皆さん、こんにちは。
日本は暑いようですが、皆さんお変わりありませんでしょうか。
暑いというと、熱い甲子園予選。とうとう始まりましたね。
便利な世の中になったもので、今や予選からネットで中継で(しかもタダで)見られる時代となりました。
昨年最後の予選を堂々たる一回戦コールドで敗退した息子。その高校は晩年一回戦負けなのですが、「今年は大分進化している」との息子談で、今年私はネットで速報を見ていました(平日。仕事しろって話)。最終的に乱打戦となり、8回裏までリードしていましたが、結局9回表に5点取られ、敢え無く一回戦負け。
仕事を頑張っても報われない自分(被害妄想強すぎ?てかはやく仕事に戻れよ)と姿を重ね、目頭を熱くしつつ「君たちはよく頑張った、胸を張ってよい」と心の中でつぶやいたのでした。
はじめに
三浦氏の小説は久しぶりです。『まほろ駅前多田便利軒』を読んで以来。あれは子どもが生まれる前後だったか。ざっと20年ぶりであります。
実は筆者とは年齢もほぼ同じ。そして町田駅前の高原書店(古本屋。今はもうあそこにはありません)で仕事していたとWikipediaにあり、町田市出身の私としては勝手に親近感を感じています。ちなみに私、高原書店の息子の高原君と塾が一緒でした!その塾ももう町田には残っていませんが。。。
構成
本作は昔話にちなんだ短編集。
「ラブレス」「ロケットの思い出」「ディスタンス」「入江は緑」「たどりつくまで」「花」「懐かしき川べりの街の物語せよ」の計7篇。最後の一篇が101頁の中篇で後は短篇。
そのうち「入江は緑」以降の4篇は連作となっています。
伊坂幸太郎に似ている!?
内容ですが、いやあ、どれも面白かった!
で、ふと思ったのは伊坂幸太郎氏の作品に似ている?ということ。これは、「入江は緑」以降が地球滅亡(隕石が数か月後に衝突する)という筋が通底しており、それを受けての人間ドラマが各篇で独立して描かれており、伊坂氏の『終末のフール』を彷彿とさせるところがあったことが大きいかと思います。
また、泥棒の半生を独白形式で描く「ロケットの思い出」のシュールな設定(犬との思い出、変態同級生の部屋に泥棒で入ってしまった事等)や軽妙な語りもまた、伊坂氏の『ラッシュライフ』を思わせるところもありました。
中村文則氏にも似てる?いやいやいや。
他方、ノワールなものも才能ありますね。ただキレイに仕上げる方です。
冒頭作の「ラブレス」はホストが知らずにヤクザの女に手を出し、殺される間際にケータイからダイイングメッセージを打っている話ですし、「ディスタンス」は叔父に恋をしてしまった女子高生が、離れてしまった叔父の心に気づかず、熱く思いを語るもの。
こうしてみると中村文則氏の作品にも似てるかもって思い始めますが、「最近読んだものにメッチャ引っ張られてるだけじゃん」と気づきました。ブルブルブル。
改めて彼女の特徴を考えると、三浦氏の本作を読んでいて感じるのは、「癖のなさ」「平明さ」のようなもの。
どれもさっぱりとスラスラと読めるのです。ホストの話「ラブレス」はノワールというよりどこかコミカルさを感じますし、近親相姦を描く「ディスタンス」もグロくなく、さっぱりと描くのです。
これは彼女ならでは、と感じた次第です。
おわりに
ということで、ほぼ初めましてというくらい久しぶりな三浦氏の作品でした。
他の作品も徐々に渉猟してまいりたいと思います。
評価 ☆☆☆
2024/07/10