占いって、好きですか?
神仏を信じないなんて言う人は多いけど、占いの内容がいいと気持ちも心持ち明るくなる。悪い気はしない。電車で座ってて、前のおじさんの読んでるスポーツ紙に、おうし座の金運は最高!なんて出ているとちょっと期待しちゃったりもする。
そう、入れ込んで信じるほどでもないけど、やっぱり気になる。それが占い。
あらすじ
『お父さんとお母さん、どっちにすればいいと思う?』意味深な相談を投げかける小学生。
『このおしまいが見えることを、どうすればいいのか教えてほしいねん』とブースに押し掛けた自称終わりが見える関西人。
『どうしましょう、先生』と助手のくせに手を焼かせる、人のいい竹子さん。
元OLのルイーズ吉田には霊感はない。ただ相談者の背中を押すべく、気持ちよく「占い」の結果を言い渡す。そしてときどき外す。しかし、そんなルイーズ吉田のもとに持ち込まれる風変わりな相談の数々。そんな相談を放っておけず、相談ブースを飛び出すルイーズ吉田。
本作はそんな占い師に転職した元OLのハートフルでユーモラスなお話。
家族というテーマが通底しています
4つの短編が一部緩い関連を持ちながら一つの作品となっています。
瀬尾作品らしくコミカルなタッチもあり、肩ひじ張らず楽に読めます。また、今回も家族というテーマが見え隠れしており、父子家庭、母子家庭、継父を持つ娘など、それぞれの家庭で相手を想う心がそれぞれの物語のハイライトで明らかなります。
ただ、主人公のルイーズ吉田を含め、登場人物はみな結局根がとてもイイ人であり、そのあたりは振り返ると、ちょっと出来すぎかなあと感じました笑。
まとめ
相変わらずユーモアと温かさで包まれた瀬尾作品でした。今回の作品を一言で言うと『人を想う』という事でしょうか。人の事を考えるから、ちょっと立ち止まってどうしようかと悩む。そんな優しさが上手に表現されている作品であったと思います。
痛快エンターテイメントというより、ほんわか系の作品ですので、ちょっと疲れたな―という人にはいいかもしれません。私は早速中高生の子供たちに読ませてみようと思います。
評価 ☆☆☆☆
2021/03/20