海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

よくある内容も、ゆるーく読める本-『思考の整理学』著:外山滋比古

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

 

 

メンターが私に勧めてくれたので読んでみました。

ぎすぎすした世の中にあって、ある意味、癒しの自己啓発書。エッセーに近いかな。

 

筆者は英文学・言語学の専門家でお茶の水女子大名誉教授。

 

本書の中では思考にまつわるエッセーが多く書かれていますが、繰り返し出てくるのは『自ら考える』ということと『寝かせる』ということ。

 

学生をして飛行機人間とグライダー人間と分け、グライダー人間になるなと諌めます。オヤジの小言みたいで少し嫌ですが、わからなくもないです。社会人であっても、世の中でできらりと光るためには自分なりの意志や欲がないとだめなのでしょう。

 

さらに、らしさという点に関連して筆者は敢えて新聞や読書などから離れることも勧めています。今で言うとケータイもネットも見ずに生きてみる感じでしょうか。流れる情報に踊らされるのではなく、そこから一歩離れることで自分の中から何が出てくるのか確認してみよと勧めているものだと解しました。

 

もう一つ、寝かせる(熟成させる)という考えもいいなあと思いました。解きたい問題、解かなくてはならないと意識しているものの、なかなか解けない問題ってあります。これを敢えて寝かせるというのは含蓄のある大人でないと言えません笑 寝かせることで発酵し、次第に整理がついていく。こうした問題は、ノートの端なり、日記なりに記録し、見返さないと『発酵』しなさそうです。私の日記にも発行したアイディアがそれなりにありそうですが見返す作業が苦手で腐ってそうだ笑。

 

纏めます。

一言で言えば普通なエッセーです。内容は既知のものばかりです。古い本であるため、一部時代錯誤的に感じられる箇所もあります。それでもなお現在この本が多くの方に読まれているのだとすると、筆者の洒脱さやにじみ出る人間性にあるのかなと思います。移り変わりのスピードの速い現代にあって、ある意味逆行する意見(寝かせる、熟成、発酵)を述べており、そうしたところが受けているのかなとも感じました。

 

評価 ☆☆☆

2019/03/20

思考の整理学

外山 滋比古 筑摩書房 1986年04月
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