海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

深すぎる愛の果てにたどり着くところとは? - 『容疑者xの献身』著:東野圭吾

本嫌いの長男が中二くらいのときに、初めて「この本、読んでみたい」と言ってくれた我が家にとっては記念すべき一冊。その後高校に進学して本には見向きもしていないようですが(本人曰く、忙しい)、夏休みには東野作品をブックオフで調達し、読んでみているようです。

 


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物理学者兼探偵の湯川が活躍する、いわゆるガリレオシリーズの本作。

とくれば、ジャンルとなるとスリラー・推理小説と言えるでしょう。

 

その中で、本作の特徴は犯人が当初から分かっていることです。ではどうやってストーリーが展開していくのか。

 

突然ですが、あらすじ

あらすじはこんな感じ。スナックから足を洗い弁当屋で働く靖子のもとを訪ねてきたのは別れた元夫の富樫。自宅にまで付きまといしつこく無心を繰り返すことに絶望しているなか、中学生の娘の美里が富樫の殺害を企て頭を殴打、結局母子で富樫を殺害してしまう。一方、隣に住む数学教師石神は、靖子に恋心を寄せつつ、母子の手助けをすることに。

 

崩れないアリバイを辿るのが流れ

ストーリーのポイントはこの数学教師である石神が、実は学生時代からガリレオ先生と知り合いで、湯川学と相認め合う程の逸材であったこと。石神が仕掛けたアリバイ工作がどのようなものであったのかが、刑事の草薙、そして湯川によって徐々に明らかになる所が楽しみどころであります。

 

因みに最後はというと。。。壮絶、です笑 是非お読みください。

 

おわりに

やや古めの本ですが、非常に楽しく読めました。シリーズものの推理小説の一冊ですが、本作は人の情けや機微にスポットライトを当てている点が秀逸であると思います。アリバイがどのように崩されるかを読み進めるのも十分面白いのですが、むしろ石神の心情の動きを物語の最後に明らかにしたところに直木賞受賞にふさわしい重みを感じた次第です。

 

評価 ☆☆☆☆

2021/08/30

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