皆さん、こんにちは。
ブログを書く方にとってしばしあると思われること。
「書くのが面倒くさい」
いま、それです。
私のブログはそもそも書籍の感想を綴るもの。ベクトルは外に向いているようでむしろ自己に向いているのに、それでも心が、ああメンドクサイ、と言っている。
でも、誰かに伝えるためというより、自分を記録したいので、ムチ打って書き残します。
はじめに
中村氏の作品はこれで5作品目。
読むにつれ、私は中村氏の作風が好きになってきました。なんというか、自分と似たようなにおいがするのです。そう、「ネクラ系、むっつりスケベ」。どうだ、中村氏! 正解!?
なんて失礼なことは忘れていただきまして。
本作、私が読んだこれまでのノワールな中村作品からちょっと趣向を変えたノワール+ファンタジー、やや幻想がかった作風でありました。これもまたよしです。
つくり
本作は、中村氏による短編13作からなるもの。
夫々に関連はなく、かなり実験的な風合いがあるように思います。
多彩な作風を披露
で、今回本作を読んで驚いたのが、そのバラエティに富んだ作風です。
ベースは相変わらずノワールでセクシャルなのです。が「三つの車両」のように日常に現出するシュールなシーンを描いてみたり、性格や特性を交換する「セールス・マン」など、エロ暗い星新一かのような風合いでありました。
なかでも私が好きなのは「妖怪の村」と「晩餐は続く」です。
前者は異世界に迷い込んだ男の話で、怪奇な竜宮城みたいなところに迷ったかのような話。
後者は政治家へ嫁いだ女の、だらしない夫への執着と復讐を、食卓でのダイアログで綴る秀作。まるで舞台かのよう。
で、驚くべきは、これらはどれもやはり中村的味付けになっていること。
何というのでしょうか、スリリングとか、手に汗を握るとか、そういうのでもない。言葉遣いが超秀逸とかそういう魅力とも違う。でも、このどんよりとした生と性、そして狂気の手前みたいなブラックさが次第に癖になる。やはりこれは中村氏の作品だと独り満足気に頷きつつページを手繰る愉悦。
おわりに
ということで中村氏の作品、およそ一か月ぶりに読了でした。
自分の「色」があるって強いですね。中村氏の作品はここまで実験して手を変え品を変えしても、中村臭ダダ洩れですよ!
あたかも作家の個性がプリズムで乱反射したかのような作品であると感じました。一つの光源から多くの色が反射し投影された、でも光源はやはり一つ。そのような作品であったかと思います。
暗めな作品が好きな方、むっつりスケベにはお勧め。なんだそりゃ。
評価 ☆☆☆
2024/07/01