海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

安定の面白さと、安定の驚き!?|『沈黙のパレード』東野圭吾

今、大分長い本を読んでいます。ページ数を見たら実に、752ページ! そういう長い本を読んでいるときはついつい寄り道で他の本に手を出してしまいます。

ということでこちらがその『寄り道』の本。実は本作、会社の本棚に置いてあったものです。


・・・というのもですよ、この前、昨年の業績評価のフィードバックがあり上司に聞いたんです。
私『私がよりよくなるためには何か改善点はないでしょうか? 気づいた点はなんでも。』
上司『いやー、昨年度は色々と本当にオヤジさんのおかげで助かりました。特にないのですが、もしもう少しオフィスにいらっしゃると、議論や問題がより直接的に解決できるかなとー思いました。もちろん、全然強制とかじゃないのですが』
私『・・・そうですね』(下手すると3カ月に一度くらいの出社だった)

で、まあ言っていることはいちいちご尤もだと思い、今後は月に一回ぐらい出社しようと(それでも大分ナめた)考えをしており、ちょうど先週出社してその際本棚で見つけた本であります。

 


f:id:gokutubushi55:20220627013214j:image

・・・

突然ですが、定番の安定感ってありますよね。新奇性・新規性は今一つ感じられないけれど、確実に万人受けするもの。いわゆる鉄板。お土産ならばヨックモックや鳩サブレ―、和菓子ならばみたらし団子や信玄餅、ポテトチップスならばコンソメ味やうすしお味(すべて個人の好みです。すみません)。

 

もしミステリの定番を挙げる、というと、もう東野圭吾氏のガリレオシリーズはその筆頭格にあげられてもおかしくないのではと思います。犯人を攻めあぐねる警察(草薙・内海)、切れ者の探偵(湯川)、被害者やその周辺で起こるドラマ、そしてアッと驚く結末。典型というべきかマンネリというべきか。でもやはり面白いのです。

 

で、今回のテーマですが、自白です。犯人の特定はできているものの、その被疑者が黙秘を通し、結果不起訴処分になるというものです。同一被疑者による二つの事件での不起訴処分。その裏で当の被疑者は警察から賠償金をせしめ、他方で二つの被害者家族の破壊された家庭があるというコントラストです。

ここから先はぜひとも読んで味わってほしいのですが、予想しない展開で終わりました。これは一ひねりではなく、二ひねりくらいあります。そして本を閉じたときに、本作のタイトル『沈黙のパレード』の意味がようやく理解できました。

 

定番ゆえ?のモヤモヤ(ないものねだり)

他方、何というか物足りなさ?を感じたのも確か。どうにも驚かない。いや、確かに予想はしないのですが、思いもよらない方法ではなく、種明かしをされれば、なるほどね・まあそうね、と納得できてしまうという風。ある意味これも”定番”の宿命なのやもしれませんが、ひねり・オチすら安定感のあるものに感じられてきた次第です。でもこの予定調和的なのが(どれだけ困難な状況でも最後は主人公が大団円へ導く)またいいのも確かではあります。我儘で申し訳ないのですが笑

 

おわり

ちなみにですが、本作で草薙刑事は係長に、そして湯川は教授に昇進していました。ガリレオシリーズは1998年頃からですから、かれこれ20年続いたシリーズです。小説の中ではやや時間の歩みが遅い(15年くらい?)のですが、二人とも所帯持ちになっていないのが少し気になりました。これもまた時代なのかもしれませんね。

 

評価     ☆☆☆

2022/06/25

 

海外オヤジの読書ノート - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村