました。そんな矢先の紛争ぼっ発で…

東南アジア現代史をちょいかじり。興味の火付け役になれるか |『池上彰の世界の見方 東南アジア』池上彰

うちの上の子は高校3年なのですが、不精癖が抜けないのか、高校、大学と、所謂「帰国」試験でパスしてしました。 さなかで、某大学の志望動機では「東南アジアでの生活の経験を生かして」云々書いていました。が、その実、基本やりたいことも分からないし、…

独特の世界観、ファン向けか |『きのうの世界』恩田陸

そういえば、そろそろ今年も残すところ一カ月半。 毎年一年の計、というか、new year resolutionというのを作っています。「今年はこういうことしたい」という決意表明ですね。 そろそろ締めにかからなねば、ですね。 出来ていることもあり、出来ていないこ…

京都と失恋と仲間+伝奇。色褪せない青春の爽やかさ。 |『鴨川ホルモー』万城目学

最近、死ぬことを意識してかしてないのか、ブログの記述に『昔は』『学生時代は』などの表現がおおいな、と感じます(調べていないけど)。さらには学生モノ・青春モノをふと読んでしまっています。 したらほら、今度は万城目ちゃん読んじゃった。この前は森…

相変わらず面白い。洒脱で微熱的おかしみ with死神 |『死神の精度』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 いやあ、この前結婚式に出たと思ったら、コロナにかかりました。一年ぶり二度目。 ワクチンはチャイナ2本と米系1本の3本も打ったんだけどね。そのせいかそこまで辛くもなし。 ちなみに30歳そこそこの駐在君はあっという間に2回かかって…

非業の愛を繰り返す男女。永遠の愛か、それとも呪いか |『ライオンハート』恩田陸

家内の弟の結婚式が週末にあり、バタバタしておりました。 家内は五女一男の三番目で、末っ子の長男とは10歳違い、長女とも10歳違うとのこと。お義母さん、頑張りましたね。おまけに義母・義父も兄弟が多く、私の結婚式もそうでしたが、まあ親戚が覚えられな…

重厚で尊大な自意識過剰男の有意義な学生生活 |『四畳半神話大系』森見登美彦

再び居所に帰ってきました。 次、来年春に日本に帰国する際は脳の動脈のバイパス手術です。 入院する手術はこれで四度目になりますかね。色々やらかしたものです。まあでも実は意外と泰然自若なのです。 子どもたちも無事に大学までは見えてきましたので子育…

奇天烈で面白いキャラと展開。なのに最後にほろっと来る。友っていいなあ |『砂漠』伊坂幸太郎

大学時代の友人とのバカ騒ぎっていうのは、多くの方の記憶に残っていると思います。 本作『砂漠』は、そういういつもつるんでいた仲間のことが脳裏に浮かぶこと間違いなしの名作であります。 僕(北村)、南、鳥井、西嶋、東堂、の五人の個性ある仲間たちの…

誕生秘話含め、脚本作成過程を楽しめる |『猫と針』恩田陸

あ、これは脚本なのか これまで恩田さんの作品を幾つか読んできましたが、「舞台にしたら映えるだろうなあ」という作品が幾つかありました。言っても舞台なんて、人生で10回程度しか見たことはありませんが笑 そうしたら、こちら、劇の脚本?を書かれたよう…

企業スポーツの終焉とビジネス環境の変化を描く |『ルーズヴェルト・ゲーム』池井戸潤

スポーツが好きです。 何っうか、頑張っている姿が好きなんです。うまい下手関係なく一生懸命さが素敵だなあ、と感じます。 才能に完膚なきまでに打ちのめされることもある。相手に追いつくために練習し、打ち勝つための戦略やデータ収集を行い、うまくいく…

5人の女性の造形・設定を描き分ける。平たく言えば五股の話!? |『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎

こんにちは。 めっきり寒くなりましたね。毎朝血圧を測っているのですが、東南アジアの居所で測るのと比較すると、大体10-15くらい(上が)上昇しています。 気温の変化は確実に体に影響を及ぼしていますね。 そういえば、コロナもインフルも再び流行の兆し…

奈良の史跡を辿るミステリー |『まひるの月を追いかけて』恩田陸

恩田さんの作品を最近結構読んでいます。 理由?それは、恩田氏って多作につき、ブック〇フで安いものが多いから笑。 かの店は、本の需給バランスによって値段が変わるので、ある意味分かりやすくてありがたいです。在庫が多ければ比較的新しいものも価格は…

失恋に負けず、頑張れ! |『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下奈都

ひとこと 本作ですね、婚約破棄された女性が周囲の助けを得つつ回復する、という話。です。 副題:自分の軸の作り方、作ろう「これが私の生きる道」、的な。 で、私の感想は、・・・合わなかったぁ、でした笑 ジェンダーに固執した発言は気を付け慎まなけれ…

