海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

ユダヤ教ルールブック!? |『七十人訳ギリシア語聖書』レビ記、訳:秦剛平

レビ記=ルールブック!?

さて、昨年から始めている聖書読んでみようキャンペーンですが、今度は旧約聖書レビ記を読了しました。

 

レビ記モーセ五書のひとつですが、ひとことで言えば、ルールブック的記述の網羅が印象的でした。

 

ルールの内容

今付箋の箇所を振り返っています。

 

印象的なのは食べ物の判断。

地を這うものは不浄、ということで爬虫類は食べてはだめ。これに触ったものは7日間は不浄。蹄が完全に割れ、反芻をする動物は食べても良い、そのいずれかが欠けていたらそれは不浄、とか。

 

ハンムラビ経典を源流とするといわれる「目には目を」の記述もこのレビ記の24章にあります。ただ単純にやられたらやり返せ、というわけではなく、「神の名を冒涜するものは必ず罰が下る」という枕詞があります。とすれば、「お前の神様、バーカ」と言いつつ殴られたら、当人は同じく罰として(神から)殴られるだろう、とでも言った意味あいになるのだと思います。

 

その他、一般的なルール、不倫はダメとか、貧しいものには施せとか、祭祀に関するルールとか、が細々ありました。女性の産後は不浄、生理の時は不浄等々も記載あり。

 

 

もう一つ

もう一つ驚いたことは、モーセの兄アロンの子である、エレアザルとイタマルが儀礼のやり方をミスって、一瞬のうちに神様に殺されるくだりがありました。

ある意味で神の前ではみな平等で、司祭につながるものでも特別扱いはされないという事でしょうか。あるいは、神の力の恐ろしさを後世にも伝えるためでありましょうか。ユダヤの神はツンデレのツンの時、ヤバいです。

 

おわりに

ということでレビ記でした。

今は居所に里中真知子さんの漫画を置いてきたので随走ならぬ髄読できません。

次回は民数記にトライします。

 

評価 ☆☆☆

2024/04/15

洒脱な半藤氏の語りが光る |『歴史と人生』半藤一利

はじめに

齢90にて2021年に逝去された半藤氏。

いつかはその著作を読んでみたいと思っていました。そしてこの度某中古本屋で裏表紙も見ず、タイトルだけで購入した次第です。ちなみに本作は著者が88歳の時に出版したものだそう。すごいですよね。

 

第一印象は・・・

作品そのものの第一印象はちょっと残念、あーあー、という感じ。
というのも、本作はこれまでの著作集の良い部分などを部分部分取り出して、編者が「リーダーとは」とか「漱石について」などと章立てをしたものゆえ。

個人的には誤った理解でも良いから「直接」著者を感じたかった。編者の介入なくダイレクトに著者のエッセンスを吸いたかったのです。まあ選んだ自分がダメなんですが・・・。

 

良い部分も

とはいえ、とはいえ。

やはり瞠目するものが幾つもありました。

まず、日本語が骨太で美しい。

折々に俳句などを挟み、風雅でかつ洒脱な文章を書かれる方。筆者は歴史探偵というだけあって色々と博学なのですが、言葉にも歴史があります。どうやら万葉の時代はもっと荒々しく情熱的だったとか、そういう話にもへえーとなりました。日本語の起源や、万葉の世界、このあたりもいつか攻めたいところです。

 

次に良かったのは、明治の文豪の描写。

永井荷風の戦前戦中の徹底した戦争反対とその孤高ぶり、漱石の「学者ではなく著者として100年1000年単位で名を遺す」決意。

このようなことを読むにつけ、これは荷風漱石も読まねばならないなあ、と思わせるのです。

 

そして最後に反戦への思い。

やはり半藤氏は戦争経験世代なので、日本人という集団になると流されやすい国民(どこもそうなのかな?)がすっかり戦争を忘れてまたぞろ9条を捨ててしまうのではないかと危惧。

これは深く膝を打った点でした。

マスメディアやYoutubeもそうですが、お金という資本中心の世界で動いています。正しいことを報道するよりも、より視聴者・スポンサーが集まる見せ方をするわけです。自分が豊かになり、自分が気持ちよくなるために。

