海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

斬新な設定で読ませる、カカシ殺人事件 |『オードュボンの祈り』伊坂幸太郎

突然ですが、最近書こうという気が減退しています。

ブログとか長くやるとよくあることかと思いますが。

自分のポストを見返すたびに、何かワンパターンだとか、誤字脱字が多いとか、語彙が少ないとか、要は下手過ぎて萎えると笑

とは言え、技巧を凝らしてきらびやかに書くとか、しゃれた言い方をしたいというわけでもないのです。

ただ単に、気持ちをシンプルに言い表したい、それだけ。で、ありたい自分・なりたい自分とギャップがあるなと。

 

ちなみに、この人の書き方、好きだなあというのは、下の方のブログ。どんだけ速読なのだろうっていうくらいの読書量なのですが、自分の気持ちの吐露と本の紹介のバランスが上手だなあと思います。

plaza.rakuten.co.jp

 


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最近、伊坂作品を読み返しています。

発表順に読もうと思ったのですが、雑な性格で、微妙に年代順で読めていません泣 「グラスホッパー」(2003)、「アヒルと鴨のコインロッカー」(2004)、に続き、本作「オーデュボンの祈り」(2000)であります。で、こちらがデビュー作になります。

 

ひとこと

ひとこと印象をいうと、昔のファミコンアドベンチャーゲームみたいだなあ、と感じました。伝わらなさそうだけど。

アドベンチャーゲームってのは、主人公の行動次第でシナリオ・結末が幾通りもあるというものです。他方、文学作品(本作)はとうぜん、一つの結末に向かって進んでいきますが、場面場面の切り替わりが比較的短く発生し、大体の場面でメインのキャラとその相手(場合によってはもう一人くらい)というごく少ない人数とその会話から、読み手は状況が少しずつ理解できてくる、という感じです。

 

よくもまあこんな設定思いつくなあ

まあそれにしても、設定が面白いですよねえ。

牡鹿半島の南の人知れぬ島、荻島。しかも江戸時代以降鎖国を続けており、そこには未来が見えるカカシ、優午がいるという。そこへ主人公「伊藤」が担がれてくる。そこで優午が「殺」され、助手の日比野とともに名探偵ばりに真相の解明につとめる。

 

でこれ、いちいち突っ込もうとすればできなくもなさそうです。でも、読者をそういう気にさせない吸引力があると思います。ただただ、面白く読み進めてしまいます。

 

本作もキャラが良いです

あと、キャラもいいですよね。島の方々、皆個性的。

主人公伊藤の連れになる日比野は、無神経?いい奴?でお人よしなペンキ塗り。あー、女に弱いってのがねえ。郵便屋の草薙の奥さん、りえちゃんは「手を握る人」。ホスピスで疼痛緩和に尽力するような方でしょうかね。手を握って死を見届けるっていう職業も、架空の島だし、現実の肌感覚としてもありそうだよなあ、思ってしまいます。ルール人「桜」も斬新でした。ルパン三世の五右衛門が銃を持っているようなイメージでいます笑。この「桜」ってのもかなりすごい設定ですが、カカシの優午の後では、もはや驚くより「あるかも」な印象になります笑

最後の彼女さんの登場も良いですし、人非人の城山がどうなるかとも思いましたが、最後はザクっと終わりましたね。バッドエンドではありませんでした。

 

おわりに

ということで、やっぱり面白い伊坂作品でした。

Wikipediaで確認すると、伊坂氏が在学中、東北大学には瀬名秀明佐藤賢一円城塔らも在学していたそうです。すごい面々ですよね。東北大卒の作家のコンピレーション本とか出てきそう(既にあるのかな?)。

 

コンベンショナルな刑事ものとか、恋愛ものとか、単純にカテゴライズされるような作品に飽きてしまった方にはお勧めできる斬新な作風です。そのほか、東北びいきの方、システムエンジニアの方など、読んでいて多少首肯する部分があるのではないでしょうか。お勧めできる一作です。

 

評価   ☆☆☆☆

2023/05/20

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