海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

自分に真剣な選択へは素直にリスペクト!ユーモア漂う海外生活ストーリー―『パリで飯を食う。』著:川内有緒

 パリで、自分らしい生き方をする。素敵です。

 

 アジアの辺境で細々と暮らしている私ですが、アラフィフになってもまだヨーロッパ暮らしの夢を捨てきれずに、たまにLinked-inで仕事を探したりしてしまいます笑(完全時間の無駄)。

 


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 本作は花の都パリを舞台にした、勇気ある日本人の人生のストーリーの幾つかです。

 当然ですが10人いれば10のストーリーがあり、それぞれが理由や背景やタイミングがありパリで暮らしています。そのそれぞれが面白い

 

 恋愛、キャリア、学業、自分の夢、お金、ビザ、住宅など、現地でのトラブル・文化の違い等々様々な困難に直面します。それぞれが自分なりの方法でその困難を乗り越えていきます。その姿がカッコいいし、羨ましいし、いいなあって思います。でもみんな結構なハードランディングな解決法を選んでおり、自分が今からマネするのは難しいかなとも思ったりもします笑

 

 だいたい自分と比較すると、インタビュイーの方々の地が優秀すぎんだよ、と、ひねくれたくもなります笑 写真家さんの話だと、彼は東北大学を入ってすぐに中退(もったいない!)、その後周囲のススメでロンドン大学へ留学(凄くない!?)、その課程でレポートよりも写真を教授からホメられ、写真の勉強を始めるとか。

 国連職員の方の話は、お嫁願望にドップリ使った女子大生が新卒の会社で彼氏と出会い、その彼氏と同棲するも結婚してくれず。気分転換に受けた外国で日本語を教えるインターンシップの試験に合格、どうせなら中途半端なやつでなく学部入学、いやどうせなら大学院、どうせ目指すなら最高峰のスタンフォードの大学院、で結局受かる。とか。どんだけAim highなわけ!?笑

 

 でも、これら含め、どの話もが憎めず、むしろ清々しく感じるのは、そのすべてで本人たちは素直で真剣に自分の人生に向き合って答えを出しているからだと思います。そこに他人がどう思うとか、周りに反対されるとか、そういう二次的な要因を考慮しないのです。

 多くの方がフランス語が喋れない状態でフランスの地を踏んでいることなど、決めたらすぐに、という態度もコミカルでもあり、印象的です。

 

おわりに

 本作はたまたまAmazonのサイトをふらふらしていて見つけた本でした。肩の凝らない楽しいエッセイでした。他方で、人生との向き合い方について考えさせられるマジメな本としても読めます。自分には他の生き方があると思う方、夢のあるかた、将来が見えない学生さん、あるいはお子さんを持つ親御さんにもおすすめできるエッセイだと思います。ちょっとだけ、ポール・オースターの『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』を思い出しました。

 

評価 ☆☆☆☆

2021/06/20

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