なかなか良かったと思います。
私は会社では計数担当と呼ばれていますが、自身ではいわゆる管理会計の担当と考えています。
大き目の金融機関の、とはいえ海外の辺境にいるので、基本的には東京の本部や地域本部(アジアのリージョナルヘッドはシンガポール)の言いなりなのですが、自分なりに「もっとよくできないか」と考えており、手に取りました。
管理会計って何ぞや
通読して感じたのは、簿記と証券アナリストを併せた知識を、管理会計という切り口で料理した、という感じです。言ったら、以下のような質問に対する回答です。
・この会社は本当に儲かっているのか
・この部門(商品)は本当に儲かっているのか:貢献利益と共通費配賦
・追加的経費と売り上げの関係:変動費・固定費・限界利益・損益分岐点
・借入金や株主コストの把握:WACC
他にも広いカバレッジですが、概ねこのようなポイントがメインかと。
経費とかWACCとか
最近興味があるのは粗利よりも経費についてです。もっと言えば、バランスシートの右側にでかでかと存在感を示す借入金です。
金融機関で働いていますが、金融業って、他所から金を引っ張ってきて(例:預金)、これに上増し金利をのっけて顧客に貸すという、実にシンプルな商売なんです(もちろん為替とか投信販売とかもありますが)。従い製造業が行うような原価計算はほぼ不要といってもよいと思います。
一般企業は金融機関から借入金をおこしますが、実は借入金は金融機関にもあります。
それは法人や個人からの預金(別の金融機関からの借り入れやCPもありますが)なのですが、管理会計として調達金利を加重平均して出したいと常々思っていたのです。ところがこういう調達というのは市場部門という別部門のサイロ化した方々が牛耳っていて全く教えてくれない。
本書を読んで、こうした調達金利をサマるってことはWACCを計算する途上にあるじゃん、と一人合点した次第です。だったら管理会計担当としてやってみようと、この夏休みの課題と勝手に決め、9末までに試算、マクロ化するべしと目標を立てました。
そして、市場部門の専売特許・門外不出等と噂さたCost of Fund(調達金利)をミドルオフィス側で計算できる限りで計算して、ほれ反論してみい、と喧嘩したい気分になってきました(飽くまで拠点内の小さい集団での話ですが)。
KPIとバランス・スコアカード
そうそう、最後にバランススコアカードについても言及がありました。
管理会計を包括的にカバーすると、施策を実行するにあたりKPIとかスコアカードに行き着きます。ただ、あちらはあちらで専門家や専門書が多くあるので、やや蛇足気味?な尻切れ感がぬぐえない感じで終わってしまいました。
おわりに
ということで管理会計についての書籍でした。Kindleで読みましたがめっちゃ見づらかったので紙版で再読したいなと思います。
これまで管理会計というと財務会計のほんのサブカテゴリの一つとして書籍の最後にちょこんと乗っかるような形のものしか見たことがありませんでした。まんま業務直結のわたしとしては嬉しく、そして参考になりました。
類似の業務をしている人たちと知り合いになって各社・各地のベストプラクティスを共有しあえたらいいなあとか思っているのですが、腰が重たい私。結局本を読み、手元の改善をすすめるのみ。
まあでも参考になりましたし、やる気でました。
評価 ☆☆☆☆
2024/07/02