例えば戦争主義者のインフルエンサーが政治家、よしんば首相になったらどうか。「いやあ、それとこれとは違うでしょ」というのが常識的な反応。でも私自身は自信を持てません。戦争を経験していないから。

どれほどあっという間にあれよとあれよと戦争へと突き進んだのか、半藤氏は体感していたのです。このあたりもまた興味深いポイントです。

 

おわりに

ということで初半藤作品でした。

自称歴史探偵という半藤氏ですが、歴史が好きになりつつある私には、半藤氏は逝去した年の離れた憧れパイセンみたいな感じ。でも全然堅苦しくない。半藤氏が好きだという永井荷風夏目漱石含め、今後読んでみたいと思います。

 

評価 ☆☆

2024/04/11

 

メディチ家内の人間ドラマを描く |『銀色のフィレンツェ』塩野七生

塩野七生氏の歴史絵巻三部作のうち、これが二作目。

 

こんな話

前作同様、ヴェネツィアの貴族マルコが主人公。

前作末、政治勢力図の変更もありヴェネツィアでの殺人事件のごたごたの責任を取らされ、一時的な追放を余儀なくされたマルコ。外遊ということでフィレンツェへ。

 

これまたフィレンツェで政治騒動に巻き込まれますが、フィクションですのでそんな偶然もご愛敬。

今回の舞台はルネサンス期後半のフィレンツェです。隆盛を極めたメディチ家、ではなく、むしろ経済的には落ち目にあり、軍事や政治へシフトしつつあるメディチ家を描きます。

 

政体論からの、現代政治

塩野氏というと、歴史と共に、イタリア政治を語るイメージがあります。

本作では、登場人物に政体論を大いに語らせています。

 

隣国のヴェネツィアが共和国である一方、時のフィレンツェは侯爵の収める言わば君主制。そこで外交経験豊富な主人公マルコは、傍系ながらもメディチ家の若い血、ロレンツィーノと邂逅します。更に、同国稀代の政治家・外交官のフランチェスコ・ヴェットーリらも合流、政体論を繰り広げます。

 

主人公のマルコは創作ですが、それ以外は実際の歴史上の人物ということで、このヴェットーリという政治家はマキャベリの友人であった実在の人物。

物語上では、ヴェットーリのリードのもと、政体の良しあしではなく、市民が満足するならば政体はどれでも良し、ということに。で、市民の満足はどこから得られるかといえば経済的繁栄ということに落ち着いたようです。

 

これを読んだ途端、私の脳裏にはフィレンツェヴェネツィアよりも、明るい北朝鮮と呼ばれるシンガポールが思い浮かびました。色々とルールが厳しかったり(麻薬の持ち込み=即死刑とか)しますが、周辺国はみなシンガポールを目指しますよね。

 

対して日本はどうなんでしょうか。経済?いまいち伸びていなさそう。政治?首相はコロコロ変わります。

日本の(というかうちの!?)会社でもつとに感じますが、長期的視点で運営できないとなると、致命的な無責任運営になりかねない気がします。三か年計画とか言って作っていますが、作成から三年たって、どれだけ携わった人・責任者が残っているのか。

 

もちろん、経営・政治は、いうのは簡単ですが、成し遂げるのは難しいのでありましょうが。

 

それから

その他、前回登場したオリンピア(こちらもマルコ同様創作の人物)も登場。今度は神聖ローマ皇帝カール5世の密使として、時のフィレンツェの為政者の侯爵アレッサンドロを見張るというのがお仕事でした。

 

なおマルコとの熱愛?も相も変わらず続いている様子であります。

 

おわりに

ということで歴史絵巻三部作の二作目でした。

前作はヴェネツィアのほかにイスタンブールまで描かれておりスケールが大きかったため、本作はややこじんまりした印象があります。

 

但し、フィレンツェの街をじっくりと描写しており、旅行に行かれる方にはなかなか面白い作品なのではと思いました。エトルリア人が作ったと言われるフィエーゾレ、ウフィツィ美術館、ベッキオ橋等々、観光地の有名どころがかなり描きこまれている印象です(地図付きです!)

