海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は世界史と英語を勉強します!

夫婦のかたちを詩的な表現で紡ぐ-『きいろいゾウ』著:西加奈子

きいろいゾウ (小学館文庫)

きいろいゾウ (小学館文庫)

 

 

かつて15年ほど前に某雑誌で紹介されているところを見てから気になっている西加奈子さん。独特の言葉遣いをされる方です。

 

内容は田舎に越してきた夫婦のお話しです。自然や霊などの周囲の声が聞こえてしまうツマとそれを温かく見守るムコ。お互いに過去を抱えており、その過去が壊れそうになりますが。。。という話です。ツマがいわゆる”見えてしまう”人であり、ホラーに足を突っ込むかと思うような展開もあり。また夫婦の男女の仲が崩れかける展開は島尾敏雄・ミホ夫妻の『死の棘』『海辺の生と死』を思わせる展開。ぞっとします。で結末はというと。。。ご自身でお確かめください笑。私は楽しく読ませて頂きました(ただ欲を言えば、最後の終わり方がちょっと単純だったかなあ)。

 

作者の西加奈子さんにはとても特徴があり、ひらがな・カタカナの多用や同一語の繰り返しが多く、小説でありながら詩を読んでいるような感覚を感じさせる作者だと思いました。ムコ、ツマ、アレチさん、コソク、カンユさんなど登場キャラの多くはカタカナです(所謂あだ名で通しているのでカタカナ表現なのかもしれませんが)。

 

次に関西弁の多用に特色があります。他の作品もそうですが、登場人物の発言を関西弁で進行させます。この作品の場合はムコさんの発言は関西弁。私は大阪と兵庫に二年ずつ住んだことがありますが、音が忠実に文字になっているなと感じました笑。

 

あと、ちょくちょくギャグっぽい内容が出てくるのですが、年代が合う方はヒットするかと。例えばキン肉マン。屁のツッパリって覚えていますか。1970年代生まれ前後の方はくすっ笑える内容が散見されます。

 

全体的には内容もさることながらその文体のユニークさや言葉の繊細さを味わう作品なのかなと感じました。ただ、この作風が合わない方には拒否反応が出そうです。私は結構好きなタイプですが笑。

 

評価 ☆☆☆

2020/1/26

きいろいゾウ〔小学館文庫〕

西 加奈子 小学館 2008年03月
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