こちらも初心者向きかと
一般的に日本人は目立つのとかあまり好きじゃないし、いわゆるリーダーシップとか取るのは苦手ですよね。謙遜とかへりくだる文化もあるため、人前に担ぎだされそうになると、いやいや私はそんな、と自嘲気味に断ることが多々あります。
とは言えそんなことを言っていられないのが組織です。
この本はそんなImposter syndromeに陥りがちな自信がない人向けに書かれた本だと思います。
書いている内容は端的にいうと、リーダーは心だ、ということだと思います。手を変え品を変え繰り返し語られるのは、一貫性をもってぶれない姿勢を示せ(P.104)とか、人のポーカーフェイスの裏の感情を感じ取れ(P.120)とか、メンバーのファンとなれ(好きになれ)(P.127)とか、感情や心構えの重要性を説くものが大半です。こうしたものを締めくくりに「マインドセット」(P.202)が重要であると締めくくっています。
私はこの点は大いに賛成したいと思います。技術的に優秀だったり人たらしのような人がリーダーになるのはままあることです。本来ならばプロスポーツ選手のように心技体、すべてについて秀でていてほしいものです。でも、誰だって完璧ではないですし、周りの上司をみても、まあ欠点ばかり見てしまうものです。そんな中でも、努力すれば誰でも真っ先に磨けるものとすれば、それは心だと思います。技術は身に着けるのに時間がかかったりセンスが必要だったりします。体、をコンディショニングととらえれば、業務を100%の体調で臨むにはある意味常識というかエチケットですらあると思います。ということで残った心こそ、リーダーがリーダーとして磨くに値するものだと私は考えます。
この本がもっとよりよく読者に伝わるためには、章立てをもっと少なくして煮詰めてもよいのではと感じました。200ページほどの短い本を9章に割っているのですが、見たところ要は”マインドセット”だといいたいのだと思うのです。現在の章立ては細かすぎてバラバラに感じるのですが、3から4章程度により濃度を高めて章立てを割ったほうが章見出しが人の記憶に残りやすくメッセージを伝えやすいと思いました。
古今東西の書籍を渉猟してバックグラウンドを固め、さらに経験に裏打ちされたリーダーシップ論というわけではありません。とはいえ書いている内容は平易で初心者向きの本としてはよろしいかと思います。
評価 ☆☆☆
2019/12/12
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