数年前、奮発して家族でフランス旅行に行きました。
その際、こなせないとわかっていながらも、4・5冊はフランス語の本を買ったでしょうか。
因みに、私のフランス語歴は2年。ドイツ哲学が専攻でしたのでちょっとは役立つかなと学生時代にチャレンジしました。言っても、かれこれ20年以上前の話となりますが。
そして本作は、旅行前のやる気空回りの残骸でございます。
この度じっくり読んで供養してやることにした次第です。
さて、本書の副題ですが、非常に野心的ですね。本文中ではなんと、本書終了のあかつきにはル・モンドも読める(音読ですが)と豪語しています。
でも内容は伊達ではないです。
まず軽妙なタッチで非常に読みやすい。我々がもっているいわゆるフランス語のイメージ(お上品・難しそう)から入り、実際はそうでもないという話(まあ初学者には十分難しいですが)、語尾変化は規則的であり不規則変化が多い英語と比べればシステマティックだということ等々。とても分かりやすい。
カタカナになったフランス語の発音間違いを例にとりながら、母音の説明、鼻母音の話、語尾の子音を読まない話、語尾の子音を発音する場合はcarefulと覚える(本書お読みください)等々と続きます。更に人称変化、複数変化、形容詞の導入、動詞の導入、代名詞の導入等々と続いていきます。最後の未来形、過去形はついていけませんでしたが・・・泣
これらの基礎文法はど素人には難しいとは思いますが、人生のどこかでかじった人なら、あー確かにそういうのあったかも、と復習になると思います。
もう一ついいなあと思った点。
一生懸命、日本で流布しているフランス作品を取り入れて説明しようとしているところ。まあ私の趣味ですが、絵画の題名(モネの『睡蓮』とかルノアールの有名なやつ。。。名前覚えてませんが)とか、フランス文学の著名な作家の名前の例が多いのです。後半ではカミュの『異邦人』やプルーストの『失われた時を求めて』の冒頭の発音練習などがあり、かぶれたい御仁の心をくすぐります。あ、ちなみに発音はすべてカタカナのルビ付き。
おわりに
ことばの勉強は(強制されない限り)結構楽しいですよね。久々に口を動かしてフランス語を発音してみましたが、ちょっと楽しかった。差し迫ったニーズもないのでフランス語を勉強することはないのですが、諸々の翻訳ものの文学作品等読んでいるうちに原書で読みたい!となったら勉強してもいいかなと思いました。
新しいことを始めたい方、過去にフランス語を学んだことがある方、フランスに興味がある方にはおすすめできる本です。語学書とエッセイのあいの子ような作風でした。
評価 ☆☆☆☆
2021/07/23