海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は世界史と英語を勉強します!

支配者の巧妙な欺瞞を寓話で描く―『ANIAML FARM』著:GEORGE ORWELL


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 本作、言わずと知れたディストピアもの。作者の代表作『1984』と共に20世紀を代表する小説であると言っても過言ではないと思います。

 

 人間の横暴を止め、動物の世界を立ち上げるべく反旗を翻した農場の動物。農場での獣による支配を確立し、人間を忌み嫌い、平等を謳うも、次第に豚だけが支配者層へとのし上がり、労働や支給品に格差がつき、さらにはかつて自ら禁じた人間の習慣(ベッドでの睡眠、飲酒、二足歩行)を徐々に取り入れ、巧妙に大衆をコントロールし行為を正当化する様がまざまざと描かれています。最終的には他の動物を殺戮し、あれほど嫌った人間たちと取引すら行うようになります。気付けば大方の動物たちにとっては以前の人間支配時よりも苛烈な生活になってしまいます。

 

過去を証明しないと、被支配者層は追い込まれる

 こういう作品を読むと、記録が大事だとつくづく感じます。

 動物農場では7戒が制定され納屋の壁に刻まれますが、支配者層である豚が自らの慣習の変化に併せてこれを改ざんしていきます。”No animal shall drink alcohol to excess ”, “No animal shall kill any other animal without cause”(後ろの2語が改ざんにより追加)。大分意味合いが変わります。

 被支配者層の動物たちは自分の記憶をたどるも、確信が持てず、結局直近の目の前の7戒を受け入れざるを得ない。そうした中で被支配者層の労働はどんどん理由をつけて重たくなっていきます。

 

 改ざんというのはデジタルの社会では一層簡単になりました。その点では一層、記録の保持というのは重要ではないかと思ってしまいます。海外に行ってしまった私ですが、20年程払った年金掛け金の記録が年金機構側に残っていなかったらどうしよう、などとちょっと心配になりました。証明できないとないものになりますねえ。。。

 

英語

 英語は特に単語が難しかったです。動物の種類や体の部位に関する名称、動物の動きにまつわる動詞は頑張って調べました。Boar(n)雄豚、Sow(n)メス豚, foul(n)仔馬、hoof(n)ひづめ、muzzle(n)豚の鼻などなど。

 文体はやや風雅?な書きぶりで倒置が多かったり、いわゆる関係代名詞が多用されており、プレーンなビジネス英語と比較するとややとっつきづらさを感じました。

 短編だし文法は難しくないので何とか読めましたが、内容を味わうだけなら日本語でも良いと思いました笑

 

おわりに

 本作は、第二次世界大戦終戦前に書き上げられ、英国とソ連との同盟関係から出版が見送られたというのは知りませんでした。そのエピソードからも分かる通り、ソ連共産主義への揶揄ともいえる寓話となっています。

 いちいち教訓を引き出して読むこともないですが、支配者層の巧妙な欺瞞を思い起こすという点で秀逸な作品だと思います。英語学習者、政治に興味がある方等々にお勧めの作品です。

 

評価 ☆☆☆

2021/03/23

 

Animal Farm (Penguin Essentials)

Animal Farm (Penguin Essentials)

  • 作者:Orwell, George
  • 発売日: 2008/07/29
  • メディア: マスマーケット
 

 

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