海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

不機嫌な「ちびまる子ちゃん」が毒を吐く ・・・- 『円卓』著:西加奈子

先日日本にいる息子から船便で本が届きました。ブックオフでまとめて買っておいたものを段ボールで年に数回送ってもらっています。

実は買ったのは二度目。読み始めて、あ、これ読んだことある!と気づきました。前のはすでに売ってしまい気づきませんでした。

 


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この本をごく簡潔に表すとすれば?と自問し、不機嫌な「ちびまる子ちゃん」と自答してみました。

 

渦原琴子、三年生。通称コッコ。

頑固でひねくれている。切れやすく、二言目には「うるさいんじゃボケ。」 孤独になりたく、不幸になりたく、同じ公団に住む同級生のぽっさんのドモりのリズムが素敵だと感じている。自分はとんがりたいのに、周囲からは猫かわいがりされる。それがまたウザく感じるコッコ。

 

物語のわきを固めるキャラも変わらず個性的。

渦原家は公団住まいにもかかわらず8人家族。祖父母に父母、そして三つ子の姉。

同級生、どもりのぽっさんは七福神の寿老人に憧れる。趣味が渋い。同じく同級のごっくんはベトナム人だが関西弁しか喋れない。朴君は父親が別居中とかいろいろ訳アリ。

 

超個性的な家族が一同に会する食卓である円卓(これはつぶれた中華屋からもらってきたもの)が題名になっていることからも、一つの家族を描写しているものと思われます。

 

特に大きなツイストがあるわけでもなく淡々と物語は進みます。ただ、作品終盤にかけてちょっとだけコッコが成長する?と言う感じなのかな?

 

おわりに

作者の西さんは言葉を紡ぐリズムに特徴がある気がします。ストーリー展開はどうにも煮え切らないものが多いのも特徴な気がします。そうした作風から考えますと、本作は言葉のリズムは従来どおりの西節?がさく裂、また展開も私が読んだ他の作品と比べるとすっきり終わった気がします笑

 

エンターテイメントという程面白みに特化しているわけでもなく、かといって家族の繋がりを強く全面に出すような教科書的なつくりでもなく立ち位置的には中途半端である気がします。子どもの素直さがちょっと残酷ですが、ユーモアあふれた楽しい作品だと思います。ストーリー展開というより言葉のリズムを味わえる方にはおすすめできる作品かと思います。

 

評価 ☆☆☆

2021/10/16

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