正直言うと、安さにつられて買ってしまったんです。
ひと月くらい前でしょうか。通常価格1,700円くらいの本作が499円でした。しかもポイントがさらに200円分。ということは実質300円。安くないか!?しかも私の好きな歴史関連!Amazonレビューでもなかなかいいこと書いてある。じゃ、買うしかないじゃん、ということで深夜寝る前に半ば衝動的にポチった本作。
・・・貧乏性って、本当に嫌。自分の性分をちょっと恨みました。
一言で言うと「専門家向け」です。素人?というか気合いが入った人以外には中々おすすめし辛いというのが本音です。
内容は、端的に言えば国家論でしょうか。どのような政体・統治体制が良いのかということを延々と、延々と(そして延々と)語ったものです。理論的に構築したものとも言いづらく、箴言集的な雰囲気でもあります。また、そこで引用(例証)されるのは当時のイタリアや中世イタリア、共和制ローマ、一部古代ギリシアです。中心は共和制ローマ。高校の世界史でもなかなか触れないところだと思います。ウィルギニウスとかワレリウスとかホラティウスとか名前が出てきても全く分からないでしょ?ましてやKindleですと註にも飛べない形ですので、こうしたよくわからない感を引きづったまま結局最後まで読みました。
彼の主張としては、国は共和制がいいという様子です。それはそれで現代の我々の政体と比較すると面白かったです。ポピュリズムに陥りやすいことを戒めていたり、衆愚をこき下ろしていたりして、共和制の陥りやすい失敗が現代政治にも往々にして見られるなあと思った次第です。
タイトルについて。
解説で永井氏が丁寧に説明して下さっていましたが、過去「ローマ史論」と翻訳されていた時代が長かったようですが、英語版タイトルはDiscourse 講話 と訳されているそうで、そうした状況を踏まえイタリア語の発音をそのままタイトルにしたそうです。なお過去のタイトル訳に配慮して副題に旧タイトルをつけた模様。
ですので、ローマに惹かれて購入しようとされるかたはご注意ください。
ローマはローマでも中心は共和制です。一般に馴染みのあるローマ帝国への言及は殆どと言っていいほどありません(共和制がいいという趣旨ですからね)。
もし帝政ローマに興味があるという事でしたら、やはり大家であるギボンの『ローマ帝国衰亡史』をおすすめしたいと思います。こちらもこちらで修行のような大部の作品ですが、より物語的に読めると思います。
評価 ☆☆
2021/08/18