海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は世界史と英語を勉強します!

反グローバリズム入門、かな―『グローバリズムが世界を滅ぼす』著:エマニュエル・トッド、ハジュン・チャン、柴山桂太、中野剛志、藤井聡、堀茂樹

新自由主義とかグローバリズムとか、しばしば耳にし、また口にもする割に、どこが良くて何がどう良くないのかについては、実はよくわかっていないようにふと思いました。

 

過日、トッド氏の『問題は英国ではない、EUだ』を読み、類書にあたる本書も読んでみようと思った次第です。

lifewithbooks.hateblo.jp

 


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グローバリズムのどこが危ない?

グローバリズムって何ぞやとなりますが、誤解を恐れずに言えば、ヒト・モノ・カネが自由に行き来できるようになることです(間違っていたらごめんなさい)。当然、その前提になるのが規制撤廃規制緩和です。さらにこうした規制撤廃規制緩和が含意するのは金融・経済・法律等における統一ルールの適用です。

 

このグローバリズムの結果どうなったかと言えば、貧富の差が激しくなったとか、よく言います。

 

本書では改めてグローバリズムの危険性を述べています。

トッド氏は、主権の喪失(国内事情を国がハンドルできなくなる)の危険性を指摘。チャン氏は、地域社会の不安定化(企業の積極的海外進出により地元雇用が削減される)や、企業の近視眼的政策(グローバル株主からの利益還元要求により長期的なコミットメントより中短期的な利益を優先)による企業の劣化などを説いています。藤井氏は、ハンナ・アレントを援用しつつ、官僚やエリート層の全体主義的思考停止を指摘。中野氏もエリート層の「レッセ・フェール」のもとの責任放棄を指弾しています。

 

たしかに実感としても、1990年代以降の各種規制緩和で生活が(金銭的に)豊かになったかと言うと全然そんなの感じません(技術的進歩の恩恵は受けていると思いますが)。でも、政策が良くないからいって官僚が失職することもないし、某自動車企業が儲かったからと言って、それが二次受け・三次受けを通じて波及効果として中部地方の景気が良くなったとかいうのもあまり聞かない。

じゃあ、規制緩和って結局市民の為と言うより、一部の金持ちをより金持ちにしただけ?という疑問であります。

 

グローバル化だって悪いばかりではない

もちろん、いいところもありますね。

ヒト・モノ・カネの自由な往来により、旅行はめっちゃしやすくなりました。格安航空券なんか昔はなかったし。国内も国外も安くいけるようになりました。また、関税の引き下げにより多様な物品が世界中から入ってきました。カルディとか見てるだけで楽しいし。

 

じゃあどうしたいのよ?

では本作に登場する識者たちは何を言いたいのかと言うと、総じて『バランスを考えようぜ』という事のようです。経済の不安定化を防ぎ、成長や変化もモデレートにし、そして官僚や政治家はもっと主体的に考え(企業や自分の利益ではなく)国益を考えるべき、と唱えているように思えます。

 

うーむ。

とはいえ、全体の有るべき姿をみても、その全体を構成するのはやはり個であります。ですから、結局我々一人の民度の向上が望まれますよね。民度の向上を目指すには? やっぱり我々が実際に政治に参加する?それも面倒臭いですよねえ。。。具体的にはわからないけど、選挙くらいは参加しないとなと改めて思った次第です(近年は非居住者も国政選挙には投票可能です)。

 

おわりに

性格や性別に『正しい』『間違っている』ということがないのと同様、国についても『正しい』『間違っている』という事は出来ないのではと感じます(少なくても他国の人が言う話ではないと思います)。もしそうだとすると、日本は米国と違ってもいいし、共産主義でも独裁を取る国でも、それはそれでその国の選択であると思います。

官僚も政治家もそして我々も、必要なことは、日本が世界標準と違うとか同じとか、はたまたおかしいとか正しいとかではなく、日本をどのような社会にしたいかと切に考えることなのではないか、と思いました。そうした地道な思考の堆積が民度をあげるのでは、と思った次第です。僭越ですが。

 

評価 ☆☆☆☆

2021/08/29

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