海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

ユニークなキャラたちが雪山でひと騒動(サスペンス系)- 『疾風ロンド』著:東野圭吾

妙に寝つきが悪い晩、読みかけの本を一冊読み切り、それでも眠れず読み始めたのがこちら。ふて寝ならぬ、ふて夜更かしを決め込み、あっという間に読了。

 


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雪山を舞台にしたスリラーであるこの作品、東野作品としては安定した楽しさを味わえる一方、既視感にも似た感覚も感じました。

 

読めない筋書きと人物の面白さ

まず面白かったのは筋の読めなさ。

大学研究所で無許可で開発してしまった細菌兵器を持ち出され、脅迫される研究所責任者。なんと細菌兵器は雪山に隠されます。ところが、事件の犯人、脅迫メールを送ると程なく死んでしまいます。これを上司から指示を受けた、研究所の冴えないおっさん栗林が、スノボ得意な息子秀人に事実を隠しつつ共に探しに出るという筋書きです。

まさか犯人が先ず死んでしまうなんて、斬新だなあと感じました。

 

それと、キャラが立っていて面白い。

本作の主役格は、この冴えない研究所のおっさん栗原に見えます。栗原はだいぶ抜けているし、出世しきれない残念な雰囲気に愛嬌を感じさせます。ほかにも、彼が後に頼ることになる雪山パトロール隊の根津も同じく主役格です。雪山パトロールという職業が実際どういう苦労があるのか等は普通は知らないものですし、そういうキャラにフォーカスを当てているところに面白さを感じました。

 

他にも根津とスノボプレーヤーとのロマンスや、栗林の息子の秀人が地元スキーヤー育美へ抱く淡い恋心なども単なるスリラーにとどまらないを添えていると思います。

 

これまで読んだ作品とダブるところも

他方、どうも前に読んだような設定、と思うような既視感を感じてしまったことも事実。

まず雪山が舞台だったりスキーヤーにフォーカスが当たるといえば『カッコウの卵は誰のもの』とダブります。また、限られた時間内にテロを阻止するという構図は『天空の蜂』そのもの。

東野作品はたぶん10作程度しか読んでいないと思いますが、たまたまなのか似たような作品を書く作家さんなのかはよくわかりません。たまたまであることを願いますが。

 

 

lifewithbooks.hateblo.jp

 

lifewithbooks.hateblo.jp

 

 おわりに

ただの読者ですので尊大な言い方になりかねず申し訳ないのですが、普通に面白かったです。ただ、それ以上でも以下でもないと感じました

雪山にはそこまで興味はないのですが、弱気な態度と子供の年齢設定から、研究所の栗林に感情移入しながら読みました。思春期の子どもとのコニュニケーションって難しいよなとか、だけど一緒に旅行なんて(まあ仕事だけど)羨ましいなあとか、そんなこと考えながら読みました。

 

スキー・スノボが好きな方、思春期の息子さんがいるご家庭等にはおすすめできる本だと思います。

 

評価 ☆☆☆

2021/08/08

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