海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は世界史と英語を勉強します!

糖質制限の良さを明快に説明。読み返してより理解したいコンディショニング名著―『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか』著:宗田哲男


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概要

 産婦人科医宗田哲男氏による著作。糖質制限を推奨し、ケトン体エンジンを活用することを主張。自身の糖尿病の経験、妊娠糖尿病への対応、また学会との摩擦等、これらを背景に本書を上梓してことにより説得力のある仕上がりとなっている。

 

感想

 衝撃を受けました。

 これまで関連本で糖質制限や断食(あるいは粗食)について読んできました。しかし、帯に短し襷に長しで、どれも安全性について疑問が残っていました。

 本作では特にケトン体エンジンの理論的根拠が説明してあり、糖質制限が意外と安全であることが理解出来ました。

 

糖質制限というより、原初的には脂質が人間のメインエンジン

 いわゆるブドウ糖エンジンともう一つのエンジンであるケトン体エンジン。後者は体に貯蔵される脂質が燃焼した時にケトン体が発生することから名づけられたものだと思います。体内の糖質を使い切り、ストックした脂質が使われている状態です。赤ちゃんが糖質エンジンを使わず(使えず)ケトン体の値が高いことからも、本来こちらのエンジンがメインであり、糖質は体が未だうまくコントロールできない異物的な扱いであることを示唆しているように思えます。

 また第7章では、推論と断りながらも、妊娠糖尿病について、現代の過剰な糖質摂取は人類について想定外であったとしています(P.194)。母親が持つ皮下脂肪が胎児の栄養の供給源であることからも、脂質・たんぱく質こそが人体に必要な栄養で、特に妊婦にとっては糖質は避けるべきだとしています。

 つまり、生まれながらに人間は糖質を(機構として)必要としなくても生きられる生物なのです。糖質をとることで血糖値の上下が起こり(血糖値スパイク)体で負担であることを考えるならば、脂質やたんぱく質をメインで取る方が、まだ体への負担がないと言えます。

 

世の中・学会の常識に立ち向かう姿勢に共感

 もう一つの素晴らしい点は、医学会の旧弊ぶりを明らかにしているところです。妊娠糖尿病になると、体内から分泌されるインシュリンの効き目が下がります(血糖値が下がらなくなる)。それなのに医学の一般常識はさらにインシュリンを投与し血糖を下げようとする(下がりませんが)。これにおかしいと声をあげたことは素晴らしい。宗田氏は学会発表で轟轟の非難を浴びたようですが、私からすれば製薬業界と結託した医学会の暴挙にしか見えません。

 栄養学についても厳しい批判を展開しています。炭水化物とはそもそも糖質+食物繊維であるものの、食品成分表には炭水化物に含まれる糖質量が記載されていないそうです。作中では「お米」と「きのこ」が例に上がっています。どちらも同じ炭水化物に分類されるものの糖質量は大きく異なるはずです。でも栄養学上は同一の扱いしかしないとのことです。こんな基準に従ってバランスを考えたダイエットを行ってもいびつな指導しかできません。

 更にコレステロール値コントロールについてもしっかりと指摘しています。実は、コレステロールの値は体にバランシング機能が備わっているそうです(下記参照)。にもかかわらずコレステロール降下剤が投与されていることに意味はあるのか。いな、悪影響はないのかと言えると思います。これもまた、製薬業界と医学会の結託以外の何物でもないと思えてしまいます。

 

肉ばっかり生活は本当に大丈夫かは、やっぱり疑問

 色々褒めましたが少々疑問もあります。糖質を制限してたんぱく質を多くとる(つまり肉食ばっか)のは問題ないのか。未だに疑問です。私が心配しているのは高脂血症や高コレステロールとそれに起因する血管系の障害です。これについては第6章に以下のような記述があります。

「体内のコレステロールは、食事で作られる割合が20%で、残りの80%は肝臓で合成されていることは従来から分かっていたことでした。コレステロールをあまり摂取しなければ、体内合成が増えますし、沢山摂取すれば合成分が減る、とういバランスができているのです(P.156)」

 マジか。これを信じるならば、肉食オンリーでも問題ないということです。でもまだ疑問は解けません。では、いわゆる血管系の病気(心筋梗塞狭心症)はなぜ起こるのでしょうか。その原因についてある程度理解しない限りは糖質をシャットアウトしてたんぱく質や脂質オンリーの生活には移行しがたいと思いました。私の場合、経験的には肉食が余りに増えると便通が滞りうんこが臭くなります。つまり個人的にはやはりバランスの妙があるのではないかと考えて日々食事をしています。

 

おわりに

 私は30代の前半で色々病気をしましたが、その都度思うのは医者ではなくて自分がどう自分をコントロールするかということです。健康や体への自己決定の考えです。

 本書以外にもいろいろ本を読みましたが、この本は自分がどう体をコントロールするべきかを改めて思い返させてくれました。

 勿論、この本ですべてが解決するわけではありませんが、非常に示唆に富む本ではあり、今後の身体や健康への勉強への励みになりました。とりわけ糖質がそこまで必要ではないということ理論的に明示してくれた功績は大きいと思いました。

 

評価 ☆☆☆☆☆

2021/01/22

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