皆さん、こんにちは。
えー、イタリアに行くことになりました!しかも月末に!時間がない!でこの読書はそのための布石です。
日頃から金がない金がないと言っていますが、今回は完全に冥土の土産を意識しています。あとはどうにも方向の定まらない長男君(高3)も引き連れて、言わば卒業旅行・家族旅行・社会科見学を兼ねての旅行になりました。
親としては、なんらカッコいい背中を見せてあげられませんでしたので、まあシブチンがパァーと金を使うこともできるとここで証明しましょうぞ。
言っても結局貧乏性でオールセルフ手配。現地12泊で、エア込・宿込・食事や交通費や入場料込々のall-inclusiveで一人25万円程度になりそう。あとは、以前パリでしでかしたように、財布をすられるとか、キセルを試みて見つかり罰金食らうとか、そういう恥ずかしいところがなければと思います。
これで4月の手術が順調だと、今年のキャッシュポジションが大幅減です。まあそれもまた僥倖、ではあるのですが。
ざっくりと
美術史家の池上さんの作品。というかお名前初めて伺いましたが。
タイトル通りの作品。エッセイというには内容が濃い読み物ですが、一章一章は十数分で読めてしまう気軽なものです。
イタリア行き決定のかた、イタリアをよくご存じの方にはヒットか
やはり良さというと、想像を掻き立てる、行ってみたくなるという事でしょうか。
収録されている24の地域を挙げますと、サン・レオ、アッシジ、ヴィンチ、ティヴォリ、シラクーザ、タオルミーナ、ヴェネツィア、ルッカ、マントヴァ、フェッラーラ、カノッサ、フィレンツェ、ボマルツォ、オルヴィエート、シエナ、ヴィチェンツァ、ペルージャ、ローマ、ヴェローナ、アマルフィ、サン・ジミニャーノ、チェファルー、マテーラ、パレルモ、です。
おそらく多くの普通の日本人は、この中でご存じな町は精々4つか5つくらいなのではないでしょうか。でも、これだけ多くの世界遺産、素敵な町、その背後にある芳醇なストーリーがあるのに、日本人に知られていないのは実に残念な話です。
一例を申し上げましょう。
難攻不落のカリオストロ牢獄に幽閉された自称カリオストロ伯爵は詐欺師だったとか(サン・レオ)、レオナルド・ダ・ヴィンチはフィレンツェ上流階級の非嫡男と生まれ農村で育てられたとか(ヴィンチ)、教皇アレクサンデル6世の子として生まれ3回の結婚を経て世を去ったルクレツィアの話(フェッラーラ)など。あと、当時絶世の美女とうたわれたシモネッタの肖像画各種(フィレンツェ)とか。
こういう話を聞いたらちょっと行ってみたくなりませんか?
ま、これらにピンと来る方ならば、イタリアに行こうが行くまいが読んで損はないでしょう。
イタリアに関心がない?そりやきびしい
逆に言うと、行く予定もなく、イタリア好きでもない方にはうまく刺さらない可能性があります。
普通の一般的日本人は上記のなかでローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアあたり知っていると思います。世界史を頑張った方は、シラクーザ、パレルモ、カノッサあたりは名前は憶えていると思います。サッカー好きはペルージャはご存じでしょう。
でもこれ以上は厳しい(良く知らない)のが実情だと思います。
そうした意味では、やはり一種目的のある方向けの作品だと思います。
おわりに
ということで美術史家池上氏による、エッセイ調で肩の凝らないイタリア小噺集でした。
イタリアに興味のあるかた、近々旅行に行く方、あるいは丁度帰ってきた方にはお勧めできる作品です。
評価 ☆☆☆
2024/01/15