独自すぎる世界観に圧倒されまして。。。
世に陰謀論と言いますが、一体どういうものでしょうか。Wikipediaによりますと、『ある出来事について、広く人々に事実として認められている公の情報やその解説とは別に、特定の組織や人物にとっての利益に繋がった策謀や事実の存在を指摘する呼称』だそうです。
この定義に従いますと、この本は立派な陰謀論という事になるでしょう。
題名の通りですが、内容は、ユダヤ人(の一部だと思いますが)が世の中で、非ユダヤ人(とりわけセムの子孫)を搾取し、殺戮し、殲滅しようとしている、というものです。
この策略に加担しているユダヤ人をカナン人と呼んでいますが、旧約聖書の解釈から始まり、フランス革命、南北戦争、共産主義の発足等々、すべてカナン人がセムの子孫を殺戮するために仕組まれた出来事であったとしています。
私、学生時代に世界史を勉強してませんでして。。。
こうした記述に対してどう判断するべきか悩みました。
一旦は判断停止としたいと思います。
確かに世の中には不可解な出来事は多くあります。例えば第一次世界大戦はなぜ起きたのか、とか。佐藤優氏も著作のなかで第一次世界大戦勃発の理由が不明だと言っていました(因みにその書籍で佐藤氏はイエズス会というのは詐欺師のことだと述べていましたが、この本の訳者である太田龍氏は直訳でイエズス会と訳していました)。
誰かわからんが、黒幕みたいなものはいるのかも
私はどんな不可解な事件にも、必ず原因と結果があり、一定の帰結を得ようとした人が相応の金と時間をかけなければ国家単位の戦争も動乱も起こらないと考えています。そうした点ではカナン人かどうかは別として自分たちに都合のいいように世の中を動かそうとしている事はありうることだと信じています。
じゃあそれがこの本のいうカナン人かどうかというと、自分の知識と教養の無さから、そうだともそうでないとも判断しかねるのが正直なところです。
旧約聖書という謂わば神話の世界の話が現代まで連綿と争いとなって続いていることが素朴に信じがたいのと、これだけ人種の混交が続くと(存在するとして)純カナン人も少なくなり、どこまでを敵としてみなすのか分からなくなりそうだと疑問に思いました。
まとめ
いずれにせよ、今は判断停止としたいと思います。もう少し西洋史の勉強をしたら再読してみたいと思います。ただ、世の中の動きや流れの中で、著者のいうカナン人のような他人に危害を与えること(だけ)を考えて動いてる集団を想定してみるのは無駄ではないと思います。
評価 ☆☆☆
2020/1/2
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