皆さんこんにちは。
忙しくてバタバタしておりました。そして読んだ本も記録をつけずにほったらかし。危うく忘れるところでした。
はじめに
本作、恩田氏の極々初期の作品。1992年が彼女のデビューの年で、本作は1994年のもの。
初期のころから恩田氏のごった煮ミクスチャー的な作風がよく出ていると思います。本作はスリラーとモダンホラーにしいて言えばカテゴライズできるでしょうか。
生まれ変わりはあるのか
本作、特徴としてまず何が何でも取り上げねばならないのは生まれ変わり、というテーマです。
25年前に『必ず戻ってくる』と言って殺害された女流画家の生まれ変わりだとする、うら若い女性が主人公。
この女性が、その女流画家ゆかりの場所や絵画に接するたびに何かを感じたり・何かを思い出す、というもの。
生まれ変わりってのが、個人的には刺さります。
興味があるんですよねー。ムーとか好きですし。
で、作中でも生まれ変わりの記憶とその仕組みについて議論がされています。
オリジナル人格がまずあって、そこに着せ替え人形よろしく記憶を少しずつ変えて転生を続けるのか、とか。あるいはフロッピーディスクに例えて、まっさらなフォーマット化したものが生まれ変わる人生の都度更新・書き込まれるようなものなのか、とか(P.164)。
私もオカルトチックな話は好きなのでついつい引き込まれます。
個人的に気になるのは昨今の人口爆発・人口増はどう説明するか。他の生物から人間に転生してきたか、またその逆パターンもあるのか、とか。絶滅した生物は他の生物に生まれ変わるのかとか。結局生物(魂?)のトータルは概ね一定なのか云々。。。はい、失礼しました。確認しようがないのでキリがないですね。
最後はあっけなく!?
ちなみに結末は『あ、そうなの!?』みたいな肩透かし気味な感じ。
そのままオカルトに突っ走るのにためらったのか、常識的な読者観でいえば、『そりゃそうだよね』という、まあ落ち着くところに落ち着いた感のある結末でした。
でも流石恩田氏、Page turnerなサクサク読ませる作品でした。
おわりに
ということで一か月ぶりの恩田氏の作品でした。
ちょっと時代を感じさせる作品でしたが、普通に面白かったです。
1990年代に学生だった方は、時代の雰囲気も併せて楽しめるのではないでしょうか。
評価 ☆☆☆
2024/07/14