非常に興味深く読めました。
著者は栄養学的アプローチを唱道する医師。私はかつて同氏による『「疲れ」がとれないのは糖質が原因だった』を拝読しましたが、今回の本のほうが数段出来が良いと感じました。
さて本書の内容は、鬱の(主要な)原因が糖質中心の食事であることを分子レベルで説明し、食事や栄養の改善により鬱病の症状改善を促すものです。
加えて、本書は非常に有用なコンディショニングの本であると言えます。というのも、ここで述べられている知識は多くのサラリーマンにも転用可能な知識だからです。カフェインアレルギーの話、満腹中枢に働かない果物を避ける、あるいは非ヘム鉄ではなくヘム鉄を積極的に摂取する等、筆者の方針に従うことでシャープな脳をキープできそうです。
他方、少し疑問に感じたのは加工品の摂取について積極的な点。筆者は糖質オフ・カロリーオフ製品、サプリメントやキシリトールなどの摂取についても肯定的に書いています。反して私は、個人的にはこうした加工品は安全性が担保しづらいと感じており、できればナチュラルな食材でコンディショニングを整えたいと考えております。筆者にはこれらの加工品の安全性について言及してほしかったと感じております。
とは言え、全般的には糖質を避けるコンディショニングの本としては有用であると思います。内容も極まっとうであると感じますし単一食品を薦めるような極論ではありません。運動で神経病を直す「脳を鍛えるには運動しかない!」は別アプローチから同じゴールを目指すものですが、コンディショニングに興味がある方は併せてお勧めしたいと思います。
評価 ☆☆☆☆
2020/02/08
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