お笑いやジョークというのは実は非常に高度で難しいものだと思います。あえて言葉を字義通りに表現せず同音意義をとってみたり、有名な諺やクオートに当て擦ってみたり。
かくいう我が愛妻も「日本のお笑いで笑えるようになってやっと日本語が上達したって感じた」と言っています。その割にキレると語尾が「〇ΑΑΓ.ДԢהג∑∰∤≃」とかってなっちゃうのはどうにかならないかなあって思うけど。。。
ひとこと感想
一言でいえば本作はユーモラスな小噺集といったところ。探偵ナイトスクープで例えるならば爆笑小ネタ集といったところ。
要は小ネタ集
ひとネタ2~3ページのごくごく短い小噺で、くすっと笑えるようなものが60弱収録されています。そう、本家と同じで爆笑と銘打つ割にはくすっと程度。個人的にはそのくらいが自然で好きですが笑
でも通して読めば、確かに笑えるのもあれば、これはなぜ面白いのか、というものが取り混ぜな感じ。これはおそらく単語力のほかにも文化とかより深い文脈を理解する力が足りてないのかなあと思います。家内の日本語観の点でいえば私の英語力はまだまだということか。
その中でも面白かったのは1「Slumber Party」, 2「crayola.co」, 3「love coupon」の3つ。1.はいわゆるお泊り会。中学生くらい?の男子どもが親の不在の子の家に集まり、酒でも見つけて飲んじゃおうぜ、というシーン。各人手分けして酒を探すと、出るわ出るわ。オヤジさんのベッドの下、オヤジさんの薬箱の裏、オヤジさんのトイレの奥、地下室からは密造酒、さらに末妹の部屋からも発見。最後にオヤジさんの思い出ボックスの中にも、という話。読みながら「オヤジ、アル中かよっ」と突っ込みたくなるボケ話。
2.はクレヨン会社のマネージャと商品開発スタッフとの会話。毎週クレヨンの新色を開発しないといけないのだがネーミングがいまいち。少し休んではどうかというマネジャーの提案にスタッフは固辞。ではその新色のネーミングはどうかというと「Sad Blue….Sad Green….Horrible Red…..Really Sad Blue…..Divorce Pink…..Divorce Brown….Divorce Green 」、つまり私生活に問題があるわけですね。さらに「Adultery Red…..Ultimatum Pink…Lawyer Green….Settlement Blue….」と、より具体的になっていくところがブラックジョークですね。オチはいまいち理解できませんでしたが、展開で面白さが実感できます。
3.は半分以上下ネタです。高校卒業くらいに付き合っていたラブラブな時に自作したフリークーポンのネタ。別れて12年以上たっている相手のところに押しかけて「この手料理フリークーポン使いたい。手料理食わせてくれよ」「ねえ、ちょっと待って、私もう結婚して子供もいるのよ。あれから12年もたっているのよ」「でも有効期限も何も書いてないじゃん。だから有効でしょ。あとこのXXXさせてくれるっていうクーポンも今すぐ使いたい。家に数枚あるから明日も使いたい」と続きます。若気の至り?が災いを呼ぶ(単に相手が常識知らずだった?)という教訓話!? 冷静になるとキモいですが、勢いで読ませます。
補足情報
ちなみに筆者はハーバード大卒業なのですが、在学中に出版したところが話題だったのでしょうかね。Thurber Prize For American Humorという賞の2008年ファイナリスト作品とのこと。なお筆者は同賞を2019年に受賞(受賞作「Hits&Misses」)。
もうひとつ、ちなみに。アマゾンで検索したら18歳以上ですか?と問われた笑 どうやら本作、アダルトの分類になっているらしい。ひょっとしてlove couponが理由か?笑
英語は難しくないです
あと英語ですが、そこまで難しくありません。高校卒業程度であればスイスイ読めると思います。ただ何で面白いのかがわからない箇所がしばしばあるのでそういうのは米国在住経験のある方だとより理解できるかもしれません。
おわりに
ということで英語小ネタ集でした。SIMON RICHというかたのインタビューを以前聞いていて本も買ってみようと思った次第でした。なかなか面白かったんだけど、私は小ネタ集よりも物語の方が好き。次からはもう少し概要についても調べて買わないと、と実感しました。
評価 ☆☆☆