その分かりやす過ぎる表紙と題名から、つい書店で手に取って購入してしまいました。結論から言うと、なかなか参考になったのですが、表紙の印象に反し、プレゼン上級者向けの本であると感じました。
使える技術は確かに満載
この本では、多くの『伝わる』技術を披露しています。中高生でもパワホを使う昨今であっても、掲載された技は大なり小なりの価値を持っていると感じました。プレゼン資料にどの程度の時間をかけられるかは、上司の要求や与えられた時間、そして自らの納得感からそれぞれ異なるとは思いますが、兎に角使える技術が多いと感じました。
個人的になるほどと思ったのは、
Part02-06『パソコンで変換ミスになる言葉は”聞き間違えやすい”同音異義語。』~アナウンサーはこうした言葉は意図的に読み替えるそうです。これは私も気をつけたい。
Part04-22『テロップが16字までしか使われない理由』~経験上これ以上の文字は知覚しづらいそうです。ということでプレゼンもこれに倣う方が断然伝わりやすくなるはずです。
その他、Part06-35『本番でゼッタイ失敗しないために、ひたすら練習する』、Part06-37『想定すべてのケースに対策を準備しておく』等は、プレゼンに限らず仕事一般においても非常に大切な心得であると思います。
上辺だけ綺麗にしすぎると、軽ーいプレゼンにしかならない!?
さてこのような使えるテクニック満載な本ですが、使い方を間違えると逆に非常に危険であると感じました。
先ず第一にテレビは一般的に浅薄・軽薄なイメージがありますので、そのテクニックは使用法を間違えるとビジネスシーンではふざけているように感じられるリスクがあります。
次に、伝える内容を十分に煮詰めることをせずにプレゼンテーションそのものにこだわると非常に上辺だけのプレゼンになってしまう恐れがあります。
個人的にもしばしば感じることとして、弊社の多くの社内プレゼンでは、『で、結局何なの?』という感想しか出ないような、メッセージが不明瞭な要約プレゼンが結構多いのです(要約ももちろん意義深いものではありますが)。ですので、何を伝えようとしているのか(意見の伝達・主張?だとしたら何が言いたい?サマリー?だとしたら聴衆にどうしてほしい?)をもっと煮詰めるような促しが作中にあればもっと良い内容になったかなと少し感じました。
故に思うのは、伝えたいことが充分明確な人が、より良く理解してもらうためのテクを磨くために購読するならば、この本のパフォーマンスはマックスになるのだと思いました。
おわりに
プレゼンは何度やってもなかなか難しいですね。慣れたつもりでもまだまだ向上の余地があったりします。ビジネスマンのみならず、学生さんや、結婚披露宴の余興などでも、取り入れればより伝わるテクニックが多く掲載されております。一見表紙は何か軽いのですが、でも内容は確かになるほどと思えるテクニックで満たされています。
評価 ☆☆☆
2020/07/27