海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

40半ばのオヤジには響きました-『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』著:藤原和博

坂の上の坂

坂の上の坂

灰色に見える老後を生き抜くためには、今から準備が必要です

 熟年離婚、卒婚、色々言い方は借るかもしれませんが、日本人はおおむね配偶者と仲が良くないものです。そうした連れ合いを含め、このまま普通に穏やかに死に至れると思いますか?

 

著者は知っている人にはそこそこ有名な元リクルートの方で、初めて民間出身で公立中学の校長になった方です。

 

半分エッセイで半分自己啓発系のノリですが、端的に言えば、老後に備えて55歳までに多くのことについて準備せよという本です。かつてのNHK大河ドラマ坂の上の雲」をもじっているタイトルですが、坂を上り切ったと思ったらさらにまだ坂が続いていたという意味で、人生の長寿リスクへの対処法を述べています。

 

具体的には、奥さんとの仲、会社との距離や関係、社外でのつながり、お金について等々、網羅的に書かれています。55のアイテムについてすべて見直すことはできずともいくつかは人生を再構築するうえで参考になるのではないかと思います。

 

私事ですが、当方もおおむね著者の薦めるような道をたどっているかもしれません。

確かに今、40代半ばですが、人生で一番効率的に仕事をこなし、一番勉強し、また一番家族と時間を使っている自覚があります。一番健康である自信もあります。

大京大ではないですが、まあ悪くはない大学を出て就職しました。ただ氷河期世代ということもありましたし、才能の問題ということもありましたが全く出世しませんでした。30過ぎて立て続けに三度も入院を余儀なくされました。結局二回の転職を経て、現在は三社目で海外で生活しています。お金は常にかつかつでここは戦略もへったくれもなく早急に考えねばなりませんが、それ以外は家族との関係、子供との時間、飲み会は殆ど断る、仕事は粗社内自営業的、社外でのコミュニティでバリューを発揮する、という生活です。確かに楽です。

 

ただ、著者の薦めるやり方は、あくまで器用な著者だからこそできるのではないかと思います。学歴も実績も十分、お金も余裕はある。健康はやや害したとはいえ、もう言うことないじゃん、と斜に構えて読めてしまいそうです。

 

実際には会社のしがらみとか、こじれた夫婦仲とかはそうそう簡単には糸がほぐれないと思います。そこがすんなりできてしまったのだから著者は本まで書けてしまうのでしょう。ただ普通の人は違うと思います。

 

ただ肩ひじ張らずに楽に読めます。話している内容も自己の体験談が随所にちりばめられておりへーっと感心しながら読めました。

評価 ☆☆☆☆

2019/12/12

坂の上の坂

藤原 和博 ポプラ社 2015年01月02日
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