海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

青春ストーリーとして読みました|『AKIRA』大友克洋

やっと下の子の高校受験が終わりました。となると、上の子同様、下の子も彼らの祖父母宅(私の実家)から学校へ通うことになります。

実家を出てから、実家を倉庫代わりに使っていたことが多くあったことを今更ながらに反省しております。大分自分のモノは処分したとはいえ、それでも残っている蔵書や私物がいくらかあります。

娘に少しでもスペースを与えるため、父は断捨離を決行するのでした。ということで一応さよならする前に再読であります。本作はその第一弾であります。

 


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久方ぶりの再読です。もう30年ぶりくらい。そして、相変わらず読後の満足感・幸福感が得られる作品でした。

 

舞台設定に震える!?

舞台は第三次世界大戦後の「ネオ東京」という街ですが、時期は2019年でした。しかも、三次世界大戦からの復興の意図もあり、翌2020年に東京でオリンピックを控えているという設定。

いやあこれ読んだとき、少し震えました。以前読んだときはまだ1990年代だったし、20年後の話なんて遠い未来でした。でも東京オリンピック、奇しくも「AKIRA」で予言されていた?形になります。きっとファンの方は既にご存じだったのでしょうが・・・。

現実には核戦争とか起こってなくてよかった笑

 

主人公金田を中心とした青春ストーリー

再読して感じたのは、本作は青春ストーリーだ、ということです。

確かに舞台は、暴力のまかり通る荒廃した東京(「北斗の拳」のごとく)、そして主人公の金田は落ちこぼれ職業訓練高校在学の暴走族のリーダー。そんな金田が、幼馴染で同じ暴走族で地位の低かった鉄雄(超能力を獲得する)と対決する、というのが一つのテーマです。不良モノ、アクション系の気配が全面に出ていることは確かです。

 

また、超能力というのが一つの大きな味付けで、これを開発するための政府の特別プロジェクトがあったり、力を制御できなくなった「アキラ」の存在があったり、最終こうした超能力を持った日本ごと吹っ飛ばそうとする米ソの強力があったり、「アキラ」を祭り上げてクーデターを起こそうとしたりするグループがあったり。

超能力開発、科学の力で超能力を制御する、核戦争後という場面設定等々を考えますと、SFやディストピアの要素も多分にありますね。

 

で、そんなもろもろの出来事の中でも、主人公金田はチャラくて器用で、それでいてカリスマがあり、窮地を乗り越え、いつの間にか敵との間にも友情のような繋がりをも持ってしまうこともしばしば。クライマックスで鉄雄と対決するときだって、口先では死ねーとか言っているけど、やっぱり鉄雄は友達なんですよね。そういう金田の義理堅い心情や「イイやつ」感が良く描けていると思います。金田とケイが最後に生き残るってのも未来があっていいですよね。

このような種々の点から、私は本作は青春ストーリとして位置付けたいと思います。いやあ、金田がマジでいい奴なんです。あと、でぶのジョーカーもマジいい奴。

 

おわりに

ということで、久方ぶりの楽しいマンガ体験でした。

私、結構人嫌いの癖に、こういうマンガ読むと、つい「あぁ、仲間っていいなあー」とかって思っちゃうんですよね。でも、裏表のない人間関係が難しい・現実には稀だからこそ、義理堅い主人公が描かれるのかな、と斜に考えたりもしました。

 

最後に私が一番好きな金田のセリフを一つ。「ヨタヨタのジャンキーどもになめられてたまるかよ。俺達ァ健康優良不良少年だぜ」です。不良の癖に健全さをアピール笑

 

評価   ☆☆☆☆

2023/02/20

 

 

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