ストレートに書くとちょっとダサいけど、本作のテーマは、まっすぐに素直に生きることの大切さ、だと思う。
もちろんまっすぐに生きるなんて、言うほど簡単ではない。同調圧力が強かったり、目立つことを嫌がる日本では、なおのことそうかもしれない。
しかし、死者が思い残した後悔から比べれば、この世の難しさはまた違った見え方になるのだろう。生きている限りはチャンスはある。後悔する機会あるというだけで死者からすれば羨ましいのであろう。
小学六年生のユウキ、幼馴染のエリカ、塾の友達のマサヤとその兄で引きこもりのタカヒロさん、そしてユウキをいじめているヤノ。わずか小学二年生でこの世を去ったフミちゃんが、子供たちの絡み合った糸をゆっくりほぐしていく。
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著者の重松清は小中学生が主人公の小説を多く書いており、小学生向け教科書のみならず、中学受援や高校受験でもしばしば出題される。いきおい、子供向けと判断してしまうかもしれない。しかしながら、生きるということは、どの国でも、どの人種でも、どの世代・どの年代であっても共通であり、普遍的なテーマであろう。その意味では寧ろシニカルな大人にこそ読むべき作品だと感じた。瑞々しい気持ちになれる一冊。
評価 ☆☆☆
2020/04/14
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