海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

市場を出し抜こうとすることそのものが敗者のゲーム。市場平均(インデックス投資)で十分 ― 『敗者のゲーム』著:チャールズ・エリス 訳:鹿毛雄二

皆さん投資してますか? 

個別株をマーケットで売買したり、持株会で自社株を月々購入したり、あるいは毎月分配型の投資信託とかを買ったりしていますか。

 

若い頃は私もしました。個別株、外国株、投信と色々やりました。幸いタイミングが良く100万ちょっとくらい儲かったと思います(日経平均8000円割れを経験しましたからねえ)。ま、移住に際してすべて処分しましたが。。。

年金や退職金が覚束ないとすれば、やはり貯蓄・投資というトピックは避けて通れない課題の一つだと思います。

 


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要旨は『インデックス投資一択』!

本書の要旨を極荒っぽくまとめるならば、『個別株投資(投信)はやめときなさい、負けるから』ということです。加えて『故に投資するならインデックス投資(市場平均)への投資がベスト』という結論です。

 

なんなれば機関投資家(要はプロ)が市場参加者の95%をも占める昨今、世界のベスト&ブライテストが鎬を削る世界で(しかも彼らの多くが残業をも厭わない熱心なプレーヤー)、素人が勝てる見込みは極めて少ないということです。もちろんラッキーパンチはあり得ますが継続して勝ち続けることは不可能でしょう。機関投資家自身すら、割合の95%を占めるに至った自らに挑戦しても勝てないのです。自分自身に勝つべく挑戦している姿を筆者は揶揄して表現しています。

 

となれば、市場平均に連動するインデックス投資こそが手数料も安く、リーズナブルな投資という事になります。

 

カリスマ投資家は否定しない。が、永続性がポイント

もちろん、ウォーレン・バフェットはどうだとか言う人はあるでしょう。筆者もそうしたいわゆる『カリスマ投資家』を否定はしません。ただバフェットも不死身ではないし後継者が同じような『カリスマ』である可能性低かろうと思います。同様に他のカリスマを探すにしてもその手間たるや膨大。時間という貴重なリソースを割いてもそれでも見つかるかどうかはわかりません。そうした機会コストを考えればインデックス投資が最良との結論です。

 

あれ筆者はヴァンガードに居た方でしょ?したらめっちゃポジショントーク(自社商品の売り込み)なんじゃない?という無粋は突っ込みはやめときます。
「いや~絶対もうかりますよ、たぶん」などと支離滅裂なドブ板営業をしていた自らの証券マン時代を鑑みれば、筆者の主張は極々まともであると心から思います。

 

その他、為になるお話も

その他幾つか興味を引くトピックがありました。

例えば「過去の新聞を読め」というもの。1987年ブラックマンデー、2000年ITバブル、2008年リーマンショック等々(大恐慌以前にさかのぼっています)、崩壊前のバブルのユーフォリアは非常に似通っているそうです。

 

それ以外に年一回の運用状況の見直しのススメ、債券(および債券ファンド)はインフレを回避できない、持株会は買うべきでない等々、よく言われる話ではありますが面白く読めました。

 

おわりに

投資に関する非常に面白い本でした。

ヴァンガードのボーグル氏や本書のエリス氏の著作が相応に売れているにも関わらず、それでもなおレッド・オーシャンたる株式市場に飛び込む猛者が多く居るのはちょっと不思議なことです。人が不合理という事なのか、さもなくばマーケットというロマンに時間と金をつぎ込んでいるのか。よくわかりません・・・。ただ一種のゲーム?として個別株投資は面白いと個人的には感じており、個別株の捨てがたさは理解できます。

 

本作、米国での経験をもとに書かれており、どれくらい日本の証券市場に当てはまるのかはわかりませんが、考え方については非常に有用でためになると思いました。

 

評価 ☆☆☆☆

2021/10/01

 

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