海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は会計と英語を勉強します!

芯ある経営者が良き会社をつくる―『稲森和夫の実学 経営と会計』著:稲森和夫


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 自分の会社がどうすればよくなるのか。

 考え方が古かったり、前例主義だったり、社員の事を考えない上司が多かったり・・・。おそよ社会人として不承不承でも組織で働いている身であるならば、組織のよろしくない面を目の当たりにし、一度ならずもこうした疑問に突き当たったことがあると思います。

 

 私も当然持ちました。そして、今も持っています。

 

 問いが大きすぎ、また要素が複合的でもあるので、全てを包含する完璧な答えは未だ持ち合わせていません。

 しかし、本書を読むと、ああ、いい会社というのは、芯のある(筋の通った)経営者がいるのだ、と思いました。そして、会社が良くなる為にもまた、こういう経営者が必要なのでは、と感じました。

 

・・・

 

 本書は、言わずと知れた京セラの創業者稲森和夫氏による著作。彼の、会計を重んじた経営方針や経験が語られます。

 

 会計、と言っても何もIFRSをきちんと導入しようとか、日本会計基準に完全に沿うようにしようとか、そういう話ではありません。寧ろ、彼の肌感覚に合致する会計を守り通し、これを会社ぐるみで維持するのだ、と言っているように思えます。

 

 一番印象に残る例は、セラミック加工に使う機械の減価償却の話。JGAAP基準では工作機械の減価償却は10年であるも、現実の機械はどんなに手入れをしても5-6年で参ってしまうそう。すると彼の考えでは毎年償却する額は1/5か1/6です。これこそが現実の機械の疲弊具合を表すことになります。対して税務署側は、やってもいいけど1/5(稲森氏の肌感覚償却分)-1/10(法定償却分)の差分は有税(つまり費用として控除できない)ですよ、と言われたそうです。ところが、何と京セラは有税でこの償却方法を維持しているそうです。

 

 このやり方を彼は「一対一の原則」と言っていました。モノや現実の姿と、帳簿の数字や伝票が合致する、というのが彼のやり方です。だから、得意先からのお願いだからと言って出庫伝票も書かずに慌てて納品したりとか、そういう事も許さない。兎に角、現実と帳簿が一対一で呼応するようする。

 

 この一見頑固で融通の利かないルールは、もともとは「ミスや不正から社員を守る」という責任感から出ているようです。勿論チェック体制についても面倒くさいほどに細かいことが伺い知れます。

 今日び、このような姿勢は、ややもするとパターナリズムの極致・ムダ、などと言われそうな気もします。しかしながら、本人がだらしなくサボっているのならいざ知らず、本書を読む限りは相当度に仕事にコミットしているわけで、部下の人たちも頑張らざるを得ないでしょう。このようにして懸命に働く組織にはきっと一体感も出てくることでしょう。ちょっと羨ましい。

 

おわりに

 もちろん、現実にはきれいごとばかりではないと思います。特に会計や経理は相当大変だと思います(「稲森」会計と税務会計と二重に帳簿をつけているような部分が多くあると推測します)。

 しかし、真っ当な仕事がしたいのであれば、自己中心的で自分の任期(人気?)しか考えないようなリーダーよりも、多少仕事はきつくても心のある経営者の下で働く方がきっと幸せなのだな、と感じました。

 あなたの属する組織に、素敵な経営者はいますか?

 

評価 ☆☆☆☆

2021/05/19

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