海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

本質的過ぎる良書。PDCAを回した後、再読したい―『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな」本質』著:安宅和人


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 存在だけは存じ上げていました。ただ、ひねくれものの私は、人気が出るものや皆が欲しがるものについてはデフォルトで斜に構える性質があります。この本も、目の片隅で見ながら、5年後に残っているかねえとシニカルに思っておりました。

 

 

読後の感想です。はい、5年後も残っている良書だと思います。

 

 

 私の思うに、本書の要点は2点。先ずは、問題設定の大切さ。次に、設定した問題を漏れなくダブりなく最適に解こう、というものだと思います。

 

 序章を含めると全部で6章立てなのですが、前者の問題設定については序章と1章で説明されます。ここは面白かった(というかここしか分からなかった泣)。

 

問題設定がキモ!時間を無駄にするな!

 「問題設定の質」と「解答の質」という2軸をとり、最良の問題設定を行い、かつそれに対してしっかり答えるように説きます。我々はとかく丁寧さとかビジュアルとかデータとか解答の質にばかり目が行き、そもそも問題設定が間違っているという残念な状況に得てして陥りますしね(オタクの会社にもいらっしゃいませんか?パワポ職人が)。その点で筆者の意見にはなるほどと思いました。

 

 また、問題設定の質についても、「答えを出せるか(Yes-Noクエスチョン)」と「答えを出す必要性」の2軸を取り、答えを出すことが重要でかつ答えの出るものを問題を選択するべく説きます。若い頃、俺は何のために生きるのかとか真剣に考えていましたが、こんな問いはきっと筆者からすれば答えの出ない問いであり、問題設定として選んではいけなかったのでしょう(笑)。

 

MECEを使い、イシューに回答せよ!未経験者にはハードル高めか!?

 さて、2章以降は設定したイシューへの結論のつけ方を、色々なフレームワークを紹介しつつ、しっかりと答え・結論を出す方法を紹介しています。

この部分については私は頭ではぼんやり理解できますが、すんなり腹落ちしませんでした。MECE(もれなくダブりなく)についてはもう少し理解し、実践しておかないと筆者の書く内容が響いてこないと感じました。きっと、経営企画やコンサルなどビジネスの全体を見通して考える業務の方には非常に参考になると思います。

 

おわりに

 改めて述べたいが、面白かった。語り口が易しく具体例が多く、ためになります。ただやみくもに時間と労力を使いこみ、目的とゴールをはっきりさせない非効率的な業務推進法を喝破し、胸のすく思いでした。陥りやすい誤謬についての具体例(イシューだと思ったものがイシューでない等)も豊富な点も良かった。

 他方、本書は一読して済む本ではないと思います。再読し、実践し、振り返り、また再読する。謂わば本を通じてPDCAを回すことで実力を与えてくれる本だと思います。その意味では、一回読んで終わりではなく、長めの付き合いになるべき本だと思いました。はい、再読決定です笑

 

評価 ☆☆☆☆

2020/11/25

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