海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は世界史と英語を勉強します!

クラシック作品をモチーフにした可愛らしい作品集―『アーモンド入りチョコレートのワルツ』著:森絵都


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筆者と作品について

 第20回路傍の石文学賞受賞作。直木賞作家である森絵都さんの作品は中学生を主人公にしたものが多く、ローティーンの読書の入り口には最適だと思います。私も当時小学六年であった娘のために購入しました。

lifewithbooks.hateblo.jp

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感想

 音楽をモチーフにした文芸作品は意外と色々あります。私が若かりし頃に何度も読んだ『ノルウェイの森』(原曲:ビートルス。曲はあんまり好きじゃないけど)、先日再読したミステリ小説『世界を売った男』(原曲:ボブ・ディラン。こちらも曲はあんまり好きじゃないけど)、等々。映画にもなったスティーブン・キングの『Stand By Me』もそうか。

 さて、この作品はクラシック曲をモチーフにした短編集です。クラシック作品も本作もどちらも素敵ですので是非あわせて一緒に鑑賞してみてほしいと思います。ちょっとだけ人生が豊かになった気になれます笑

 

以下に収録された短編について感想と概要を記します。

 

『子供は眠る』・・・ぼく。智明。ナス。じゃがまる。章くん。5人の夏休みの話。一番年長の章くんはボス然として君臨していたが、その暴君ぶりに不協和音が生じてくる。最後に章くんの「もの言わぬ優しさ」が暗示されるのだが、私には単に章がコミュ障にしか見えなかった。夏の情景描写としてはとても綺麗で素敵であったが、個人的には一番イマイチ感を感じた(筆者は章くんを肯定的にとらえているようだが、私は否定的にとらえた)。

 

『彼女のアリア』・・・本作では一番好きな短編。高校受験前の中三生「ぼく」は突如不眠に苛まれる。あまりの体調の悪さに楽しみにしていた体育祭をバックレようと無人の校舎に行くと、漏れ聞こえてきたピアノの音。ピアノを弾いていた少女藤谷に「ぼく」は惹かれて行く。ちょっとしたツイスト(音楽のジャンルでなく、ちょっとした物語の起伏)の後、最後にキュンキュンなる終わり方(おっさんキモくて申し訳ない)。読後、不眠の友にのために作られたというゴルドベルク変奏曲をYouTubeで検索してしまうこと請け合い。

 

『アーモンド入りチョコレートのワルツ』・・・個性的なピアノの先生、絹子先生のもとに通う奈緒と君絵。そこへ突然現れる変なフランス人のおじさん。通称サティおじさん。シュールな展開の思春期のとんがった気持ちが絶妙に調和した作品。エリック・サティのピアノが改めて聞きたくなるはず。書き方が非常に美しくまた丁寧で、内容も素敵な小品。

 

さいごに

 ジェンダーフリーが叫ばれる現代に言いづらいですが、私が購入したものの表紙はちょっと女の子女の子しており、おっさんが購入するにはちょっと気恥ずかしかったです。内容も、中学生が主人公ということから、子供向けに思えるかもしれません。でも、十分大人の読書に耐えうる作品だと思います。かつての中学時代を思い浮かべたり、お子さんと重ね合わせながら鑑賞してみてはいかがでしょうか。

 

評価 ☆☆☆

2020/08/09

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