海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

ミドルおやじの人生見つめなおしに効きそう | 『50歳からの勉強法』 童門冬二

先般、一時帰国中に見舞う予定であった叔父を亡くしました。末期ガンでした。享年78歳。旅行を愛し、50代で脱サラし、居酒屋や喫茶店を経営し、やりたい放題(と私には見えましたが)しつつ、最後は奥様に介護され息を引き取られました。

彼の人生を思い返し、自分は今後どうするべきかいやでも自問してしまいます。子供たちはいまだ片付かず、家内は更年期に足を踏み入れ、親のボケが始まるなか、自分の人生をどのように進めてゆくかはいまだ解を得ないところです。ならば先達の教えを聞くに限ると本作を手に取った次第です。


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50代からの生きざま、ケーススタディ

世の中には勉強・独学に関する本が山のように存在します。最近は東大生たちの効率的な勉強本を多く読んでいますが、包括的という観点では「独学大全」にその方法論の大半は網羅されていると感じています。

そのような中で、本作は言わば、一つの独学・勉強の具体的事例の紹介、といってよいのではないかと思います。

 

ちなみに筆者ですが・・・

筆者は、学徒として特攻予備隊にいるときに終戦を迎え、以降東京都庁に勤務。さなかに芥川賞候補となるも、50過ぎに宮仕えを終え、第二の人生として作家としての道を踏み出した方。このような華麗な転身を果たした筆者の勉強法は、私のような出世が見込めない方や、役職定年を控えるその他アラフィフ諸氏の希望になり得るのではないかと思った次第です。

 

自己のスタイルの確立

まずもって感じたのは、筆者は良くも悪くも自分のスタイルを確立しているということ。

そしてそのスタイルというのが、いわば流動的スタイルという逆説であることです。例えば、冗談交じりに「起承転々」という定まらぬ己を受け入れるという態度(P.10)を勧めてみたり、「二者択二」という、AかBかではなくAもBもというスタイルを勧める(複眼思考というやつか)点です。観念論哲学でいうところの止揚(正+反=合)に似た考えにも思えます。

こうした一方向に偏らない見方は、カウンタパーティーが多い公務の事案では、白黒で決着が付きづらいために必要になる考え方なのかもしれないと感じました。また、いわば「どっちも正しい」という事態は人生においても往々にして出合うものであり、その結論は玉虫色と周囲から揶揄されかねませんが、私には成熟した見方であると感じました。

こうした方法以外にも、真似てみたいと感じたものに「辞書を読む」があります。これは毎日決まった時間を辞書を読むことに充てているというもの。即効性はもちろんないし定量的な学習効果も測りがたいのでしょうが語彙的な滋養が満たされるとのこと(学習とはそういうものだという割り切り)。私も、こうして読書の感想をしたためていて感じるのは、自己の言葉の貧困であり、筆者のこの学習法は素晴らしい方法だと思った次第です。

 

おわりに

これ以外にも私自身には面白い・参考になる勉強法、生活法、考え方が多々ありました。業務での処遇、家族構成の違いなど、条件が違えば自ずと取り入れられる点も変わってくることとは思いますが、個人的には50歳代以降に人生のギアチェンジを検討される方には非常に参考になる本だと感じました。

 

評価     ☆☆☆☆

2022/08/27

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