海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

脳は鍛えられる!(内容は総花的)―『脳を最適化するブレインフィットネス完全ガイド』著:アルバロ・フェルナンデス+エルコノン・ゴールドバーグ+パスカル・マイケロン

 

本の概要

米国の脳科学リサーチ会社関係者とニューヨーク大学の脳医学教授らが編纂した、脳の可能性とその鍛錬に関しての本。

 

 

感想

タイトルにも記したが、私は非常に総花的に感じた。換言すれば、広く浅く。

その為か、私にとっては未知の内容が余りなく、やや凡庸に感じた。

 

本書の内容は端的に言えば、『脳は鍛えられる』という一文に尽きる。私が若い頃、脳細胞の増殖は20代でピークを経てあとは減る一方(しかも不可逆的)、従い脳の能力も応じて低下してゆく、そしてそれは仕方のない事だ、と喧伝されてきた。

 

現在の研究では、そのような低下してゆく脳の能力を向上できるという。方法はさまざまで、運動で鍛える、コンピュータゲームで鍛える、食事で調整する、はたまた社会的なつながりを強化する等々の方法が提案されている。

 

エクササイズの定義は参考になる

なかでもなるほどと思ったのは、エクササイズの強度の閾値について、脳に有用な運動的エクササイズのポイントは『心拍数と呼吸数』(P.125)が上がることと述べている。つまり『近所まで楽しみながら歩く』だけでは不十分という。この譬えはわかりやすい。つまり負荷がかかって初めて”効く”ということだ。とは言え、同箇所でウォーキングだけでもポジティブな効果があることが述べられている。はい、これからはウォーキングよりややきつめにエクササイズします笑。

 

めざせ夢のぽっくり死

もう一つ示唆的であったのは、認知症に関する記述。

エクササイズにより認知症の発症は先延ばしにできるという。とは言え脳細胞の死滅傾向は不可逆的である(脳の能力とは違って)。その先延ばしが意味することは、『認知力が高いまま生きることができる割り増し時間を買い、認知症を抱えて生きる時間を短くする』(P.169)と表現している。これはまさに日本人が望んでやまない「ぽっくり死」ではないか!日本は長寿リスクが叫ばれるが、家族に迷惑をかけないように生きようとするのならば、お金を用意して介護施設に入るよりきちんと脳を鍛えた方が良いのではないか、と思ってしまった。

 

売らんかな主義にも見える

他方、いまいちだなーと読中感じたのは、どうにもマーケティング臭がプンプンするということ。どの製品が一番脳に効くとか、空軍向けに納入した製品は非常に脳の認知力向上に役立ったとか、少なくとも全9章中2章でこのような話になっていた。そうした製品の能力を信じないのではないが、仮に製品に依存しないと脳力が上がらないとしたら、それってタイトルの『脳を最適化する』という表現にもとるのでは、と感じた。まあそもそも筆者がブレインフィットネス業界で起業しているCEOなのだからポジショントークになるのは当然でしょうが。。。

 

まとめ

纏めると、この本はビギナーのが脳の可能性を広く浅く学ぶ上では適していると感じた。特に中高年など認知能力や記憶力の低下が気になり始めた方向けの本だと思う。ただ、脳についての本は私ならば『脳を鍛えるには運動しかない』(著:ジョン・レイティ)を激押しします。

lifewithbooks.hateblo.jp

この本の方が論のフォーカスが運動に定まっており効果についてもはっきりしているように感じるためです。

 

すべての方のコンディションがよりよくならんことを。

 

評価 ☆☆

2020/04/25

脳を最適化する

アルバロ・フェルナンデス/エルコノン・ゴールドバーグ CCCメディアハウス 2015年10月21日
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