この使い古された本は、私のメンターが日本へ本帰国になった際に置いていったものです。「じゃ、これ、どうぞ」
こういう時は、これくらい分かっておいてくださいという意味です。
ロックダウンが続き、通勤が不要になってから大分経ちますが、ふと「俺最近成長していない」と今更ながら気づき、改めて本書を一から手繰って内容を確認してみたものです。時間の余裕、大分あったはずなのにねえ。
実務書というのは得てして詰まらないものです。
一から通読するという(私のような)頭の悪い読み方をすると当然のごとく眠気を誘います。ただ一般のただただ分厚い実務書と比べると、本書は非常に明快で具体性を備えている、そして簡潔であると感じました。
内容はデリバティブについてですが、項目ごとに整理されており、辞書的に使えるところが秀逸です。ちょっとワードの内容を確認したいとき、これは非常に便利。ワードについても守備範囲が広く、金利モデル(例:ブラック・ダーマン・トイ・モデル)や数学(例:ブラウン運動、ポワソン過程)あたりまで掲載。
数学Iの先生と喧嘩して以降数学をあきらめた私には、もちろん呪文以外の何物でもありません。後悔しています。
そうそう、あと、何気に項目の英訳が項目の最初に載っており、これが便利。メールとかで非日本人にデリバ関連の内容を伝えたいときに使えます。
おわりに
一日割り当てを決めてサクッと二週間くらいで読むつもりでしたが、かれこれ通読し終わるのに二か月くらいかかりました。
金融関連の方、なかでもいわゆる市場営業部門や、ストラクチャード・ファイナンス系の人以外には興味も関心もない領域かと思います。あるいは当該商品を管理するという点では経理財務部門、リスク管理部門は関連があるかもしれません。
文系証券アナリスト程度の数学レベルですと70%程度の項目を理解するのがやっとでした。でも上記の関連業務の方でしたら持っていて損はない本だと思います。
評価 ☆☆☆
2021/08/22