皆さん、こんにちは。
だらだらと続けている一時帰国も(入院が目的ではありましたが)そろそろ終わりとなります。来週にはやっと居所に戻れることになりました。
さて、今回は母の積読文庫より本書を拝借。看板にやや誇張があるように思えましたが(笑)なかなか参考になりました。
はじめに
いっとき話題になった本作ですが、母の本棚に鎮座しているのを発見したので読んでみました。
感想としてはですね、「なかなか面白い。タイトルは嘘ではないかもだけど、読み方には注意」みたいな感じでしょうか。
要は使い方か
六年一貫中高のしみったれた受験校で青春を過ごしたため、うっかり日本史しか勉強せず、世界史の滋養を享受せずに危うく人生を終えそうになったおじさんです。
中年に差し掛かってから世界史を勉強しました。
で、本作ですが、よき点・悪き点どちらもあるかと思います。それらを予め斟酌したうえで利用されたら効果はあると思います。
「要は」、を、つかむ
まあ世界史というと、試験でやたら細かいことを書かせて、ほんまにそれ人生で役に立つんですか?みたいな疑問が出てくることが有ると思います。そこで拒否反応が出る人は多いと思います。
そうした意味では本作は、全10章立てでうわっと時代を大まかに把握。この「大まかに」「要は」の把握は言わば世界理解のための背骨です。それが本作で得られるところであり、ウリです。
とりわけ読んで欲しいのは各章の冒頭に書いてある紹介文です。ここがマジでポイントだと思います。
例えば私がどうも苦手だなと思う中国史とインド史。中国史の冒頭にはこうあります。
「皇帝の人間性に大きく左右されてきた中国の歴史」(P.130)
要は皇帝次第なのです。良政もあれば悪政もある、そして皇帝によってこれが変わる、という大枠を作り、中国史を読み進める。また皇帝のパーソナリティに関心をもつと理解が早いでしょう。
またインド史冒頭にはこうありました。
「多様な民族、宗教、言語などをバラバラなままに包み込むインド」(P.114)
ウーム、こちらは難敵ですね。でもとにかく多様性というキーワードを心に、なるほど、これまた変わった考え・習慣があるんだなあ、こいつは多様性ゆえのイシューだな等と、「へぇ、なるほど」と、感心してなくても(!)感心しながら読み進めるのがおすすめ。
リキャップすると、兎に角、ザックリの理解を得ましょう。要は、です。
そのためには、一章分は途中でやめずに読み切ることを強くお勧めします。
補足は必要
他方ですね、本作はやはり味気ない気もするのです。
当然の事ながらですが、写真はゼロですし、表や地図も殆ど出てきません。地図は少しあったかな。だから具体的なイメージが初学者には湧きづらいかもしれません。
一度ガチガチの世界史の教科書を通読した方が「細かすぎて分からん」、となった場合、本作に戻り骨組みを作って、またガチガチの教科書に戻るとよいかもしれません。
個人的には、過去の絵画、名画、写真、資料など、ふと目に留まった図とか絵画のほうが記憶に残ることが多い気がします。ほら、神は細部に宿るって言うじゃないですか。そういう枝葉の情報を、本作で得るべき「骨格」に付け足すことで、読者の世界史観みたいなものがより骨太な形で作れるのでは、と思います。
おわりに
ということで、かつての話題本でした。
世界史を10章で語るという意欲的な作品でした。これだけでは世界史は理解できないと思いますので、資料集や教科書と共にセットで学ぶことで効果を発揮しそうな作品でした。
あと、タイトルの「一度読んだら絶対に忘れない」は編集者の誇張かと思います・・・。「絶対」とか「必ず」とかついている時点で眉唾。むしろ作品の品位を落とす気がしますが。
評価 ☆☆☆
2024/06/03