 

評価 ☆☆☆

2024/03/23

 

三部作の一作目も読みました。

lifewithbooks.hateblo.jp

 

 

外交に国運を賭するヴェネツィアと、翻弄される人民 |『緋色のヴェネツィア』塩野七生

皆さん、こんにちは。

私事ですが、毎年Year Resolutionを作成しています。簡単に言うとプライベートでのKPI。この中で数年前から旅行KPIというのを作っており(実際は奥様の満足度向上KPI、という名称なのですが)、なるべく家内を旅行に連れ出すという事をしています(怒りの目線を私から反らす、と)。

 

で、今年は大枚をはたいてイタリアに行きました。

ヴェネツィアにはいきませんでしたが、ローマとフィレンツェをゆっくり回りました。

 

ということで今回の読書は、事後学習!?とも言うべき後追い読書の位置づけであります。個人的にこつこつと世界史を学んでいる身としては、トルコ関連の内容がこれまたしみいる内容となっておりました。面白かった!

 

 

はじめに

古代ローマ・中世ルネサンスの著作が多い塩野氏の作品。

中世イタリアはヴェネツィアを舞台に、貴族の息子と貴族の庶子の運命的な結末、都市国家ヴェネツィアとトルコや周辺列強諸国とのパワーバランスを華麗に描く。

 

外交・交際政治を豊かに描く

先ずもって感じたのは、この本は国際政治の本だ、ということです。

主人公マルコは貴族の子として、若くしてヴェネツィア共和国の運営に関わり、外交官としてイスタンブールへも派遣される。彼の役割といえば、トルコでの情報収集、ヴェネツィア本国のリエゾンとしてトルコの宰相への口添えなど。

こうした仕事は何のためかといえば、小国たるヴェネツィアが北のハプスブルク(ウィーン)、西のスペインに蹂躙されないためです。そのために非キリスト教国ながら属国下の他宗教には寛容であるイスラム教国たるトルコと秘密裡に関係を強化しようというわけです。

 

外交とは国益を守ることなどという事がありますが、より端的に言えば国が生き残るべく泥臭く根回し・情報操作することなのでしょう。

本作はそうした政治・外交の機微が非常によく描かれていたと思います。とりわけ、トルコであてにしていた宰相イブラヒムの権力に陰りが出てきて、国際政治的にヴェネツィアに逆風が吹き始め、この先のかじ取りや状況を悲観する主人公の独白は、外交というものの正鵠を射ていると思いました(P.282)。

 

とはいえ、内容の2/3はヴェネツィアでの情景です。悪しからず。

 

トルコ史との関連もチェック

って言いつつ書きますが、時はスレイマン一世(1494-1566)の治世。幼馴染にして奴隷であるも宰相にまで上り詰めるイブラヒム、さらにはロシアから奴隷として連行され、これまた王妃にのし上がるシュッレム(作品ではロッサーナ)が権力を増しつつあった時代の話です。

本作はヴェネツィア側から描かれていますが、トルコ側の当時の様子としてはHulu収蔵のテレビドラマ『オスマン帝国外伝 愛と欲望のハレム』を見ていただくと非常に分かりやすいと思います。私の記憶では、上記のドラマでは、ヴェネツィアの外交官というとブクブクと太った欲深そうなおべっか使いみたいな描かれ方だったと思います。

 

恋愛要素もしっかり

さて、そのほかにも主人公マルコと娼婦オリンピアとのちょっと真剣な関係、ヴェネツィア宰相の庶子アルヴィーゼと有力者プリウリ夫人との道ならぬ恋など、人のさがの機微もじっくりと物語に練りこまれていると思います。

こうした物語の作りこみが作品の完成度を上げていると感じました。

 

おわりに

ということで、塩野作品は二作目でした。前回はエッセイを読んだので、本格的な作品はこれが初めて。

歴史ものは結構好きかもしれません。非常に面白く感じました。3部作となっている模様ですので、続編も続いて読んでみたいと思います。

 

私のように歴史好きな方以外にも、旅行でヴェネツィアやトルコ(イスタンブール)に行かれる予定のある方、あるいは世界史で中世(オスマントルコ時代、イタリア史)を勉強する必要のある方にはお勧めできる作品かと思います。

 

評価 ☆☆☆☆

2024/03/16

マイクロマネジメント神、降臨! |『七十人訳ギリシア語聖書』出エジプト記、訳:秦剛平

 

さて、昨年から始めている聖書読んでみようキャンペーンですが、今般旧約聖書出エジプト記を読了しました。

 

ひとこと

結果から言うと、ループ的記述と、マイクロマネジメント神、が印象的です。

 

神さまは我慢強い?というかTry&Error好き?