死後4年にして明かされる耽美系作家の死の謎とは |『木曜組曲』恩田陸

こんにちは。 48歳にして初の部下なるものを持ちましたが、その結果、結構忙しくなってきました。 仕事の内容はまあ単調なのですが、教えるというのはやはり難しいです。居所に居る場合はオフィスに赴き、バランスシートや図を書いて説明できるのですが、オ…

天才打者の短い一生を寓話的に描く |『あるキング』伊坂幸太郎

50も近く、病気もあるので、徐々にですが身辺整理を心がけています。 最近進めているのは銀行口座でしょうか。かつては6つも7つもありました。80を超えた母親がかつて勝手に父親名義で作った口座を今処分できずにいる(父親は半ボケで家から絶対に出ない)の…

独特な文体がくせになる、30代男性に親和性のありそうな作品 |『パラレル』長嶋有

そういえば、先日病院に行ってきました。 年初に、海外で軽度の脳梗塞を発症しましたが、日本で幾つかの検査を経て結果、予防的にバイパス手術をした方がよいとのことでした。なんでも、メイン動脈の血流がよろしくなく、そのための辺縁部の細かい血管が頑張…

「心」「意識」があればこそ、世の中は楽しくまた辛い |『劫尽童女』恩田陸

こんにちは。 長男の受験が突然終わりました。ラッキーなことに所謂帰国試験なるもので大学に拾ってもらえることになりました。 高校でも帰国試験、大学付属校なのにアホすぎて内部進学できず。そして大学入試も小論文と面接の帰国試験。 30年前の私。私大文…

美しく不穏な流れの中に、多様な解釈を包含する作品 |『遠い山なみの光』カズオ・イシグロ、訳:小野寺健

長男の学園祭へちょっとだけ行ってきました。 そして顔見知りの部活のお母さまたちへ挨拶。一学年で9人も集まらない野球部で、うちを含め同学年は僅か3人。他の2名のお母さまにお会いできました。お話するのはもっぱら子どもたちの進学です。これからどうす…

自動化する「組織」に対し、個はどのように反応・反抗するのか |『モダンタイムス』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 急に秋らしくなりましたね。部活で出ていた娘が、LINEで、「今日ご飯何?」「できれば鍋がいいんだけど」と送ってきました。それほど。 日本の秋は本当に美味い。かつて女子の食べ物と考えていた焼き芋ですが、今期より私も参戦。シルク…

マクロ経済学と歴史文化の交差点 |『波乱の時代(下)』アラン・グリーンスパン 訳:山岡洋一、高遠裕子

最近気づいたこと。 いつも本文の内容とは全く異なる「まくら」を書いてから感想を書くのですが、この「まくら」の部分が他のポストと関連していると思われることがあるようです。ウーム。 前回高校野球の本を読んだのですが、関連したポストとしてサミュエ…

居酒屋で隣り合わせたオヤジが、実は業界のすんごい人だった、みたいな本 |『小倉ノート』小倉清一郎

しつこいようで申し訳ないのですが、今年は高校野球(甲子園)にドはまりしました。 神奈川県予選の準決勝を横浜球場で見て、その後決勝をテレビ神奈川で見ていました。横浜高校対慶應義塾、9回表のダブルプレー未遂(横浜高校)とその後の逆転ホームラン(…

自分を塗り替えることでしか生きられなかった者への共感 |『ある男』平野啓一郎

私の在所には、日本映画祭というものがあります。 国際交流基金という独立行政法人が主催しており、主に日本の文化・芸術を広めるような活動をしています。で、そこで上映される日本映画が私のところですと大体300円くらいで見れます! ローカルの外国人では…

ガヤつく関西弁と美しく印象的な日本語、そして不思議ちゃん |『ふる』西加奈子

ひとこと 私のお気に入りの一人の西さんの作品。 相変わらずぶっ飛んだ感じの作品でした。 気になったこと、幾つか タイトルからして「ふる」ってのは頭の中では「振る」?雪が? あるいはあだ名が「ふる」みたいな(古川とか古田)みたいな人が出てくるのか…

セントラルバンカー回顧録、現代史的にも面白い |『波乱の時代(上)』アラン・グリーンスパン 訳:山岡洋一、高遠裕子

金融業界で業務に携わっているので、その業界のかたの回顧録は役に立とうと考え、ずっと積読しておりました。 実は一度トライはしたのですが、マジで長い!そのため一か月かけても上巻の途中までしか行かず、忙しくなったりなんだリで挫折。今回は気を取り直…

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