海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は世界史と英語を勉強します!

旅行に役立つギリシア神話。変わった切り口で神話を語る―『ギリシア神話 神々と英雄に出会う』著:西村賀子


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 日本人は実に外国のものをうまく取り入れる民族だと思います。

 英語もフランス語もドイツ語も、すべてカタカナにして日本語に取り込むのです。ランチにヴィシソワーズを取って、デザートはバームクーヘンだった、とか。

 日常会話にはこうした言葉がじつに自然に取り込まれていますが、実はギリシア語やギリシア神話に根差すことばも、商品名・作品名などに多く取り込まれている気がします。オリンパス(社名)、アリエスの乙女たち(マンガ―ドラマ、古っ!)、テセウスの船(マンガ―ドラマ)等々枚挙に暇がありません。

 

 そうした、もはや日本語化していて違和感がないけど実はイマイチ由来を知らないギリシア神話について学びたいと思い手に取りました。今年は世界史を勉強しているため、古代ギリシアが終わったタイミングで読み始めてみました。

 

絵画との関連

 本作で一番有難かったのは、ギリシア神話をモチーフにした絵画について度々言及してくれていたことでした。例えば、プラド美術館に所蔵されているベラスケスの絵。
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ベラスケスと言えばフェリペ4世の娘を描いた「ラス・メニーナス」が有名ですが、ギリシア神話をモチーフしたものもあるのですね。死ぬまでに一度行ってみたい美術館です。

 他にも作家は私は全然存じ上げませんが、ルーブル美術館、シカゴ美術館、大英博物館等々錚々たる大御所的ハコにギリシア神話をモチーフにした作品が収められているのです。きちんと予習をしてから旅行したら絶対楽しいはずだなあと。

 

オリエントからギリシアへ、ギリシアから世界へ

 もう一つ、へぇーっと思ったのは、最高神ゼウスと妻のヘラとの度重なる夫婦喧嘩を「征服民族と土着民の宗教的軋轢が反映されていると解釈するのが自然」としていること。日本のような島国だと、独自の文化がじわじわと熟成するようなイメージで神話の成立を想像しますが、ギリシアはヨーロッパとアジアの境に位置し、絶え間なく人の流出入・制服被征服を経て文化が混じり成立していったのだのなあ、と当たり前ですが今更納得した次第です。

 こうして成立したヘレニズム文化がキリスト教等の現在のメジャーな宗教に影響を及ぼしていることを考えると、文化の伝播とか世界の「繋がり」の不思議にちょっと感動してしまいます。

 

 余談ですが、大学でギリシア哲学の授業をとったことがありました。その授業ではギリシア文字をアルファベットに置き換えるとかホメロスの暗唱とかやらされました。ホメロスの暗唱については「これを僕がギリシアで暗唱したら喫茶店で店主がコーヒーをおごってくれたぞ」と先生がおっしゃっていたのを思い出しました。

 唐突に、老後にギリシア語でも勉強してみようかなと思いましたが、グーグルで検索してみると、とてもギリシア語の参考書は少ないそうです笑。じゃやめとこ。

 

おわりに

 ギリシア神話の入り口としてはなかなか面白かったと思います。特に美術との関連を交えて解説している点、「生と死」「怪物」など、私の好みのテーマで章立てしてあった点は個人的には評価は高いです。加えて文献や家系図が巻末に丁寧にまとめてあり、学びたい人にとってはとても親切な本だと感じました。問題はギリシア神話に興味を持つ人ってのがきっとメチャクチャ少ないという事と、私のように興味があっても一度読んだだけではさっぱり覚えられない(老化ですが)という所でしょうか。

 西洋史西洋文化、世界史等々に興味がある人にはお勧め。

 

評価 ☆☆☆☆

2021/05/01

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