出エジプト記は全体で40章。

そのうちの前半は、モーセの「エジプトから出してください」、ファラオの「ダメ」、神の「じゃあ厄災プレゼント」、ファラオ「わかったよ、とっとと出ていけ」、モーセ「マジで出て行っていいすか?」、ファラオ「気が変わったやっぱダメ」、という件を無限ではないですがループします。

 

最終的にファラオがモーセイスラエルの民を追っ払いますが、所謂海が割れるシーンは聖書の中では極地味。

また十戒を授かる場面もそれほど劇的ではありませんでした。ここまでが概ね前半部

 

切れるモーセに驚愕

寧ろ印象深いのは後半。

十戒を授かるべくモーセが山にこもっている間、なんと兄のアーロンとゆかいなイスラエル民たちが、金を持ち寄って牛の偶像を作り、お祭り騒ぎ! ようやく山から下りてきたモーセ激ギレ。せっかく賜った石板を投げ割り、参加者皆殺し!ただし兄は除く。マジかよ。

 

因みに、モーセは再度シナイ山へトレッキング後、無事二度目の石板を神様からゲット。やれやれですね。

そしてここから神様のマイクロマネジメントが始まります。

幕屋の仕様(採寸、素材、製法)にもこだわりが見られ、そのほか調度品や礼服にも同様。これらの記述に全40章あるうち10章が費やされていました。細かいなあ。

 

おわりに

ということ、旧約聖書のうち出エジプト記を読了しました。いわゆるモーセ五書のうち二つを修了です。

因みに、当初より「コンサイス聖書歴史地図」をお供に読んでいますが、今回里中満智子さんの漫画も併せて再読しています。改めてですが、里中さん、相当聖書を読み込まれたと思います。自分が聖書を読んでいるからか、とても感じます。

マンガですが、全くバカにできません。

 

評価 ☆☆☆

2024/02/13

 

人間を通じて辿るローマ通史 |『教養としてのローマ史の読み方』本村凌二

皆さん、こんにちは。

数日前までローマにおりました。皇帝の像とか、ヴァチカン博物館に確かにたっくさんありました。んが、改めてローマ史は書籍で読むとなかなか難しい、と感じました。

かつてギボンの大著も、本村氏の別のものも読んだことがあります。でも、脳が劣化しているのか、読中その瞬間瞬間は面白いのに、読了したあと、『じゃあ何が面白かったか?』と問うと言葉に詰まる。というか覚えていない。

今回のも非常に面白かったのです。今回は忘れる前にと、雑巾を絞るように言葉にしました。

 

ひとこと

以前も本村氏の本を読みました。もう内容も覚えていないのですが、おぼろげに面白かったことを覚えています。

今回、改めてローマ史について読みましたが、これは実に面白かった。忘れないうちに備忘として記録に残したいと思います。

 

大河ドラマばりの人間ドラマ

本作、ローマの歴史1,200年を通史として紐解いています。で、実に面白い。

それはやはり、人にフォーカスしているからだと思います。紀元前8世紀から共和制を経て、そして賢帝たち、続いて軍人皇帝時代を経ています。

賢帝でも愚かな息子を次の帝位につける、反抗した軍でも恭順を示せば許す、気前の良いことを言って約束し財政を悪化させる、反乱に諦めかけるところを妻の一言でやる気を出す等々。

良いことも悪いことも、すべて感情をもった人が行うこと。1,200年もあれば大概の事例が出てきてもおかしくはないわけです。こうした人間ドラマという切り口で政治史を読み解く巧みさにより、すんなりと文章が読めたと思います。

 

例えれば、NHK大河ドラマでしょうか。

歴史の古臭い物語ながら、多少の脚色はあろうとは思いますが、そこに描かれるのは人間ドラマ。だから面白い、と。

ただ、本作の場合、皇帝の数がまあ多いです。ですからもう瞬間瞬間は読んでいて面白いのですがもう皇帝の名前とかは覚えきれません。。。すみません。

 

衰亡の理由への踏み込みもナイス

次に白眉であったのは、「なぜローマは衰退したのか」ということへの解説です。世にいう説はどうやら三つほどあるそうで、「衰亡説」「異民族問題」「変質説」に解説されています。

