はじめに
サムエル記は、サムエルという預言者が概ねカバーした時代のお話です。
これまでユダヤの民は政教分離、というよりも、『教』しかなかったところに、『政』が持ち込まれます。つまり、民が王を持ちたい言いだしたのです。
その結果、サウル王、ついでダビデ王が即位するというストーリーです。
サウル王治世
サウルの時代の話は結構地味です。
概要をいえば、農夫のちびっ子から王様に選ばれた、スター誕生的な成り上がり物語。王になり、当初はイケイケアゲアゲでしたが、次第に慢が発生し、主への捧げものについて勝手に(間違った)判断をしたことで、主の恩寵から外れてしまう。
忖度が足りない!
この後落ち目になってゆきます。
ダビデの活躍:見どころはゴリアテとの一戦
その点で、ダビデの方がドラマティックな展開。
羊追いの息子として生まれ、竪琴が上手で美少年。最近ツキがなく気落ちしたサウル王を音楽で慰めるということで王宮に呼ばれ、次第に王様の愛寵を受けることになります。
そうしたさなかでの出来事がペリシテ人との闘いでの一幕。
一騎打ちで決着をつけようという相手の代表は大男ゴリアテ。震えたイスラエル軍は誰も名乗りを上げない中で少年のダビデがパチンコ一つで名乗り出て、何とゴリアテの額をパチンコで痛打、倒れたところをゴリアテの剣で首ちょんぱ。
まさかまさかの、文字通りのジャイアントキリング!
で、青醒めるのは、味方だったはずのサウル王。
もうね、王様は嫉妬と疑念の固まりと化します。以降ダビデは、イスラエルにありながらサウル王が存命の間逃亡を余儀なくされます。
このあたりの王様の嫉妬や、それでも醒めないダビデのサウルへの慕愛の念など、人間らしいドラマが展開されます。
ダビデ王のおいた
ダビデの治世でのドラマといえば、バト・シェバとの不義+エトセトラ。
人妻バト・シェバの水浴びを偶然見てしまったダビデ王は、我慢できずにバト・シェバを呼び、何と手籠めに。しかも(詳細分かりませんが)、この一発で妊娠。
バト・シェバの夫ウリヤは戦場に赴いて不在でしたが、帰還の際に家に帰って休めと王様がいうのに、ウリヤは部下の士気を気遣って帰らない(=このタイミングにお前ら交わっただろって言えなくなる)。仕方なく?ダビデ王はハードな戦場へウリヤを送りだし、案の定戦死。のちに、バト・シェバを妻に。
女性の水浴びがそんな簡単に見れるのかって現代的には思いますが、よりによって人妻に(浴場だけに)欲情してしまったのは運がありませんでした。
神とのじゃれ合い?ツンデレ?
このバト・シェバへのおいたの一件以降、神の御心は次第にダビデを離れ、イスラエルに災いが起こるようになります。
てか、この壮大なじゃれ合い的、ツンデレ的展開。なんとも言えなくなります。
民は盲目的に服従し、神は恩寵を与える。やめればいいのに王様が欲しいというと、神が一応選んでくれる。で、王様がおかしくなると、神もまた『いやー、間違えたかも』と言い出す。で、その割に神もしっかりお仕置きを与える。
一度通読したら、他の解説書等で学者たちがこの『ツンデレ』的展開をどう理解しているのかを知りたいと思います。
おわりに
ということで、旧約のサムエル記でした。なかなかメジャーな既知のストーリですのですいすい読めました。
で、今回もコンサイス聖書歴史地図と里中先生のマンガ旧約聖書3が大いに理解を促進させました。特に前者はサウルからのダビデの逃走劇がどのように繰り広げられたかを理解するのにかなり役立ちました。
この後、列王記へと進みます。
評価 ☆☆☆
2024/07/23