本棚整理と復習を兼ねて再読。本サイトを見てくださっている奇特な方には申し訳ないのですが本ポストは普通に読み飛ばしてください。。。
実務書であり、題名がこれ以上内容を表すこともないと思います。そのまんま。
当然のことながら経理財務の方向けの本。私は経理畑の人間ではなく、別のミドルファンクションとして本書を読みましたが。
さて内容ですが、銀行の経理実務について特長的な項目を絞って書いてあるものです。銀行業界の経理の特殊性は有価証券報告書などを見ればすぐに気づくことと思います。経引後利益の事を業務純益と読んだり。収益の種類もアップフロントフィーとか、デリバティブ収益とかありますし。
こうした銀行特有の経理の取扱がコンパクトにまとめられております。ローン契約、引き当て、投資有価証券、信託契約等の経理についても触れられております。
個人的に読んでいて学びがあったのはマスターネッティングの話。
銀行はデリバティブ契約を多く保有しています。対顧客との契約の他、当該契約が将来の市場動向によって銀行側に不利な契約にならぬよう(ほぼ)正反対の取り組みを他銀行とします。カバーとかと言ったりしますね。つまり銀行は対顧客とのリスクを相殺するためにもう一つデリバティブを組むわけですが、そのため逆に他銀行のリスクを抱えることになります。実は銀行はこうしたカバー取引のために多くの他銀行宛て債権債務を抱えるわけですが、これをネットしようという考えです。つまりバランスシートの水ぶくれを抑える経理です。
逆にちょっと冷たいなあと思ったのは、繰り延べヘッジと税効果会計を取り扱ったQ3-21の部分。繰り延べヘッジは分かるのですが、これが税効果会計とどう関連するかが分かりません。まあ単純に私が税効果会計のことを良く理解していないだけなのですが・・・。
ということで、銀行の実務本としては基本的な経費科目の内容ながら、会計の話は一定レベルの理解を前提にしていると感じました。
おわりに
結論からするとコンパクトにまとまった銀行経理の本です。
ただ、ターゲット読者がどのあたりの方々なのか、イマイチはっきりしないと感じました。というのは本作のコンパクトさなのですが、実際経理の実務に携わる人はこの程度の薄さの知識では足りないのだと思うのです。実際の経理の方は辞書みたいな分厚い本を机において参照するのだと思うのです。
までも、経理財務の人間でない私もこうして手に取っているわけですから、やっぱりターゲットは本業以外の方なのか。
これを書きつつ、ふと表紙の窓を見ると、『本書は、銀行会計に初めて携わる方でもこのような銀行業の会計の特徴的な部分が鳥瞰できるよう、会計上の論点をQ&A形式で取り上げています』とありました。私のレビュー、書くまでもなかったですね。
評価 ☆☆☆
2021/11/17