 

「衰亡説」は経済的に衰えていったと。栄枯盛衰ではないですが、ピークを保つのは難しいですし、上がれば下がりますね。具体的にはかつては貴族が出していたインフラへの投資。老朽化していくとメンテナンス代がかかりますが、政府(というか皇帝)はここまで面倒を見るつもりがない。多少のメンテナンスはあっても根本的に古くなっていくと。となると非効率なインフラが非効率な生活につながり、あとは応じて国力も落ちてゆくということなのでしょうか。

 

「異民族問題」は民族大移動とも関連しています。寒冷期が始まり、ゲルマンがより温かい南に進出してきた。でも実はその前にフン族によりゲルマンが押し出されてもいた。またゲルマンを取り込んで親衛隊等に組み込むことで爾後軍人皇帝時代の混沌を呼んだといってもよいでしょう。これは良い悪いではなく結果からみてそういう原因に見える、ということなのだと理解しました。

 

最後に「変質」説ですが、これは本村先生が押しているように見えます。端的に言えば「寛容さ」を失った、というものです。かつては許す・受け入れるという文化が広まっていたものの、そのような文化が消えていったということのようです。またギリシア・ローマ的な万神論的な思考から、キリスト教一神教が国教となったことも大きいようです。

このあたりは非常に興味深くて、キリスト教が偏狭であると言っているのではないのですが、他の宗教を認めないという司教(アンブロシウス)が力を持ったり、皇帝へのプレッシャーをかけたことなどが大きいようです

 

おわりに

ということで、本村先生の著作でした。

非常に読みやすいにも関わらず格式たかく歴史を謳い上げている佳作でありました。タイトルにある通り、教養としてこういうのがさらっとしゃべれるとちょっと素敵ですね。

世界史が好きな方にはおすすめできます。

 

評価     ☆☆☆☆

2024/02/01

 

かつて本村先生の本を読みました。印象しか残っていませんが。。。

lifewithbooks.hateblo.jp

 

 

結構有名なエピソードいっぱい |『七十人訳ギリシア語聖書』創世記、訳:秦剛平

昨年から引き続き今年も聖書にチャレンジの年にしていきたいと思っています。

 

昨年は所謂解説書が多く、何だか聖書の中心で円を描きながらうろうろするばかりで、核に「ズバ」っと進むことが出来ませんでした。

 

新年を迎え何とかその核心に至る一歩を踏み出すことが出来たと思います。

 

そしてなんとか創世記については読み終えました。今回は所謂モーセ五書それぞれの「書」ごとに、読後振り返りたく思います。

 

 

間口がひろい

創世記とひとことで言いますが、そのカバレッジはかなり広かったです。

ザックリとコンテンツを振り返れば、

 

天地創造

カインとアベル(初の殺人)

ノアの箱舟

・イサクを献納するアブラハム

エサウヤコブの確執

・オナンの小噺(オナニーの語源)

・ヨセフと兄弟との確執、エジプトでの成功

 

等があります。

 

これらは、日本でもところどころで語られ、部分的に知られているところだと思います。

 

感じたこと

でですね、感じたことなんですが、そこまで多くはありません。

これまでも類書を相応に読んでいたせいか、ああ、あれね、という感じですんなり読めたと思います。

 

新しい発見は幾つかありました。

 

・アダムとイブの子どもにはカインとアベル以外にもう一人いた。その名もセト(第四章)。その後の系譜については言及なし。では記述される意味合いは?

 

・他民族には容赦ない。ディナの凌辱と結婚のために申し出てきたた異部族のハモルとシケムだったが、当該部族の全男子が割礼すれば許すとの約束も、割礼した後皆殺しに(第三十四章)。きっつー。

 

言葉は良くないのですが、イメージとしては周囲からみて「閉じている」という印象です。

本当に印象で語っているのですが、毒親に育てられ価値観がちょっと他人と違う子ども(民族)、みたいな印象がまずは創世記の読後です。

 

おわりに

ということでまずは創世記、クリアです。

 

なお本書の通読に当たっていは理解をより深めるため『コンサイス聖書歴史地図』を片手に読みました。聖書の登場人物は中東をこれでもかと動き回っていることが分かります。

 

評価 ☆☆☆

2024/01/21

 

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