とある日のこと、中三の娘が「古典マジで意味が分からない」と申します。見れば国語で芭蕉の奥の細道を読まされているそう。
夏草や兵どもが夢のあと
・・・この儚さをどう説明する? 「もののあはれ」とか辞書で引いてみるか? 藤原氏の隆盛から凋落、武家社会と源氏の勃興とかを話すべきか? 何なら推古天皇とかの飛鳥時代の中央集権体制から説明するか? ていうか、うちの子、日本史殆ど知らないぞ。うーむ。
ということで、日本の文化・歴史・地理等がわからいキコクの子に、古典の良さ・面白さを説明するのは存外に難しいと感じたのでした。今さらですがね。
長男の時はもっとガサツなアプローチで、「伊勢物語」を音読させて体で覚えさせるという戦法でした。そこそこ試験問題で「伊勢物語」も出てきてましたし。で、うまくいったかどうかは分かりませんが、高校では確実に古典嫌いになりました(完全に失敗)。
同じことを娘に試してもいいのですが、内容的に娘にはちょっと疑問ですよね(嫁からクレーム入りそう)。
ということで、困ったときのAmazon頼み。そして発見したのがこちらの作品。この本を娘に読ませよう! あれ、でももう中三の11月じゃん、今更読ませても・・・という考えも頭をよぎります笑 まあでも買ってしまったのだから、とまずは私が読んでみた次第です(もう殆ど自分のために買ってますね)。
ひとこと感想
しょっぱなから、筆者の共感力の高さに感動しっぱなしでした。古典女流作家の作品の内容から作者の性格・行動を解釈し、上手に現代に当てはめます。するとどうでしょう、あれほど訳が分からない古典の人物でも、あら不思議、確かにそういう人いるよね、という人物像へと見方が大きく変化するではないですか。
女流作家キャッチコピー
ということで、本作、平安時代の女流作家とその作品を、現代の状況に置き換えるという試みであります。まずはこちらをご覧ください。
大学受験前の日本文化史の勉強(丸暗記)を思い出します。でも筆者の分析だと上記の作家達はこのような性格分析となります。
清少納言:承認されたい自慢しい
紫式部:ねっとりこじらせ女子
藤原道綱母:夫の不倫で親子密着
和泉式部:不幸で才能を磨く
こんなキャッチコピーだと、確かに興味が湧きますよね。
ガールズトーク全開!?
より詳細に説明すると、筆者の試みは、ガールズトーク的味付けで古典の偉人たちを分析している、ということです。ガールズトークってのは要は恋愛観ですね。
清少納言はサバサバしているので、名門の殿方も寄ってきやすい。それをサラリと振って、言い寄られたことをインスタとかで上げちゃうタイプ。
他方、紫式部はそういう出しゃばりなタイプが一番嫌い。故に清少納言とか大っ嫌い。でも実は本人もそういうのがしたいのに、性格が許さないタイプ。メンドクサ!
藤原道綱母は、今でいうところのサレ女か。招婿婚で一夫多妻の当時でも、ほかの妻にジェラシーをめいいっぱい感じて、新しい妻が自分の夫から愛想をつかされると大喜びするという。。。原典を読んでいないのにヒステリックさが伝わります。『死の棘』を彷彿とさせます。
菅原孝標娘は恋に恋しちゃうタイプ。源氏物語で光源氏が夕顔を連れ去るシーンがありますが、そういう「連れ去り」をしてくれる王子様が早く出てこないかなーなんて願っちゃうタイプ。
和泉式部は、恋愛体質。その気がないのに自然と愛想を振り舞いてしまうのか、男が絶えない。挙句に死んだ元カレの弟とも結ばれちゃう(ちなみにその弟も死ぬのだが)。今ならばあざといとかって言われちゃうんでしょうね。
こういう分析をして、この子は友達になれるとかなれないとか、私ならばどうこうアドバイスするのにな、などの想像のやり取りが盛り上がります。確かに面白い。
おわりに
ということで、古代の女流作家をその恋愛観などで読み解くような作品でありました。
「する」とか「した」とか、シモの話が多く、読んでいる最中は、女子の集団にうっかり男一人で迷い込んだような気分になりました。が、平安時代の女流作家はばっちり頭に焼き付きました。原典もちょっと目を通してみたくなります。
本作は当初、中三の娘の古典苦手意識解消のために購入したものでした。確かに非常に面白く、苦手意識も消えるかもって思いましたが、内容がなあ・・・読ませてみるか悩みどころであります笑
評価 ☆☆☆
2022/11/12