皆さんは生物学ってお好きですか?
私はなかなかに好きで、生まれ変わったら進化生物学者になりたいとすら(ちょっとだけ)思ったこともありました。自然の中に戯れる生物ですが、実はその行動は非常にロジカルで理にかなっていることが生物学者の弁で色々と明らかになるのに、非常に感銘を受けたものです。
ですから、コンラート・ローレンツとか、リチャード・ドーキンスとか、ジャレド・ダイアモンドとか、日本人の方ですと長谷川真理子さん、日高敏隆さんとかの著述を若いころは結構読んだものでした。
さて、時は移り令和の昨今。中学生の娘の教科書に出ていたのが稲垣栄洋氏の著作の一部。生物系の蘊蓄が面白く、これは読んでみたいと買い求めてみたのが本作であります。
で本作、予想通りの生物学の蘊蓄たっぷりで面白いかというと・・・・。申し訳ないのですが、生物学という観点ではちょっと見当が違ったものでありました。
小学生向き自己啓発!??
違ってていいんだよ、弱いからこそ生き残れた生物が沢山いるんだよ、という、なんというか癒し系生物学エッセイ、の雰囲気でありました。
個々の進化の過程や、生存戦略を読み解くのは面白いのですが、それを人間世界に置き換えているくだりがどうにも受け入れがたかったものです。
「たとえ誰かがあなたの個性に意味がないと言い放っても、あなたの生まれた確率を考えれば、あなたの個性には必ず居場所があります。そして、必ず意味を見つけだすことができるはずなのです」(P.36)
勿論、なにも確認しないで買ってしまった私自身に非があり、筆者を批判するに能わずであります。
おわりに
ということで筆者は悪くなく、読者が自ら間違えた読書でありました。ただ、この方の本はまた是非読んでみたいなあと思いました。氏の生物を読み解く文章は実に面白いのです。次回は専門書をチョイスしたく思います。
評価 ☆☆
2022/12/11