海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

ワークライフバランス先駆者の人生談。壮絶 | 『50歳からの生き方』 佐々木常夫

アラフィフの私。窓際であり昇進がなく、その上子供たちが高大へと進学する一番家計的に厳しい時。そんな折、何かの足しにはならないかと本作を手に取った次第です。ちなみに2年半ぶりに帰った実家で親父が初期の痴呆であることがわかり(私の勤務先を毎日聞かれる、私の年齢も覚えていない)、一つ懸念が増えました笑


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昭和の時代を「ライフ」優先で生きたツワモノ

壮絶。すごい。

まずもってこうした言葉が出てきます。自閉症の子息を抱え、奥様がうつの末自殺未遂をしたり。そうした家族の面倒を見つつ、会社を定時にあがる。

これで上場企業の取締役にまで駆け上るのであるから、著者の仕事力・効率性はとんでもないのでしょう。また、いわゆるモーレツな昭和時代にサラリーマンとして過ごしてきたことを考えると、残業なし・飲み会なしで昇進してきたのですから、ある意味で驚異的なワークライフバランスの実践を行ってきたと言って過言ではないかもしれません。

そのような著者が本書で説くのは、人間50歳が見えてきたら、より「ライフ」寄り、家庭寄りで生きる、話すより聞く、健康を大事にする、等々を説くものです。

 

なぜ刺さらない?

ただ、何でしょうか。いまいち刺さらなかったというのが実は本音なのです。

 

一つには、説く内容そのものは今となってはあり触れているといっても過言ではないからかもしれません。1975年生まれの私くらいの年代ですと、家庭を大事にしないと後で妻から何を言われるか分かりませんし笑…。周囲をみても相応に家庭を顧みる方が多いという印象です。

逆に「人生辛くても何とかなる」というテーマなら「おー、確かにすげえわこの人」となったかもしれません。

 

もう一つは、やはり世代の違い、でしょうか。シニカルにいうと「どうせ勝ち組世代でしょ」と感じてしまうのです。筆者は1944年生まれですから、丁度私の親世代、所謂団塊の世代です。余程の事がなければ昇進して、年金や退職金も、特に大きな会社であれば申し分ないのでは、と想像してしまいます。しかも東大卒だと聞くと、もう金銭的には全く心配ないから「ライフ」に舵を切れるのでは?、と斜に構えてしまいました。

おわりに

…勝手なルサンチマンを爆発させて申し訳ありません。筆者の言っていることについては取り立てて反論はありません。ただ、「金銭的に相応に持っているひと、そこそこ退職金も年金も見込める方は50歳からは生き方を改めよう」という論旨であったことが見抜けなかったものです。

今を忙しく生きている方が立ち止まって読むのであれば、その忙しさを改めるのに参考になるかと思います。また家庭環境が筆者と類似であればきっと勇気をもらえるとおもいます。

 

評価     ☆☆☆

2022/08/13

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