海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

海外+食べ物=たいてい気に入る作品|『かもめ食堂』群ようこ

本とは関係なく、全くの私事なのですが、私、四半期に一度くらいのペースで、無性に逃げ出したくなります。仕事も家族も放り出して、ふらっと放浪とかに出たくなります(ほら、コロナとか大分収まって旅行とかもできそうだし笑)。面倒くさいおっさんで申し訳ないです。

 

面白味のない仕事を真面目にこなす、大分年下の上司に色々と教えてあげる、更年期で感情が荒れがちな嫁をうんうんとなだめる、母娘喧嘩が目の前で始まってもまあまあと割って入る。口先だけは偏差値急上昇な娘にもキレずに大人な冷静な対応をする。。。こういうのが徐々に面倒に感じてきます。

 

50近いおっさんが何を今更世迷いごとを言っているのか、と思うかもしれませんね。だって、冷静に振り返ると、多かれ少なかれ集団の中にいると誰もが感じる類のストレスにみえますもん。それが嫌なら一人で山にでも籠れやって話ですね笑

 

で、仕事のストレスも家庭のストレスも、ストレス解消の時は、かつては爆食(特にジャンクなもの)や飲酒でごまかしていました。でも今いる国はイスラム教国で酒税がバカ高いしお菓子もまずいので、この手段は使えず逆に体だけは妙に健康になってしまいました。結局、Yahoo!ニュースとかSNS巡りとか数時間時間をつぶし不貞腐れるのがストレスが溜まってきたときの常態となりつつありました。

 

なんか生産的でない。。。夜更かししてネットみて睡眠時間が削られていき、自分を肉体的にも追い込んでいく。。。これはいかん。

自分の感情に嘘はないので、ストレスを感じる自分と周囲の状況はきちんと認知して消化したいのですが、ケータイに時間を持ってかれるってのが癪なんです。

 

そうだ、本を読もう』とふと思いました。ってか、いっつも読んでんじゃねえかって話ですが。でもストレス解消ときたら、新たな本を今衝動的に買って今読みたい!これです! その点買ったらすぐ読めるKindleはとても便利。ま、衝動と言いつつも懐が寂しいので、やっすーいのを探しまわり、最終的にチョイスしたのが本作です(セールで157円でした)。

結局睡眠時間は多少減りましたがケータイいじっているよりも納得感のある時間が過ごせました。実に安い男です。

 


f:id:gokutubushi55:20220930012358j:image

 

あらすじ

「人生すべて修行」が口癖の古武道の達人の父と、運動神経は良いも古武道がそこまで好きではないサチエ。母の死を境にサチエが家事を取り仕切り、料理の面白さに目覚めていく。調理科に通い、大学卒業後は食品会社に就職するも、サチエが大切にしたいのは、人が毎日食べるちゃんとした食事。しかし、食品会社の弁当開発部に配属され味付けの濃いおかずの開発をする過程ではサチエの夢は果たせない。そこでサチエは日本ではないどこかで自分の夢を果たそうとするが・・・

外国で自然体で生きる。って日本はやっぱり息苦しいのかなあ

妙齢の未婚女性がヘルシンキの町で食堂を営みつつ、しなやかにそして自分らしく生きるというお話です。フィンランドの町の様子や登場人物の描写がとてもかわいらしく、とてもほのぼのとした気分となる作品であると感じました。

 

自然体なサチエにひかれるようにしてミドリやマサコ、果ては悩みを抱えたフィンランド人が引き寄せられるカモメ食堂。それを優しく癒していくサチエの姿がとても素敵です。わたしもカモメ食堂に行きたくなりました笑

 

反面、確かに実際にはあり得ないような設定も多く、そうした突込み所は満載かもしれません(くじ運がよいことを自任しているサチエが食堂の開業資金を宝くじをあてて工面してしまうとか笑)。でも、小説ってのはちょっとあり得ないくらいの方が面白いのかなと私は思いました。もちろん、フィンランドを良く知る人だと現実とのギャップがありすぎたりすると楽しめないかもしれませんね。幸い私は行ったこともイメージもないため、純粋に楽しむことができました。

 

もひとつ。カモメ食堂には結局計3人の日本人が示し合わせもせずに集まってしまうという設定ですが、やっぱり日本って自分のやりたいこともできない・表現したいことも許されづらい、息苦しい国なのでしょうか。日本が生きづらい国という設定なのだとすると、筆者はこのあたりどう考えているのかを知りたいなと思いました。

 

おわりに

自然体で生きる、外国、毎日の素朴な手作りご飯。このあたりがキーワードな気がします。こういうトピックに興味のある方は楽しく読めると思います。ほのぼのした可愛い文体ですし、2-3時間くらいで読み切れるボリュームです。女性が好きそうな感じの作風だと思います。

 

評価   ☆☆☆☆

2022/09/28

海外オヤジの読書ノート - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村