教養を深めたいとの思いで購入しました。
洋ものは文学、映画、その他ちょっとした雑文を含め、聖書(旧約新約)をベースにした言い回しが多いですね。そうしたものを理解したいがために三冊セットで買いました。
この第二巻では有名なモーセの物語や彼が海を割りエジプトから逃げていく場面が載っています。また、学生時代に英語の教科書か何かで出てきた過ぎ越しの祭りの起源についても出てきました。
マンガの内容も素晴らしいのですが、実は今回最も考えさせられたのは、解説にある”十戒をはじめとした道徳律が原則同じ宗教内にしか適用されない”というくだり。十戒はその内容だけで見れば、我々日本人からは極々自然というか納得しやすいものですが、これを差別的に適用するとなるとそうした宗教には偏狭であると感じざるを得ません(だから神と”契約”しexclusiveなのか)。他方こうした排他性こそが陰謀論の原因にもなっているのではないかと感じました。
道を誤ったり罪を犯すというのは、人生ではいついかなる場合も可能性としては厳然としてあらゆる人の周りに存在するのでしょう。そして、これに対する赦しは同一宗教内にとどまらず、神と人との関係にとどまらず、人類遍く必要なのだろうと思います。赦しが同一宗教内にとどまるという旧約の話は現在のユダヤ教でも有効なのかは浅学にして知りません。従い、上記の排他性についてはあくまで現在のユダヤ教ではなくて原初のユダヤ教としてとらえた方が良いのかも知りません。
いずれにせよ、キリスト教およびユダヤ教の信者および宗教者がベースとしているこの物語を理解することは、彼らの考えを理解する上で非常に有意義だと考えています。またその理解のためには本書は非常に簡潔でかつ読み手により良い理解を与えてくれるものだと思います。
評価 ☆☆☆☆
2020/02/13
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